ネットメディアの世界観作り
井上芙:世界観作りはYahoo!ニュースでも悩んでいるところです。「クライアントは何を期待してYahoo!ニュースに出稿しているのか」、「クライアントと読者、両者に求められるコンテンツとは何か」編集の立場から日々考えています。
永井:なぜネットメディアは世界観を作りにくいのでしょうか?
嶋:ネットメディアは、PV市場主義だからだと思います。多くの場合、ネット記事の記者や編集者は世界観を作ったところで会社から評価されない。PV数で評価されます。そんななかで「自分のメディアの世界観」について考える人がなかなか生まれにくいのではないでしょうか。

永井:アウディさんは、どういうメディア・作り手を求めますか?
井上大:先ほどから話題になっている「世界観のあるメディア」は、残念ながら日本にはまだ少ないと思います。だから、そういうメディアがあるといいなと思います。
編集者には、自分のメディアに対して「我」と「偏愛」を持って欲しいと思います。たとえば、イギリスのある雑誌の編集長は、自分で記事を全部チェックしているそうです。その雑誌は日本でも売っていますが、日本語版はありません。日本語版を出さない理由を編集長に聞いたところ、「日本語にしたら自分が読めないから」と答えたそうです。そのくらいの「我」と「偏愛」がないと、ブランドが確立したメディアにはならないのではないでしょうか。
ネットで広がる記事広告の可能性
嶋:ネットメディアの特徴として、個人が際立つようになってきたことが挙げられます。「この人に批評してほしい」という広告主も多くなってきた。アイデア次第で、ネットの強みを生かした新たな記事広告もできるではないでしょうか。
宮脇:ネットのおもしろいところは、雑誌と違って記事広告に対する意見交換ができることだと思います。自分が思っていない感想を読むことで、新たな知見が得られるのも、ネット記事広告の希望だと思います。
井上芙:紙とは違ってネットだから実現できること、たとえば文中に動画を入れるとか、ネットユーザーにとって一番刺さるコンテンツを提供していきたいです。