1977年生まれ。神奈川県出身。フリーランスのコンテンツプランナーとして活動。その後、政策シンクタンクへ研究員として参画する傍ら、事業戦略コンサルティングや新規事業開発などに従事する。2007年、Baidu(百度)の日本法人立ち上げにあたり、事業担当役員に就任。
日本進出のきっかけ
── なぜ、日本市場への進出を選んだのでしょうか?
日本は、インターネットのインフラ環境は世界一だと思います。早くて、安くて、安定している。ネット上でサービスを展開する会社にとって、これほど安定的な環境はないでしょう。そして、ユーザーリテラシーも高い。サービスをしっかりと評価できるユーザーがたくさんいらっしゃると思います。そのほか、技術的な親和性の高さも大きなポイントですね。ご存知のとおり、中国はダブルバイトで文字をあらわします。そして、英語圏よりも漢字圏の方が、曖昧性があり多義性がある。私たちはそのジャンルを8年間研究し続けてきています。その先行者メリットを生かそうと思ったのです。そういった様々なメリットを考慮した上で、日本進出を決めました。
百度が考える“差別化”
── しかし、Google、Yahoo!の牙城を崩すことは簡単ではないと思います。他の2社との差別化はどのように考えてますか?
日本市場では後発組なので、“わかりやすい差別化”も、当然検討してきました。しかし、検索エンジンにとって一番重要なことは、なんでしょうか? それは、“精度”だと私たちは思います。地味でベーシックなことだと思いますが、情報を求めるユーザーに対して、適切な情報を表示する。これこそが検索エンジンの使命です。8年前にも「ヤフーも、Googleもいるのに」という同様の指摘を受けました。しかし、私たちは中国ではNo1の地位を勝ち取ったのです。
── なるほど。一方で、ユーザーは「精度」をそれほど求めていないのではないか? という声もありますが。
そのような意見も聞きますが、ユーザーは精度にこだわっていると私たちは考えています。実際、調査で2つ以上のサイトを利用しているユーザーが7割もいることがわかりました。まずは、この「2番目の選択肢になりたい」という意味で「セカンドサーチエンジンを目指す」という目標を掲げています。もちろん、最終的にはNo1を狙っていきますが。よく、中国でNo1をとった理由として、mp3検索を話題にする方もいますが、実は単純に検索の精度が高かったという側面の方が大きいと思っています。
私たちは、ユーザーファースト、ユーザーフレンドリーといった信念を持っています。そのため、ブロガー発表会のような場も設け、よりユーザーの声を大事にしています。他社が既に出しているサービスであっても、ユーザーニーズがあると判断すれば、私たちも取り組みます。つまり、テクノロジーオリエンテッドというよりは、マーケットオリエンテッドを重視し、より多くの人に使ってもらえるような大衆的なサービスを生み出していきたいと思っています。