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「オムニメディア」がこれからの常識 「カゴ落ちDM」ほかリクルート、ディノス・セシールのアナログ活用

クリエイティブよりタイミング?

 第三の施策でも興味深い結果が得られた。顧客に送付するDMを上質紙と普通紙に分けて同時に発送したのだ。

 「実施前の仮説としては、オモテナシ感が強い『上質紙』の方が、良い結果になるのではと思い実施したのですが、実施後に商談案件になった数をカウントすると、意外なことに普通紙のほうが約1.2倍もボリュームが多かったのです。ですから上質な紙を使ったり、高級感を出すよりも、お客様が欲しいと思っていた情報をベストなタイミングでお届けするほうが手ごたえのある結果になるという発見がありました」(宮尾氏)

 デジタルとアナログを組み合わせた施策には、確かな効果が出ており、オファー次第ではROIもクリアすることができた。同時に、オフライン施策でユーザーにアプローチできたあとに、どうやってオンラインでのコミュニケーションで再活性化するかという新しい課題も見つかったと宮尾氏は言う。

 この3つの実証実験が素晴らしいのは、PDCAサイクルの結果から新しい施策のヒントやアイデアへとつなげていることだと鈴木氏は語る。

 「結果から、顧客の姿勢や状況を推測して次の施策へと結びつける。そこから新しいシナリオづくりをすることで、もっと高い効果が望めそうな施策を生みだしていくことが大事ですね」(鈴木氏)

カタログ通販の雄から見る、アナログ・デジタルそれぞれの強み

 リクルートジョブズの宮尾氏に続いてマイクを握ったのがディノス・セシールの石川森生氏だ。

 はじめに石川氏は「新規顧客獲得(Acquisition)」「顧客維持(Retention)」「コンテンツ(Contents)」「顧客リスト(Members)」という切り口で、伝統的なカタログとWebサイトとの「強みと弱み」について分析した。

 「新規顧客獲得」では、カタログは若年層へのアプローチ手段としては必ずしも親しみやすいものとはいえず、年配層への伸びしろという意味でも限定的だと捉えている。一方の、Webサイトは、若年層への有効なリーチ手段が多く、最近は年配層でもECで購入する体験が増えているという強みがある。

 「顧客維持」ではカタログに圧倒的なリーチ確率の高さがある一方で、都度の発行コストやフリークエンシーの長さが課題で、その点においてはWebサイトが勝るという。

 さらに「コンテンツ」軸では、カタログには顧客への動機づけに有効だという強みや、他社による参入障壁が高く、紙メディアの体験の希少性が高まることによる差別化といったメリットがあるが、スピーディな制作と送付がむずかしいという制約もある。一方のWebは、刈り取りに向いているが、独自性の高いコンテンツ作りが難しく、コンテンツの大量生産・大量消費には限界がきている。

 最後の「顧客リスト」については、カタログはリプレイスが困難だが、Webでは競争が激化しており顧客を奪われやすいので、カタログが有利だと石川氏は語る。

 これらの背景から石川氏は、カタログとWebサイトは、それぞれメリットも特性も異なるメディアなのだと位置づける。

 

 「カタログとWebサイトは対立するのではなく、相互補完しあうメディアととらえています。新しい顧客の獲得や、CRMによるきめ細かなリテンション施策においてWebサイトは優れていますし、カタログには新しい発見をもたらして「欲しい!」という気持ちを引き起こすという強みがあります」(石川氏)

次のページ
「カゴ落ちDM」の衝撃

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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高山 透(コウヤマ トオル)

フリーカメラマン。雑誌の撮影などを主にしています。最近では、webの撮影も多くなってきました。日々の生活は、朝タブレット端末をながめながらコーヒーを飲み、のんびり1日が始まります。 休みの日は、新宿御苑に行ったり、子供と遊んで過ごしています。webサイト

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浦野 孝嗣(ウラノ コウジ)

 2002年からフリーランス。得意分野は経済全般のほかIT、金融、企業の経営戦略、CSRなど。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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2018/04/27 10:00 https://markezine.jp/article/detail/28207

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