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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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スモールマスはデジタルに閉じたものではない。データ起点でコミュニティを発見、売上を拡大した花王の事例

立体的なPR施策で情報拡散&口コミ数増加、その全体像とは?

――「ブラックプリマ」のマーケティング施策の全体像を教えてください。

市橋:商品の発売は5月と決まっていたのですが、実は2月時点ではまったく施策が決まっておらず……。今夏にどう情報を波及させ購買に繋げていくかを、デジタルマーケティング部の皆さんにアイデアをいただきました。

 そこで「エイプリルフール」に着目し、ここを起点に情報を拡散していきました。4月1日に「嘘かもしれないけどこんな下地が出る」といったリリースを発表して、4月3日に「ブラックプリマは本当に発売します」とネタばらしをして、即日EC予約を開始しました。そして5月中旬の出荷開始に向けて、ゴールデンウィーク中にWeb動画やTwitter、Instagramなどで情報を拡散していきました。

――施策の結果は?

市橋:発売日の約1ヵ月前から一連の取り組みをスタートし、エイプリルフール施策、動画のクリエイティブを含め商品以外のところでも話題に。情報もうまく広がり、当初想定よりも30倍のスピードで完売することができました。

 嬉しかったのは、狙い通り、SNSでの口コミがブラックプリマ発売前後で比較すると、1.2倍に増えたことですね。男性のツイート量も約3倍に増加しました。商品リリースまでの4月1日~5月14日の期間で、Twitterにおいての投稿数×フォロワー数の延べ配信数は493万回、Instagramでは46万回にのぼりました。

 さらに口コミを詳しくみてみると、超オイリー肌の方だけでなく、男性の方をはじめ新しいお客様にご購入いただけたことがわかりました。また、プリマヴィスタのテカリ対策への本気度が伝わったなど、好意的なコメントも多くいただき、ブランドイメージアップへ貢献することもできました。

広末:話題になるためには、お客様の気持ちが一番大事です。僕らはデジタルの部署ですが、実は、実際にSNS上に書き込んでくださった方々に直接お会いして、度々調査を行っています。どうして書き込みをしたのか、どういうブランドが気持ちを動かすのかを、リアルで聞き出し、インサイトを見つけていくんです。

Amazonのレビューは90件超え。女性だけでなく、男性の口コミも見られる。

スモールマスはどこにある?見つけ方と伝え方

――顧客の声から、スモールマスを見つけていくのでしょうか?

広末:もともと皮脂くずれに強いプリマヴィスタでも物足りないと感じている少数の超オイリー肌の方が求めている商品を届けたいという思いから、よりテカりにくく、サラサラした使用感に特化した「ブラックプリマ」の開発につながりました。

 つまり、この商品が必要な人が、すでに「マス」ではなく「スモールマス」なんです。そしてこの商品を必要としている人たちのコミュニティは1つではなく、アパレルなど人前に出る職業で化粧くずれに悩んでいる方だったり、男性でメイクをされる方だったり、色んなところに点在しています。

 なので商品自体はスモールマス向けのものですが、伝え方までスモールではだめです。コミュニケーションにおいてはコミュニティ向けに発信するのではなく、「超オイリー肌向けのものが出たよ、男性の方にも満足できる使い心地です」と、なるべく大きな話題になるようにしないと、本当に必要としている人に情報は届きません。これがPRの根底にある考え方です。

――施策が成功した一番の理由は何だと思いますか?

広末:マーケティング施策としては、ターゲティングしすぎないというバランスがうまくいったことでしょうか。狭いところを狙いつつ、話題を広くというのは、なかなか売上につなげるのが難しいのですが、今回はそのバランスが上手く行ったのではないかと思います。

市橋:商品の特徴が尖っていたのも大きいと思います。購入者の8割は、自分がオイリー肌だと答えています。そんな悩みを抱えている方が、この商品を手にしてくれて、商品使用後の製品評価も高かったんです。購入者アンケートで、超オイリー肌用シリーズとして他にどんなアイテムが欲しいか伺うと、実に7割の方が具体的に欲しいものを回答してくださりました。

――確かに、「自分のための商品が出た!」と思われている方は多そうですね。

市橋:はい。「私のために発売してくれたの?」「なんで限定品なの?」というお声をいただいています。超オイリー肌で悩む方が本当に助かる商品として、今後はシリーズ展開も含め、然るべき人に届けられるようにしていきたいです。

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スタートは既存購入者の分析から。「ビオレ 冷シート」のマーケティング戦略

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この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/07/26 08:00 https://markezine.jp/article/detail/28851

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