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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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私のキャリア

渋谷から若者のリアルを発信し、“around20”情報のプロフェッショナルを目指す

定量で見えない若者の本音はグループインタビューで

――グループインタビューには、どのような若者が参加していますか。

 実際に109へ遊びに来ている高校生や大学生に協力をお願いしています。施設内で取材調査を行っていまして、そのときグループインタビュー参加の可否も聞き、テーマごとに依頼をするという方法です。前もって1対1でインタビューを行い、一人ひとりがどんなことに興味があるのかも引き出していますよ。

 私も26才ですし、はじめのうちは、あまりターゲット層と年は変わらないなという気持ちがありました(笑)。しかし実際に話をしてみると、描いていた若者イメージとのギャップを感じます。たとえば好きなファッションブランドを聞いても、「特にない」と答える子は少なくありません。グループインタビューで細かく聞いていくと、ようやくブランド名が出てくるんです。彼女達にとっては、ブランドへのこだわりよりも、いろいろなテイストのファッションを取り入れるほうが大切なんですね。

 これまでの若者は「特定のブランドを着ている自分」という自己表現をしていましたが、今はファッションだけでなく、自分を構成する要素を複数持っています。

グループインタビューの様子
グループインタビューの様子

――インタビュイーとの関係性構築も大切ですね。

 先日、SHIBUYA109 lab.と産業能率大学の共同調査として、「イマドキJKのおしゃれ7タイプ」をリリースしました。そのうち109へ遊びに来ているのは、海外カルチャーが好きな「LA・JK」と、消費行動が活発な「量産型ガーリーJK」。そして、流行をプチプラで押さえる「THEミーハーJK」タイプな女の子たちという結果が出ています。共通点としては、トレンドに敏感なところでしょうか。ギャルイメージの根強い109ですが、いろいろな子が来ていますよ。

――最近の若者の消費動向で印象的なことは何かありますか?

 韓国ファッションやメイクが女の子たちの間で流行っていることもあり、日本にないブランドをInstagramで発見して、ECで買っていますね。流行は国境なく広がっていると実感します。国内ブランドでも、買うのはネットだけど、ショップで受け取りたいという子も見かけます。

 「若者の○○離れ」とは言われますが、実際に声を聞くとそうではありません。オシャレに興味もあるし、消費意欲もある。若者人口が減っていることは事実ですが、興味が細かく分散してしまっているんですよね。グループインタビューの結果から仮説を立てて、定量調査などでも検証しますが、若者は実際の声を聞かないとわからないことが多いなと感じます。

できないではなく、どうやったらできるかを考える

――仕事をする上で、心がけていることは?

 困難にぶつかったときは、できないではなく、どうやったらできるかをポジティブに考えるようにしています。前職では、あらゆる業種のマーケティング課題と向き合っていましたから、課題に合わせた解決方法を考え、自社ソリューション以外の方法で対応することもありました。諦めず120%の力でやり遂げてきたからこそ、「長田さんだから頼める」「安心して相談できる」とお客様から信頼されたのは、嬉しかったです。転職のときは「成長の機会だから、がんばって」とたくさんの応援をいただき、励みになりました。

 SHIBUYA109エンタテイメントへ入社してからは、マーケティング機能の立ち上げと社内周知に取り組んできました。社内の人達がどのような仕事をして、何を課題としているのかを理解しないと、調査の提案もできません。ここでも、自分ができることを考えるという視点は役立っています。1年経った今では、各部署とコミュニケーションを取る場を設け、調査依頼やグループインタビューのテーマなど積極的に相談を受けるようになっています。

――SHIBUYA109 lab.のサイトにあるプロフィールには「今年の目標は、若者マーケターとしてテレビ番組に出ること」とありました。

 はい。若者マーケティングのプロフェッショナルとなり、テレビの情報番組にコメンテーターとして出演したいです。

 今は主に市場調査を行っていますが、組織を変えていくマーケティング、一緒に働く人達の幸せを叶える仕組みや消費者とブランドの心地よい関係を作っていける、CMOのような存在を目指していければと思います。

 前職で多くのブランド調査を行ってきましたが、見えてきた課題はシンプルに解決できるものばかりではありません。中には、マーケティングコミュニケーションの方法を変えるだけでなく、組織全体に踏み込んで体制を整えないと解決できないこともありました。そこで解決にひるんでいては、調査をした意味がないんですよね。ある企業の調査依頼では、上層部の方にお集まりいただき、それぞれの課題を引き出し、改善につなげるというワークショップの場を設けることも行いました。その経験が、マーケティング視点で組織や戦略立案を考えるCMOへの関心につながったのかもしれません。

――その目標に向かって、直近のミッションは?

 まずは109のブランディングにマーケティング視点から取り組んでいきます。買うという行動はどこでもできますので、これまでの小売りというポジションから脱していかなくてはなりません。アパレル業界も、消費者視点を意識したマーケティングの重要性に気づき、各ブランドがアンテナを高くして取り組みをはじめています。同じブランドでも、109で買いたい、109で買うのがカッコイイと思っていただけるような付加価値を作っていきたいですね。

 渋谷の特徴は、大人と若者・いろんな国の人たちといった、普段は顔を合わせることが少ない人々が自然と集まってくるという、ハブのような存在であること。109は渋谷の象徴というポジションをいただいていますが、ブランドや商業施設同士で手を取り合い、渋谷全体を盛り上げていけたらと思います。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

市川 明徳(編集部)(イチカワ アキノリ)

MarkeZine編集部 副編集長
大学卒業後、編集プロダクションに入社。漫画を活用した広告・書籍のクリエイティブ統括、シナリオライティングにあたり、漫画技術書のベスト&ロングセラーを多数手がける。2015年、翔泳社に入社。MarkeZine編集部に所属。漫画記事や独自取材記事など幅広いアウトプットを行っている。
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MarkeZine(マーケジン)
2018/08/24 14:15 https://markezine.jp/article/detail/29047

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