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第107号(2024年11月号)
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MarkeZine Day 2018 Spring

Business Insiderのアドフラウド対策とは?海外プログラマティック広告の最新動向を紹介!

 「MarkeZine Day 2018 Spring」2日目の3月9日に行われたセッション「透明性、AI、プログラマティックTVの現在とこれから」は、プログラマティック広告の現状と将来像を示した興味深い内容になった。運用型広告の分野で多彩なサービス提供を手がける企業でコンサルタントを務めるかたわら、積極的に海外カンファレンスへ足を運んでいるアタラ合同会社の高瀬優氏がスピーカーを務めたセッションの様子をレポートする。

プログラマティック広告のエコシステム

アタラ合同会社 コンサルタント 高瀬優氏

 セッションの冒頭、自己紹介を兼ねてアナウンスされたのが高瀬氏の著書『海外カンファレンスの歩き方 MarkeZine Digital First』(Kindle版)だ。3月3日に出版されたのこの本は、海外11のカンファレンスについて広告業界・IT業界のキーパーソンたちがその特徴や魅力をレポートする内容になっている。

 スピーカーの高瀬氏はアタラ合同会社でコンサルタントを務めている。同社は運用型広告全般のコンサルティングなどが主力事業だが、その主要メンバーとして活躍するかたわら定期的に海外のカンファレンスに参加。そこで得た最先端のトレンドや知見、課題や将来像の共有を目的とした情報発信にも積極的に取り組んでいるということだ。

 セッションでは、毎年4月と10月にアメリカ・サンフランシスコとニューヨークで開催されている『PROGRAMMATIC I/O』に参加した内容をもとに、プログラマティック広告の最新トレンドと課題・将来像などについて紹介された。プログラマティック広告の最新動向を掴むにはもってこいのカンファレンスだ。

 「『PROGRAMMATIC I/O』はプログラマティック広告関連では世界最大規模のカンファレンスで、毎回1,500人超の参加があります。2017年10月25・26日に参加したセッションから、私なりに気づいた点や課題、将来像などを紹介したいと思います」

 ここで高瀬氏から、プログラマティック広告の全体像について説明があった。通常の広告は「広告主」を起点に「広告代理店・コンサルティング」を仲介として「メディア」を通して「ユーザー」へと発信されるのが一般的だ。

 これに対してプログラマティック広告の場合は「広告代理店・コンサルティング」と「メディア」のあいだに「広告プラットフォーム・DSP」、そして「アドエクスチェンジ・SSP」が介在する。

 「広告主からユーザーへと発信されるすべてのプロセスでどう透明性を確保していくのか。そして『広告主』から『広告代理店・コンサルティング』『広告プラットフォーム・DSP』までのプロセスにAIを導入・活用していくことのメリット。さらにユーザーの視聴環境の変化に伴い必要性が増しているプログラマティックTVの現状と将来像について、『アドエクスチェンジ・SSP』『メディア』のセルサイドの視点を中心に紹介していきます」

JPモルガン・チェースのブラックリスト&ホワイトリスト戦略

 プログラマティック広告の現場で透明性を確保していく課題解決の一例として、バイサイドの「ホワイトリスト戦略」について紹介があった。

ホワイトリスト:広告の配信先として安全と見なした対象(メディア)を列挙したリスト。そこに載っていないものには広告を配信しないことでブランドセーフティを保つ。
ブラックリスト:広告の配信先として除外する対象(メディア)を列挙したリスト。そこに載っているものへの広告配信を除外することでブランドセーフティを保つ。

 「JPモルガン・チェースのプログラマティック広告バイイング最高責任者から2017年3月に手がけたホワイトリスト戦略についてプレゼンテーションがあったので、その内容を紹介します。

 JPモルガン・チェースではホワイトリスト戦略を実施する前から、次の4つのブラックリスト戦略を適用していました。

JPモルガン・チェースが実施していたブラックリスト戦略
(1)ブラックリストに該当するドメインを除外
(2)コンテンツフィルターによる自動除外
(3)キーワードフィルターによる自動除外
(4)アドベリフィケーションツールのブランドセーフティ機能の活用

 しかし、10万超のドメインで2か月間のインプレッション数が10以下と極端に少なく、クリックやコンバージョンのないドメインも全体の約75%にのぼり、さらに不正インプレッションやフェイクニュース、不適切なコンテンツを含むWebページへの掲載が多かったという事実が明らかになりました。

 これを受けて同社は、下記の図に記載されているプロセスを経て、独自の『ホワイトリスト』を構築し、『ブラックリスト』戦略から『ホワイトリスト』戦略へ切り替えました。この結果、アドフラウドが約47%減ってビューアビリティは約5%増加。リーチ数も減ることなくスケールできたということでした」

 プログラマティック広告を手がけるバイサイドでは、まず広告の配信先をホワイトリスト化していく戦略が必要なことが実感できる内容だ。一方で、セルサイドである「メディア」がブランドセーフティに成功したエピソードの紹介があった。

 「プログラマティック広告の現場では、いわゆる『なりすまし』=ドメインスプーフィングへの対処が大きな課題になっています。Business InsiderというアメリカのWebメディアのデータ戦略責任者から興味深いエピソードの紹介がありました」

ドメインスプーフィング:悪質なサイト運営者などが、故意に広告掲載先のドメインを偽ることで、不正に広告収益を得ようとする「なりすまし」によるアドフラウドの手口の一つ。「Falsely Represented」という名称。

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Business Insiderがads.txtを導入した経緯

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この記事の著者

浦野 孝嗣(ウラノ コウジ)

 2002年からフリーランス。得意分野は経済全般のほかIT、金融、企業の経営戦略、CSRなど。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/04/17 08:00 https://markezine.jp/article/detail/28130

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