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いまさら聞けないデジタル広告のトリセツ

デジタル広告のキソ 「広告効果・広告指標の違い」と「データ把握・要因分析」

広告指標の違い

 前述の広告効果に加え、広告指標を定点でチェックしながら、目標KPIに寄り添った広告運用をしていく必要があります。

 生活者が広告接触し、その後の行動に至るまで顧客行動の全体の流れを意識しながら最低限押さえなければならない「数(ボリューム軸)」「率(割合軸)」「単価(費用軸)」「費用対効果」の、4つの指標の違いを理解し広告の運用改善を図りましょう。

1.数(ボリューム軸)に関連する広告指標

 数(ボリューム軸)に関連する広告指標では、広告表示から広告クリック後の最終目的であるコンバージョン数まで「認知・興味喚起」「誘導」「行動」というユーザーの実際の行動から、目標KPIを達成するために必要なボリューム数があるか把握することが必要です。

  1. IMP (Impression):インプレッション数……広告が表示された回数(広告が見られた回数)
  2. CT (Click Through):クリック数……広告が実際にクリックされた回数
  3. CV (Conversion):コンバージョン数……Web上で実際の行動に結びついた件数(商品購入、資料請求、サービス体験など)

2.率(割合軸)に関連する広告指標

 数(ボリューム軸)の広告指標だけでは広告効果の良し悪しを判断することが難しいため率(割合軸)の広告指標を併用し、効率的かどうか判断することも必要です。

  1. CTR (Click Through Rate) :クリック率……広告表示された回数に対してクリックされた率/計算式:クリック数÷広告表示回数×100 (%)
  2. CVR (Conversion Rate):コンバージョン率……広告経由して実際にコンバージョン(成約)に至った件数の比率/計算式:コンバージョン数÷クリック数×100 (%)

3.単価(費用軸)に関連する広告指標

 数と率に加えて単価(費用軸)に関しても広告指標を把握することが必要です。たとえば、「認知・興味喚起」のフェーズであれば、広告配信ボリューム(広告表示回数)を増やし低単価でターゲットに対してリーチするなどです。「誘導」や「行動」のフェーズに関しても同様に単価を抑え効率的に広告を運用していくことが大切です。

  1. CPM(Cost Per Mille):1,000インプレッションあたりの単価……広告表示回数1,000回あたりにかかるコスト/計算式:広告費(コスト)÷広告表示回数×1,000
  2. CPC(Cost Per Click):クリック単価……1クリックあたりの広告コスト/計算式:広告費(コスト)÷クリック数
  3. CPA(Cost Per Acquisition/Action):獲得単価……1コンバージョンあたりの広告費(コスト)/計算式:広告費(コスト)÷コンバージョン数
  4. CPO(Cost Per Order):獲得単価……受注客(購入客)1人あたりにかかる広告費(コスト)/計算式:広告費(コスト)÷受注客数(購入者数)
  5. CPI (Cost Per Install):獲得単価……1インストールを獲得するために発生した広告費(コスト)/計算式:広告費(コスト)÷インストール数

 また、ビジネスを短期的視点で捉え単価や効率性ばかりを重視してはいけません。本来得られるはずの広告効果を損なわないよう、上限とするCPCやCPAを逆算し広告の入札価格の変更や運用の改善へ結びつけることが重要です。

4.費用対効果(収益性)に関連する広告指標

 目標KPIに基づいた広告運用を行うためには、広告費に対する売上や利益、顧客の継続購入などの状況を短期的な視点ではなく中長期的視点で見ましょう。見込み顧客の引上やリピートに向けたフォローアップなど、継続的なコミュニケーションを意識することが必要です。

  1. ROAS (Return On Ad Spend):広告費用対効果……広告費に対して得られた売上の割合/計算式:売上÷広告費(コスト)×100
  2. ROI (Return On Investment):投資収益率……広告費に対して生み出された利益の割合/計算式:利益(※売上-広告費) ÷広告費(コスト)×100
  3. LTV(Life Time Value):顧客生涯価値……顧客1人当たり継続的に購入(利用)することで企業に与える利益や価値
    計算式:平均購入単価×購入頻度×継続購入期間
        平均購入単価×購入頻度×継続購入期間÷(新規顧客コスト+既存維持コスト)

 顧客行動を把握するためにも「数(ボリューム軸)」→「率(割合軸)」→「単価(費用軸)」→「費用対効果(収益性)」の順にドリルダウンし、広告指標ごとの関係性を理解しましょう。

 そして、どの広告指標の数値を見直せば施策の改善や目標KPIに近づけるかボトルネックになっている要因を分解し、仮説立てをし検証することが大切です。

次のページ
広告データの把握と要因分析~マクロとミクロ双方の視点で結果を見る

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この記事の著者

奥野 辰広(オクノ タツヒロ)

ITソリューション企業にWebディレクターとして入社後、ヤフーへ出向。中堅・中小企業クライアントを中心に約2500社のマーケティング支援。ECコンサルティング、SEMコンサルティング、メディアリレーション業務を経験。 2011年より、トランスコスモスにて大手企業クライアントを中心にアドネットワーク・DSPを中心にデ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/02/06 08:00 https://markezine.jp/article/detail/27784

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