ネットで話題になった後、来場者が約2倍に
――ネット話題になる前と後でどういった変化がありましたか?
岡田:池袋では、平日休日どちらにおいても入場者数が約2倍になりました。それ以降に開催した会場では、ネットでの話題性や「SNS映え」を意識して、展示方法に細かな修正を加えました。具体的には、「においBOXそれぞれにそのにおいを想起する色を付ける」「展示物の内容にあわせ照明の配置を調整」などです。
――各地で開催されるようになった「におい展」ですが、今後はどういった展開をお考えですか?
岡田:パルコ他店での巡回は検討していますが、パルコ全店での開催は予定しておらず、厳選した場所での開催となります。福岡・札幌・静岡では、池袋に比べると期間が短く、会場規模が小さい場所もあるので、まずはトータル10万人超えを目標にしていました。
――「臭いにおい」にフォーカスされている気がする「におい展」ですが、具体的なコンセプトはどういったものでしょうか?

岡田:公式サイトを見ると、臭いにおいばかりのように感じるかもしれませんが、花や香水、香木、フェロモンなど「良いにおい」とされるものも多く展示されています。コンセプトとして掲げたのは、「普段嗅ぐことができるけど嗅ぎたくない」や「なかなか嗅ぐ機会がないもの」など、様々なにおいを楽しめる空間にするということです。そのため、日常生活であまり気に留めないにおいに関しては、あえて外しました。
――展示品の選別はどういった基準で行ったのでしょうか?
岡田:におい展実行委員会のメンバーで、コンセプト(嗅ぎたくてもなかなか嗅ぐ機会がない、もしくは普段嗅げるが嗅ぎたくもない)に沿って選定しました。
YouTuberやインスタグラマー、口コミ(SNS)の影響力は?
――実際来場された方々の反応はどういったものだったのでしょうか?
岡田:池袋で開催した時から展示しているドリアンが、実は「グロい」ということに驚くなど、聞いたことがあるけど目にしたことがないものを見ることができたという声がありましたね。また、女性のほうが男性よりも臭いにおいに強い傾向にあるようで、臭いにおいを嫌がる男性を女性がリードしている姿が見られました。
――MarkeZine読者に向けて、有益なアドバイスをお願いできますでしょうか?
岡田:イベントの集客を強化する手段として、ネットで話題にできるかどうかは、重要なポイントです。今回、YouTuberやインスタグラマー、口コミ(SNS)の影響力の大きさを肌で感じました。ネットの拡散を呼び込むためにも、イベント参加者がネットで情報発信した際に、受け手がパッと見て一瞬でその良さを理解できるよう、企画をわかりやすく組み立てることが求められると思います。
――どうもありがとうございました。
新しい体験、発見、驚きなどを提供するイベントはSNSで拡散しやすいため、SNSマーケティングと相性が良いとよく言われます。「におい展」が話題になったのも、著名YouTuberというインフルエンサー経由でSNS世代(10~30代)に情報が伝わり、実際に来場した方々がSNSでさらに情報拡散したからではないでしょうか。
さらに言うならば、今回は、ネット上では不可能な「におい」を嗅ぐというリアルな体験にフォーカスし、「なかなか嗅ぐ機会がないもの」を展示品として取りそろえることで、上手く来場促進につなげた事例かと思います。今回で3回目の開催となった「におい展」ですが、過去2回の経験値を活かしてPDCAサイクルを上手く回しているからこそ、イベントが継続できているのだと感じました。