顧客とのコミュニケーション全体をデザインできるマーケターに
――動画マーケティング領域のテクノロジーに関して、どのような進化に期待していますか?
廣澤:5Gと呼ばれる第5世代移動通信システムが整えば、通信環境も良くなり、様々な動画施策が実現するでしょう。しかし、一般的に通信制限がかかってしまう人が多いですから、データ量への意識も忘れてはならないと思います。
中山:そうですね。我々も使いやすさなどの改善や、データ量を軽くするといった快適な視聴環境については、改善し続けていきます。
廣澤:花王に限らず、世の中の動きとしてお話しますと、市場が伸び続けているECへの動画活用が広がると考えています。ECにおけるビジュアルマーチャンダイジングをどのように表現・演出していくかが重要になってくるでしょう。
また、今はデバイスがスマートフォンに縛られていますが、ウェアラブル機器が浸透し、AR・VRが日常化すると、マルチスクリーンが当たり前となる時が来ます。すると、一つの動画コンテンツを枝分かれさせて、デバイスごとに最適化していくことも見据える必要があるのかなと思っています。

――マーケターにもクリエイティビティが求められてきますね。
中山:インフラからクリエイティブを想像することが大事ですね。テクノロジーをどうマーケティングコミュニケーションに組み込めるのか、そして生活者に楽しんでもらえるかを意識していきたいです。
データを基に様々なデバイスを活用し、パーソナライズ化された情報を届ける道筋を考えるのは、ワクワクします。
廣澤:旧来の消費経済から体験経済へのシフトが進んできたわけですが、そこからさらに変化して最近では顧客体験がリアルのみで完結しなくなってきました。「Spotful」の事例で、ファッションのランウェイを見ながら、商品を購入できる動画があります。東京ガールズコレクションで一時やっていた施策のWeb動画版ですね。
これがウェアラブルデバイスでできるようになると、リアル体験からさらに一歩進んだ世界になります。その時、「広告コンテンツを作ります」「フォーマット整備します」だけでなく、お客様とのコミュニケーションデザインそのものをできるマーケターが求められるのだろうと思います。