商品開発から関わりファンの声に触れて
――現在の主な業務内容は?

ポッキーのブランドメッセージは「Share happiness!」。ポッキーを大切な人と食べ分け合うことで、幸せな時間が共有できるという考え方です。私は日々、Share happiness! を創出するマーケティング活動を、ブランドマネージャーのもと4名のチームメンバーと一緒に行っています。ポッキーの課題は高い認知度に比べ、積極的に「ポッキーを買いたい」というお客様が少ないということ。習慣的に買っていただけるヘビーユーザーを増やすことが、ミッションとなります。年間の購入率などを指標に目標数値を定め、細かくKPIを設定するという方法でマーケティングプランを考え、実行しています。
仕事の範囲は広く、定番商品のプロモーションから新商品の開発まで行います。赤い箱でおなじみのポッキー チョコレートを中心とした5種類の主力商品、年間を通して5回のキャンペーンを行っています。たとえば11月11日のポッキー・プリッツの日は、毎年新しい企画が欠かせません。また今年のバレンタイン商戦では、「恋人はポッキー」というキャンペーンを行いました。これは、ポッキーそれぞれの特徴を5人のイケメン男性キャラクターたちに反映させ、ポッキーを恋人のような存在として感じていただこうという企画です。パッケージに掲載されたキャラクターのイラストを専用のARアプリで読み取ると、キャラクターが表示され、人気声優が甘い声で話しかけてくれる仕組みです。今やバレンタインは、女性同士で盛り上がることも楽しみの一つ。女性たちの間で話題となり、キャラクターを通してポッキーに興味を持っていただけたらと考えました。
――商品開発には、どのように関わるのですか。
「こんなポッキーはどうだろうか」という企画を考え、開発チームと一緒に商品作りから関わります。さらにパッケージのデザインやプロモーション戦略、店頭に並ぶところまでをすべて行いますので、大変やりがいがありますね。
現在、自身の担当商品の中で力を入れているのは、観光地のお土産として人気の高い地域限定の「ご当地みやげポッキー」です。ご当地お土産の先駆けとして20年以上も親しまれてきましたが、2016年より「地元とつくる、地元ポッキー」というコンセプトにリニューアルし、地域との関わりをさらに深めています。行政にも参加いただき、JAと共同開発を行い販売している商品は、7種類にものぼります。これらは空港の免税店でも販売され、インバウンド向けのお土産としても大変好評をいただいています。

――ご自身が手がけた商品の反応は、気になりますよね。
はい。毎朝、通勤時にはSNSをチェックしています。「このポッキー、とてもおいしい!」という投稿を見かけると嬉しいですね。また、ポッキーダンスを踊った動画や新商品の食べ比べ動画などを公開し、積極的に広めてくださる大ファンなお客様の存在は、とてもありがたいです。キャンペーンに対してのダイレクトな反応も嬉しいですが、自然発生したポジティブな口コミが広がっていく様子を見るのは、より大きな喜びを感じます。
――日用消費財であるお菓子はマスのプロモーション比率が高くなりますが、デジタルマーケティングへの取り組みはいかがでしょうか。
グリコも時代に合わせ、マス戦略からデジタルマーケティングへのシフトが加速しています。特にポッキーは、グリコが展開するブランドの中で唯一単独のSNSアカウント※を持ち、オウンドメディアを運営しています。メーカーとして珍しい運用かと思いますが、ポッキーは世界約30ヵ国で展開し、海外のファンも多い商品です。そこでポッキーブランドを前面に出し、グリコへの興味を持っていただく入り口として情報発信をしていこうという戦略で進めています。
また「GLICODE(グリコード)」という、お菓子を用いてプログラミングができるアプリも提供しています。このような取り組みから得られた知見やノウハウをもとに、ARのようなテクノロジーを絡めたおもしろいデジタルキャンペーンもできたらと考えています。