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進む事業会社のデジタルシフト 問われるエージェンシーの存在価値

2018/03/16 08:00

 デジタル上でのコミュニケーションは、企業のマーケティングやブランディングを明らかに変革し、速度と深度を増している。有園雄一氏が業界のキーパーソンや注目企業を訪ね、デジタルが可能にする近未来のマーケティングやブランディングについてディスカッションする本連載。今回は、直近で有園氏が感じている「一部のデジタルに先進的な企業はもはやエージェンシーよりも先へ進んでいるのでは?」という点について、業界経験の長いIMJの加藤圭介氏と議論を展開。この状況での課題とエージェンシーの果たす役割について話し合った。

DMP導入の意図が大きく変わった

株式会社アイ・エム・ジェイ 執行役員COO 加藤圭介氏(写真右)電通総研カウンセル兼フェロー/電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタント 有園雄一氏(写真左)
アイ・エム・ジェイ 取締役COO 加藤圭介氏(写真右)
電通総研カウンセル兼フェロー/電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタント 有園雄一氏(写真左)

有園:2016年、IMJはアクセンチュアによるM&Aという激動を経験しました。現在も相互の強みを生かしたシナジー創出の真っ最中だそうですが、これは一部の先進的な企業がみずからのデジタルシフトを主導する中で、いかにエージェンシーが専門的かつ総合的にサポートできるかというテーマに応えるための変革だろうと思っています。

 今回はまさに、デジタルシフトの現在をテーマに、黎明期から向き合っている加藤さんと話したいと思います。まず、加藤さんは直近の企業のデジタルシフトをどう見ていますか?

加藤:これまでも「デジタルを“マーケティング”にどう活用するか」という観点で、デジタルシフトは進んできましたが、ここ数年で「デジタルを(マーケティングだけでなく)“ビジネス”にどう活用するか」という本質的なテーマを模索している企業が増えていると感じています。

 たとえばDMPにしても、5、6年前に出始めたころは広告の効率的な出稿ツールとしてDSPに付随して登場しましたが、今は一転して「広告だけでなくCRMを含めたマーケティングやビジネス全体にデータを活用したい、そのためにDMPを検討したい」という依頼が当社にも増えています。

有園:なるほど。ただ、データをビジネスに活かそうとすると、組織や業務オペレーションまで変革する必要がありますよね。

加藤:そうですね。実際、IMJ含めたアクセンチュアグループでその部分をサポートしている事例も多いです。また、消費財メーカーの一部では昔ながらのテレビCMのGRPベースで流通への提案活動(棚取りなど)を行う従来のやり方を、DMPから顧客インサイトを導き出し、それらのデータを活用した提案活動へ変革しようと模索する企業も出てきています。

SNS施策とイベントを担保に流通の棚を取る

有園:それ、都内の一部エリアでですが、GRPの代わりに「SNSとイベントを絡めてこんな仕掛けをするから棚を割いて」という交渉をした事例を先日耳にしました。

加藤:その説得にもデータがものを言うでしょうね。こういったマーケティングだけでなくセールスやビジネス全体への活用になると、先のご指摘のように組織や業務を大幅に変革する必要が出てきて、DMPの位置づけもまったく変わってくる。5、6年前と比べて、すごく進化していると思います。

有園:組織の変革というと、昨年秋にライオンが宣伝部をコミュニケーションデザイン部に改称し、新たにCXプランニング室を設けると業界のニュースで見たのが印象的でした(ライオン、組織改正[2017年10月1日付],週間粧業)。

 企業が“宣伝する”という企業主語ではなく、ユーザーを主語にしたマーケティングコミュニケーションへと変革する、すべての思想を逆方向にしていくという考えの表れだなと思ったんです。同社は2014年にオウンドメディアの「Lidea(リディア)」を立ち上げて、DMPを導入することも発表していましたよね(参考情報)。

加藤:そうですね。ご指摘のように、ビジネス活動を顧客起点に変えて、いかに顧客体験を実現するのかを軸にすると、DMPの位置づけやデータの活用範囲、マーケティングのあり方も変わるのが自然な流れです。

 特にメーカーはこれまで直接顧客とつながっていなかったので、顧客のインサイトを深掘りしたり、ターゲティングしたコミュニケーションが可能になるDMPや、それを最大限に活用するための組織、業務の変革は意義が大きいと思います。

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