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動画マーケティング最前線2018

大手企業が今、こぞってアニメCMを作る理由


マクドナルドのO2O施策/実写では難しいオフライン施策も可能

 O2O施策においても、アニメCMの利点があります。それは、実写と違い、オリジナルキャラクターをあらゆるプロモーション場面で活用することができる点です。一例として、マクドナルドの採用プロモーションを解説します。

 マクドナルドは、店舗で働くクルーとの出会いと成長、つながりを「未来のワタシ」というテーマに沿って、一つの物語として表現するCMを作成しました。そのCMと連動し、特設サイト上ではCM内で活躍するクルーをイメージしたエピソードを展開。幅広い年齢層や国籍の登場人物のエピソードを紹介することで、あらゆる採用ターゲットに訴求しました。

 このプロモーションは、一貫して店舗内でも実施。店内ポスターや、商品トレイに敷く紙のシートにもオリジナルキャラクターを登場させました。

 では、この施策を実写で行うと、どうなるでしょう。まず、タレントをテレビ・Web・店舗と複数個所で起用するとなると膨大なコストがかかりますその点、オリジナルキャラクターであればプロモーション費は、制作費のみで抑えることができます

 また、ここまで作りこんだプロモーション施策はアニメだからこそ比較的違和感なく受け入れられますが、実写であれば大げさに感じられるリスクがあります。このように、オンライン・オフラインで一貫したプロモーション活動が行いやすいのも、オリジナルアニメで期待できる一つのメリットだと考えます

テレビ番組の全カテゴリーの内、唯一好感度を上げたのが「アニメ」

 ここまでは主に企業側の目線になって、アニメCMのメリットを説明してきました。最後は、視聴者とアニメの作り手の立場から、オリジナルアニメを活用するCMの可能性について考えていきます。

(参照)株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント「R&D 若者ハンドブック 2017」
(参照)株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント「R&D 若者ハンドブック 2017」

 上の図は、リサーチ・アンド・ディベロップメント社による調査結果を基に、18~29歳を対象にした好きなテレビ番組に関するアンケート結果をグラフ化したものです。

 2005年の調査結果と2015年の調査結果を比較したこの調査では、全テレビ番組のジャンルの中で、唯一アニメ番組のみが好感度を上げていることが判明しました。このことから、生活者自身の中でアニメの価値が高まっていると推測ができます

 今やアニメは、日本を代表する世界的産業の一つです。技術やストーリー性など、コンテンツの価値も飛躍的に向上した結果、子供も大人も楽しめるようになったことが、このような生活者の変化を促進したのではないでしょうか。

 そして、マーケティングの領域からは少し話が逸れますが、2015年の「アニメーション制作者実態調査報告書」によれば、アニメーターの平均年収は332.8万円。これは民間企業に勤める給与所得者の平均年収よりも低い水準です。これまでテレビ番組からの制作費を主たる収入源としてきた彼らは、テレビ離れの影響を直に受け、また毎週の締め切りに追われるという過酷な労働環境がありました。

 よって、企業がプロモーション活動においてアニメを採用するようになった現在の傾向には、アニメーターの労働環境の改善につながるという期待もかかっているのです。

 CMや広告におけるオリジナルアニメの可能性は、まだまだ未知数です。企業、生活者、アニメーターそれぞれの立場において、オリジナルアニメを活用する企業のプロモーションは、今後存在感を強めていく可能性があります。さらなる活用の場が広まっていくことに注目をしていきたいと思います。

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この記事の著者

皆木 研二(株式会社プルークス)(ミナキ ケンジ)

 株式会社プルークス 代表取締役社長。デロイトトーマツグループにて経営コンサルティングに従事した後、2015年に動画マーケティングを支援する株式会社プルークスを創業。オンライン動画広告に強みをもち、これまで幅広い分野で500社2500本以上の動画制作実績を重ねている。企業向け動画専門ニュースメディア「動画アカデミー」の編集長も務める。

 ・株式会社プルークス:http://proox.co.jp/

 ・制作実績:http://proox.co.jp/works/

 ・動画アカデミー:http://video-academy.jp/

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/03/14 09:25 https://markezine.jp/article/detail/28011

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