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「欲しいのはバズではなく再現性」ロクシタンが挑む、店舗・EC・ソーシャルを統合するブランディング

「バズが起きても次のアクションにはつながらない」

――今回、ソーシャルのデータを分析し、顧客のリアルな声や反応を分析するソーシャルリスニングを行ったとうかがいました。

安倍:ソーシャルの難しさは、その貢献度を可視化しづらいことです。これまで投稿単位のKPIは、インプレッションやエンゲージメント、フォロワー数。イベント単位では、外部へのリーチやその波及度合いを見てきました。

 しかし、仮にバズが起きたとしても、その原因がわからず、次のアクションへつなげられないという課題を抱えていました。そこで、ソーシャルリスニングの手法を取り入ようと考え、ブレインパッドさんの「Crimson Hexagon(クリムゾン ヘキサゴン)」で分析をしました。

吉屋:合わせて、ソーシャル上のお客様の声をデータ化したいという意図もありました。ロクシタンは、グローバルカンパニーゆえに、日本独自の重要な商習慣が本国に理解されにくいという課題があります。肌感覚でなくデータで日本独自のキャンペーンの重要性を定量的に示したい。これもソーシャルリスニング導入の大きな理由でした。

――ソーシャルリスニングの結果は、いかがでしたか?

安倍:今回は、InstagramをはじめとしたSNS上で「ロクシタンの認知」と「シーズンごとのキャンペーンの認知」、そして「競合他社との比較」という3軸で分析しました。

 その結果、まず見えてきたのは、ロクシタンに関連するお客様の発言が予想以上に多い、また増加傾向にあるということ。一方で、該当キャンペーンに関しては発言が減少傾向にあり、競合ブランドに関する発言のほうが増加率が高いことがわかりました。

吉屋:製品の価格についてネガティブな反応があるのではと懸念していたのですが、価格以外で製品そのものに対するポジティブな反応のほうが多かったです。また、ロイヤルティの高いお客様が購入しているという仮説を立てていましたが、新規のお客様もいらっしゃること、キャンペーンが新しい製品に触れる機会にもなっていることが読み取れました。

 「ならば、製品のラインナップや店頭ディスプレイをこういう風に工夫することができそうだ……」と、具体的な次のアクションまで考えられたのが、分析による成果です。

データで可視化することで部門間の共通理解も促進

安倍:今回の分析は、キャンペーンを企画したマーケティング担当者、また実装を担うリテイル担当者も一緒に行いました。マーケティング担当者とリテイル担当者は、それぞれ施策を振り返る視点が違います。そのため、ソーシャルリスニングを用いて、多くのお客様の声が定量的・定性的に可視化されたことは、部門間の共通認識を作るうえでも大きかったですね。

 共通言語となるデータを基に、仮説の照合・新しい発見もできています。次の企画へ反映させていこうという合意形成を取れたのもよかったですね。

――チーム全体で、改めてソーシャルの意義を認識されたのですね。次のステップは、どう考えられていますか?

吉屋:今回の発見や分析結果を深掘りしていく予定です。たとえば、先日渋谷のフラッグシップショップで注力製品を全面に押し出したキャンペーンを実施しました。その際、これまでは「〇名が来店した」というレポート作成や、ソーシャル上の声をピックアップすることなどしかできなかったのですが、今回はソーシャルでどのように話題になっているか、誰がインフルエンサーとして機能しているのかを具体的に確認することができました。

 さらに、今後はお客様の反応と売上の相関性の分析を進めていきます。このように、キャンペーンをやりっぱなしにせず、ソーシャルリスニングで受けた結果を、次の施策へ活かしていきたいと考えています。

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ロクシタンが今後挑戦したい3つのこと

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マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/06/29 09:00 https://markezine.jp/article/detail/28665

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