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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

SNS起点で生まれるマーケティングトレンド

増え続ける「炎上」。SNS時代にブランドに求められるレジリエンス(回復力)とは何か?

「炎上」から「称賛」へ、風向きを大きく変えた事例

 では、ここから実際に炎上から柔軟な対応で高い回復力を見せた事例を3つ紹介します。

事例1:無印良品 「ごはんにかける ふかひれスープ」販売中止運動

 1つ目は、2013年の無印良品の「ごはんにかける ふかひれスープ」販売中止運動に対する企業側の対応です。この事例では、「準絶滅危惧種であるヨシキリザメをふかひれ目的で乱獲している」との指摘から、販売中止運動が展開される事態が起こりました。

 当初企業は静観していたものの、その後に対応を変えて「準絶滅危惧種とは、国際自然保護連合(IUCN)でも低リスクと位置づけられており、ヨシキリザメはさらにその下位に位置する」「主にマグロ延縄漁で水揚げされたものを使っている」「身は練り物や健康食品、工芸品など様々なものへ利用されているためFinning(ヒレだけを取るためのサメの殺りく方法)ではない」などといった説明を丁寧に行ったうえで、「気仙沼の伝統的地場産業の一助になることから販売を継続する」と発表しました。

 単なる誤解であれば静観することも1つの方法です。しかし、この場合は企業側からの丁寧な説明により、逆に「徹底した素材管理体制」や企業としての「三方良し」の姿勢が生活者に伝わることとなり、称賛の声が上がるまでに状況が回復しました。

 本件では、炎上開始から鎮火まで約1万のエンゲージメント数(※)が発生しましたが、筆者が確認する限りその約半分が好意的なコメントでした。

(※)エンゲージメント数とは

 いいねやシェア、コメント、リツイートなどFacebookとTwitterでの総アクション数に加え、対象コンテンツについて取り上げた記事に対するSNS上における口コミなどの総数。スパイスボックスの独自ツールにて計測。

事例2:チロルチョコ 「商品への芋虫混入疑惑」

 2つ目は、これも2013年に起きたチロルチョコの芋虫混入疑惑に対する企業対応です。あるTwitterユーザーが、「チロルチョコに芋虫が入っていた」とインパクトのある画像を投稿し即座に炎上しました。しかし、その際の企業対応は極めて冷静かつ迅速なものでした。

 ユーザー投稿の3時間後には、「お騒がせしており申し訳御座いません」とのコメントとともに、該当商品の最終出荷が半年前であり、画像の芋虫が推定生後30日から40日であることから商品購入後に混入されたことを示唆するツイートを行いました。

 本件では、問題発生から3時間という極めて迅速な対応と的確な説明が、炎上の拡大を未然に防ぐことにつながりました。

事例3:龍角散 「ドーピング騒動」

 3つ目は、昨年起きた、龍角散の「ドーピング騒動」における企業対応です。リオデジャネイロ五輪に日本代表として出場したある選手が、自身の勘違いから世界反ドーピング機関(WADA)が定める禁止薬物リストに新たに加わった物質が「龍角散ののどすっきり飴」に含まれている、とツイートしました。

 本人はすぐに誤りに気づきツイートを削除しましたが、情報は瞬く間に広がりました。この時、企業は情報が広がってすぐにサイトで情報を訂正。さらに、“龍角散ののど飴を子どもの頃から愛用している”という選手に対して、「有望な選手。これからも応援していく」と寛容な対応と気遣いを見せたことで逆に“企業の神対応”として知られる事例となりました。

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共通点は、「誠実さ」と「普段からのエンゲージメント量」

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この記事の著者

森竹 アル(モリタケ アル)

 スパイスボックス 取締役副社長 事業統括責任者。2006年にスパイスボックス入社。プロデューサーとして大手自動車メーカー、食品メーカー、ゲーム会社等のデジタルマーケティングを支援。2013年、プロデュース局局長就任。すべてのクライアントワークを統括。2016年以降は、ソーシャルメディアを中心に「共感」と「話題」を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/07/05 09:00 https://markezine.jp/article/detail/28776

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