お客様第一主義を浸透させるために必要なこと
野村:商品が第一でお客様が無視されている実情と課題を知って、次に取り組んだことはなんですか。
長瀬:最初はCDOの「必要性」や「役割」を社内に説明し続けました。「商品が王様」というカルチャー、マインドを変えていくには自分が取り組むことの意義を理解してもらう必要がありました。
当社は、ブランドごとにマーケティングの部門があってマーケタ―が在籍しているんですが、お客さまの立場でものを考えるという姿勢ではなかった。それに部門ごとにお客さまを把握しているため、各部門で「サイロ化」が進んでいました。
八木:つまり、ブランドごとが独立していて情報共有や連携がうまくできていなかったということですね。
長瀬:その通りです。このままでは、お客さまが誰かを突き詰めているメーカーとの競争に勝てないと思いました。昨今では、聞いたことのない名前のブランドでも急に出てきて、一定のシェアを獲得できる時代になっています。
野村:それはなぜでしょうか。
長瀬:原材料や原料が簡単に調達できるようになったのが大きいですね。規模の小さなところでも比較的容易に商品開発できるようになっています。
そのため、ユーザーを的確に把握してニーズに応える商品を考えることができれば、一定程度の売上が見込める時代なんです。
大所高所からモノを見る経営陣にもわかりやすいSprinklrのインターフェース
八木:今回、「個」でお客様を捉えるため、当社のソリューションを導入いただいたわけですが、導入背景について教えてもらえますか。
長瀬:以前からソーシャルメディアを活用したマーケティングには将来性があると感じていました。多くの海外企業がカスタマーセンターなどを通して積極的にユーザーの「声」を蓄積してデータベース化していることも知っていたので、そういったツールがないかと考えていました。
八木:そこから弊社に日本ロレアルの現状と課題、Sprinklrをどう活用していきたいかをお話いただいて導入を進めましたね。
野村:先ほどの現状で、導入はスムーズに進めることができましたか。
長瀬:当社の役員の中には、ITやマーケティングをあまり理解していない方もいます。ですからプレゼンテーションのときは、そういった方でも理解してもらえる内容を意識しました。
八木:大手企業の経営陣で、ソーシャルメディアに理解のある方はまだ少ないですからね。
長瀬:自分でやってないからでしょうね、だからなかなか理解できない。でも、ソーシャルメディアは活用次第で大きな力を発揮することができます。
例えば、私どものブランドのアイライナーの先端を「丸くしてほしい」という声がお客様からあったそうなんです。販売の現場やカスタマーセンターでそういうニーズをいただいていても、担当者の判断でなかなか商品には反映されない。それが、Sprinklrの画面を見ればどれだけ大きなニーズなのかが一目瞭然なんです。
八木:カンファレンスでSprinklrのデモ画面を公開するのはMarkeZine Dayが初めてだと思いますが、ソーシャルメディア上で「言及」されているワードについて、その「内訳」「トレンド」「ブランドのセグメント」「ブランドの販売ファネル別言及数」などがリアルタイムで表示されます。
そのため、先ほどの長瀬様からあった「丸くしてほしい」というニーズがどれくらいあるかも確認できます。
長瀬:投稿が広くリーチしている上位ユーザー、会話の流れの表示もリアルタイムでできるので、ユーザーの「実像」がだれでも把握できます。それが私たちの認識とどれくらい差があるかもわかるので、イヤでもお客さまを意識せざるを得ないので、当社にはぴったりでした。