ライブコマースの本流と本質
日本においては、「メルカリチャンネル」(メルカリ)や「Live Shop!」(Candee)、「Laffy(ラッフィー)」(DeNA)といったライブコマースのサービスが着々と立ち上がり、ライブコンテンツや即売モデルが注目されている。ちなみに米国ではライブコマースとは呼ばずに、「Live Video Commerce」「See-commerce」と呼ばれる。
米国でもライブコマースの「機能」は認識されているが、むしろ今やライブコマースの「メッカ」は先に述べたように中国だろう。中国には世界中のファストファッションの製造ラインが整う機動力と越境ECに対応した物流網が構築されており、それを支えるビジネスモデルが整っているからだ。

さらにモバイルを使ってBuy-Nowで買うミレニアルの市場が大きい。中国には4億人のミレニアル世代(18~5歳)が存在する。この4億人という数字は日本の「総人口」の3.3倍、米国とカナダを足し合わせた総人口(約3.6億人)よりも多い。人口の数だけでなく、実際にモバイル上での購買高を比較しても、米国では135億円(1.23億ドル)に対して中国では556億円(5.06億ドル)と約4倍の開きがある。
ライブコンテンツの価値への注目が高まり、「Buy-Now」の即売機能が広がり、ファッションショーは「ライブイベント」としてのSNS運営にシフトしている。しかし、ライブコマースで放映されるコンテンツは商品流通とそれを販売するための「紙芝居」にすぎない。本質は「コマース(流通)」事業であり、「どこで製造し」、「誰が消費するのか」というエコシステムの起点と終点までの全体を見据えた上でビジネスの健康状態を判断すべきだろう。放映コンテンツの流通だけでなく、それにともなう物流網を整えることがライブコマースの本質であり、米国市場と中国市場の対比がそれを物語っている。
本コラムはデジタルインテリジェンス発行の『DI. MAD MAN Report』の一部を再編集して掲載しています。本編ご購読希望の方は、こちらをご覧ください。