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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Autumn

イベントレポート

FacebookとGoogleが、「PROGRAMMATIC I/O SF」で語った課題と展望

FacebookにおけるAIの活用の現状と展望

 本セッションでは、残りの時間の中でさらにFacebookの未来への取り組みについてインタビューが続きました。「今後Facebookではどのようにターゲティングが進化し、そして同時に“安全装置”を構築していくと考えているか?」とのAllison氏の質問に、Mark氏は前述の「パートナーカテゴリ」の廃止について再度言及。今後広告のためのデータはより精査していくと話しました。

 その中でMark氏は“Ads relevance”について触れ、「データは(本来)広告関連性向上のための重要なキーであるとみんながわかっている」と述べました。「(パートナーカテゴリ―のような)ターゲティングのための”データサプライチェーン“は曖昧な面も多く、人々を不快にしてきた面もある。今後はより明確でキレイな良いものにしていきたい」と抱負を述べました。

 そのための取り組みとして、ユーザーにはパーミッションツールやわかりやすいオプトアウトリンクの仕組みを構築し、広告主には認証の仕組み(ads.text)も提供していく、としました。

Allison Schiff氏 Senior Editor AdExchanger

 話題はAIにも及びました。Allison氏から機械学習の活用事例についての問いに、Mark氏は「AIの技術は広告(の最適化)だけのものではない」としながらも「現状ほとんどのAIでは(まだ)写真や動画の内容については認識ができないが、皮肉にも広告のトレンドとしてはそちらの方向(写真や、特に動画広告)にシフトしている。今後コンテンツや広告の写真や動画領域にAIの活用が進んでいけば良いユースケースも多く出てくる」と現状の課題と展望を述べました。

 また、AIがもたらすメリットとして「偽アカウントの検出」や「ヘイトスピーチやテロリズムの検出」など、運用上のネガティブ要素の検出への期待を挙げながらも、AIによる「Deep Fakes(ディープラーニングを使った画像や動画の偽造)は我々にとっては非常に懸念」とのことでした。

 そして最後に、Allison氏の「アドテクとFacebookの次のチャレンジは何か?」との問いかけに、Mark氏は新しい技術やソリューションへの“期待”を抱くことができるコメントでセッションを締めくくりました。

 「我々は多くの測定の技術とプライバシー保護の技術を開発しており、個人情報を安全に保つことがアトリビューションにつながっていくと考えている。さらにより透明性のあるオークションについても進めており、“Waterfall”型ではないものを進めている。また、多くの広告主の要望でもある”ROI”にフォーカスした取り組みも着実に進めて行く。Facebookのアルゴリズムを利用したらROIが20%向上できる、のような。そんなAIのパワーが向上するような売上計測もできるようになればと考えている」(Mark氏)

Googleのプログラマティック領域への取り組み

セッションタイトル:Google It
登壇者:Dan Taylor, Managing Director, Global Display & Programmatic Google Inc.
インタビュアー:James Hercher, Reporter, AdExchanger

 次に紹介するセッションはGoogleのGlobal Display & ProgrammaticのManaging DirectorであるDan Taylor氏へのインタビューセッションです。Googleが取り組んでいる様々な課題について、インタビュアーであるJames Hercher氏(Reporter, AdExchanger)のテンポのよい質問によって、短い時間の中でも豊富な話題での進行がなされました。

(左)Dan Taylor氏 Managing Director  Global Display & Programmatic Google
(右)James Hercher氏 Reporter AdExchanger

James:まず最初に、DFP(DoubleClick for Publishers)にローンチしたヘッダービッティングについて教えてください。

Dan:これまでDFPでクローズドベータ版で提供してきた“Exchange Bidding”がすべてのユーザーの皆さんに先週(4月8日)公開されました。これはパブリッシャーのすべてのインプレッションの収益最大化を支援する仕組みです。現在、Google アナリティクスへの連携機能などもテスト中です。ベータに参加されたパブリッシャーは多くが二桁以上の数値改善をし、一部では40%も売り上げを増やしたケースもありました。今後はエクスチェンジパートナーも10社ほど増やしていく予定です。

 同時にレポーティング機能も強化していくので、どのエクスチェンジパートナーが収益に貢献しているかもわかるようになり、選択できるようになります。今後は、ビデオ広告のような新しいフォーマットにも拡張していきたいと考えています。

 さらに今後は、プログラマティックの取り引きをオープンなオークションだけではない形へも広げていく予定で、既にアルファテストの段階に入っています(参考記事:Exchange Bidding now available to all customers using DoubleClick for Publishers)。

James:セルサイドの透明性については、現状何が課題と考えていますか?

Dan:透明性についてはセルサイドのパートナーもデータ・サプライチェーンによりフォーカスしてきているように感じます。広告主の視点からも、全体的なデータ・サプライチェーンの透明性については昨年来フォーカスされてきました。その中でも「ads.text」はとても大きな前進だと思います。DBM(Doubleclick Bid Manager)でも昨年ads.textによって認証されたデジタルセラーからのみ広告を買い付ける機能をローンチしました。

James:一方でads.textの採用はまだ50~60%あたりで留まっているようですが、どうお考えですか?

Dan:我々がDBMで見ている状況では、在庫の半分以上はads.textが入っている様です。が、必ずしもパブリッシャーの半数しか採用していないということではなく、より多くのパブリッシャーが採用しその多くが広告詐称について最も懸念をしている状況にあると思います。これについては、今後も着実に進めて行く事がとても重要です。ads.textの採用の広がりによって、買い付けボリュームの減少の心配なく安心して広告の買い付けができるようになるでしょう。

James:サードバーティ(データ)パートナーについてはどのような変化が起きているか?

Dan:AdWordsにおいては、サードパーティデータによるターゲティングはまだ提供しておらずファーストパーティデータによる“カスタマーマッチ”で独自データによるターゲティングは可能です。DoubleClickでは外部のデータプロバイダーとのリレーションによってよりマーケター達が欲しがるようなデータをカスタマイズできる機能があり、そこの領域にはこれまでとの状況に特に変化はありませんが我々はそれを促進しています。

James:YouTubeへの第三者配信について変化があったようですが教えてください。

Dan:2017年1月にYouTubeの第三者広告配信については“a signed-in model”(認証されたパートナーにのみ許可する)に移行したと発表しました(参考リンク)。トラッキングと測定のパートナー数を減らし、信頼できる(NielsenやIASなどの)パートナーとより密接に仕事をしていくでしょう。そして、広告主はそれらの測定のパートナー会社を選択できるようにしています。

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データの主導権はユーザーに。Googleのビジネスへの影響は?

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この記事の著者

山浦 直宏(アユダンテ)(ヤマウラ ナオヒロ(アユダンテ))

アユダンテ株式会社 データソリューション推進統括部 統括部長
チーフエグゼクティブコンサルタント
元立教大学経営学部兼任講師

読売広告社において、事業局、営業局、デジタルビジネス局を経て、ファーストリテイリング、トランスコスモスにて一貫してデジタルマーケティングに従事。2016年よりアユダンテに勤務。 ネット広告の黎明期より一貫して、ネット広告、デジタルマーケティング畑を歩む。アクセス解析には2003年より取組み、解析・コンサルティングの実績多数。2010年よりGoogle アナリティクス360を中心としたデジタルマーケティングコ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/07/13 08:00 https://markezine.jp/article/detail/28817

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