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「コミュニティはコモディティ化しない」リアルとデジタルを掛け合わせた最新ロイヤルティマーケ事例

ロイヤルカスタマー像をデジタルと掛け合わせる

 ここからプレゼンテーターは再び植山氏へ。植山氏からはSATORI自社事例をベースに、コミュニティに参加するロイヤルカスタマーの動きをどのようにデジタルに活かしていくのか、特に新規開拓へ活かすのか3つの観点から紹介された。

 アマゾンやセールスフォース・ドットコムと同様に、SATORIの場合もコミュニティの形成による効果が数字にも表れている。「コミュニティに参加頂いているユーザーのLTVは高いですし、解約率も非常に低いです。ただ、ロイヤルティを高めることは非常に時間がかかる作業。中小企業としてはすぐに新規リードが欲しいという願望も正直あります」と本音を漏らした。

 「100万人単位のコミュニティを持つ大企業とは違い、私たちのユーザー数はまだ2,500ユーザー程度。その中から実際にコミュニティイベントに参加される方は多くても100名程度。その方々に自社サービスを売り込んでは、コミュニティの崩壊につながります。こういったジレンマを抱えていますが新規開拓する術があります」

 ではどうすればいいのか。勝機はコミュニティに参加するロイヤルカスタマー像を使って3つの取り組みを進めることだと植山氏は説く。

 「具体的にはそのうち客(新規リード)を育成するための『コンテンツ開発』、多くのそのうち客から有効リードを判別するための『スコアリング』、そしてロイヤルカスタマー像のデータを使っての『新規オーディエンス発掘』、この3つの取り組みを進めます」

ロイヤルカスタマー像の具体的な活用法

 では、それぞれの活用法について見ていこう。

コンテンツ開発

 新規リードにアプローチするためにどのようなコンテンツを作ればいいのかは、営業やマーケティング担当者の悩みどころだ。その解決策として植山氏が紹介したのが「コミュニティに参加するユーザーに実際に聞くこと」だ。

 「コミュニティが形成されることで、LTVが向上したり解約率が下がったりというのはお話ししましたが、実は中小企業にとって最も大切なのは『実際にお客様の顔が見えることで、自社のロイヤルカスタマーが誰なのかが明確に把握できる』という点です。

 さらにその方々が欲しいコンテンツを直接聞くことで、マーケティングハンドブック的なよくある資料とは一線を画したコンテンツを作るヒントをもらえます。『予算を検討する時期だから年間イベントカレンダーほしいね』など、具体的なアイデアが次々と出てきます」(植山氏)

スコアリング

 全てのリードの中から自社の商品を買ってくれそうな、いわゆる『ホットな客』を選ぶことがスコアリングだ。たとえばクラウドサービスであれば、契約期間や解約の手続きなどのページを見ているユーザーは検討に前向きなホットなユーザーとなる。では、ユーザー会やイベントのレポートなどのコンテンツと接触があったユーザーはどのようにスコアリングされるのだろう。植山氏はコミュニティのコンテンツは新規獲得につながる可能性が高いという。

 「具体的にはSATORIユーザー会の様子をログミーで記事にしました。メール配信に加え、広告配信もやってみたところ、701人の新規リードに接触することができました。では、その中で何人がホットリードだったのでしょうか。701件中既に商談が進んでいた人は73件、約630件にこれから電話していくのですが、16件中2件のアポイントがとれている状況です。母数が少ないのではっきりとしたことは言えませんが、新規開拓のキラーコンテンツになる可能性が高いのではと感じております

新規オーディエンス発掘

 サードパーティーのデータを使っての広告配信に、ロイヤルカスタマーのデータを付加することで自社ならではの広告配信を実現することも可能だ。

 「中小企業はそもそも持っているデータ量が少ないので、外部のデータを活用した類似配信を行うケースが多いと思いますが、そこに独自のデータを掛け合わせることで、独自の広告配信を実現することができます。コミュニティは真似できないしロイヤルカスタマーの動きは会社ごとに変わります。それを活かしていくべきです」

 最後に植山氏は「これまで見てきたように、コミュニティ形成でロイヤルカスタマーを育成し、さらにロイヤルカスタマーの情報をデジタルと掛け合わせることで、新規開拓に活用することが可能です。本日紹介した内容は明日からでもできる内容なので、ぜひ一つでもよいので試して頂いて効果を実感してもらえれば嬉しいです」と強調しセッションを締めくくった。

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この記事の著者

浦野 孝嗣(ウラノ コウジ)

 2002年からフリーランス。得意分野は経済全般のほかIT、金融、企業の経営戦略、CSRなど。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2018/05/08 11:00 https://markezine.jp/article/detail/28153

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