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清水誠直伝!スローガンで終わってしまいがちな「顧客視点のマーケティング」を着実に進める方法

図解とデータで顧客体験を見える化

MZ:「スローガンで終わってしまう」という話は自ら振り返っても耳が痛いですね……。これまで様々なツールが登場しデータ活用の重要性も叫ばれていますが、定着している例は少ないと感じます。

清水:今はデジタルの時代で、データがとりやすい環境になりました。Web上の行動データ、購買データ、心理系のデータ、属性データ……オンライン、オフライン含めそれらのデータを集めると昔ではありえないぐらいのレベルで「顧客理解」が可能です。

 顧客理解といっても一人ひとりを調べるということではなく「パターン化して抽象化・モデル化する」ことが大切。そうしてはじめて横展開ができ様々なところで活用され広がっていきます。

 このような顧客視点でのマーケティングを実行するための方法論として、私は以前からコンセプトダイアグラムという手法を提唱しています。コンセプトダイアグラムは、企業が戦略的に望む顧客の変化と、それに対して企業が取り組むべき施策の関係性を図解化したコミュニケーションの戦略マップです(詳細はこちら)。

 望ましい顧客の変化を図解でモデル化した後は、行動・心理・属性データを統合して顧客を状態ごとにセグメント化する「カスタマーアナリティクス」を実践することで、××状態の人たちを次のフェーズへ進めるために何をいつどこでどう伝えるべきか、という施策を具体的に検討します。

 予算やツール、施策ありきではなく、戦略的に望む顧客の態度変容を起点とし、顧客をデータで理解した上で顧客体験を設計し、長期的な企業価値を高めていくのです。

今崎:様々な企業様の例を見ていると「何のためにやるのか」という、そもそもの目的が抜け落ちているケースが非常に多いと感じます。しかしカスタマーアナリティクスを取り入れると「顧客にこういう風になってもらいたい」という視点が芽生えてきます。

 ページビューやコンバージョンといった「数字」の話ではなく、具体的にデータで顧客の状態を把握し評価できるのでチームのみんなが共通言語をもって語ることができる点もポイントです。

 たとえば、コンテンツマーケ一つをとっても、記事制作担当、SEO担当、ソーシャル担当など色々な役割の人がいます。ソーシャル担当とSEO担当の役割は必ずしも共通ではなくばらばらに役割を持ちサイロ化してしまうケースが多い。

 しかし、カスタマーアナリティクスの視点を取り入れれば、ソーシャル担当はユーザーをこういう気持ちにするためにやっている、SEO担当はこのキーワードで入ってきたユーザーをこういう気持ちになってもらうためにする、といったように各施策に関わっている人の仕事に役割と目的を持たせ、ユーザーがこういう風に態度変容したからよかったよと評価できる。こういう視点が生まれると、ソーシャルに関しては効果がでたからさらに予算を投下しようなど「正しい投資判断」にもつながります。

自分たちの視点が一段階レベルアップ

MZ:たしかにユーザーの態度変容を指標にすれば、良かったのか悪かったのかの判断がわかりやすいので、次のアクションにもつながりやすくなりますね。現在5つのプロジェクトが動いていると聞いていますが、具体的にどのような状況なのか目立った変化や成果があれば教えてください。

今崎:まず清水さんに顧問として入っていただいたことで、自分たち自身の視点が変わりました。一つひとつのキーワードやコンテンツに対する意味や役割を考え、それは何のためにやるのか? ユーザーに対してどういう影響を与えたいのか? という思考がインストールされました。

 そもそも「顧客の態度変容を効果検証できる」という発想がなかったので、その考えが事業部全体に浸透し、より高い視点を持ったアウトプットが生まれていると感じます。

MZ:自分たち自身の視座が高まったということですね。実際にプロジェクトを進めているクライアントさんにはどのような影響がありましたか?

今崎:一番印象的だったのは求人系の案件です。元々はSEO関連の引き合いで、特定のキーワードでの検索流入を増やしたいというやりたいことがはっきりしていました。

 通常はキーワードの洗い出し等の作業を進めていくのですが、そもそもどういうお客様にどういう体験を提供したいのか、御社だからできることはなんでしょうか? という「顧客視点での取り組み」を提案し、コンセプトダイアグラムおよびカスタマーアナリティクスを取り入れたワークショップを行いました。

清水:ワークショップに取り組む際のポイントは、既存の思考や枠組みを取っ払ってディスカッションすることです。そうすると自分たちはユーザーに対して色々な体験を提供できると、次々とアイデアがでてきます。それらのアイデアが実際に上手くいったかどうかを、カスタマーアナリティクスを活用しレポートに落とし込んでいきます。

 一年ぐらい継続してやっていくと、おもしろいようにガラガラと変わっていきますよ(笑)。「顧客視点」という軸の元、具体的に社内の会話が変わったり、部署を越えた協力体制ができたり。

 よく耳にするのが「社内で企画を通しやすくなった」という声ですね。このコンテンツは○○をやるために企画しました。しかし、それだけだと態度変容しないのでソーシャルも含めて企画しますみたいな話につながる。

 提案する企画の幅が広がってさらにそれが理解される。提案される側もわかりやすくなり、提案する側もイキイキと能動的に考えて提案するようになる。チームが一丸となって取り組めるように変わる。その変化は非常に気持ちがいいですね。

今崎:もちろん、目の前の課題に対してもしっかり応えます。ただ、それだけでは短期的な効果に留まってしまうのでマーケティング戦略全体の絵を描きつつという点がポイントです。今は第一フェーズが終了してこれから第二フェーズに入るあたりですが、これからの取り組みも楽しみです。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2018/03/09 10:00 https://markezine.jp/article/detail/27900

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