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第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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統括編集長インタビュー

ボトムアップとトップダウンの両輪で、粘り強く迅速に組織変革 躍進するJR九州のデジタル推進舞台裏

 クルーズトレイン 「ななつ星in九州」のヒット、2016年10月の東証一部上場など近年躍進が目立つJR九州。ネット経由の列車予約やスマホアプリ、JRキューポを中心に据えたJR九州グループCRM基盤構築の構想などデジタル活用に積極的だ。中長期の視点でどのような構想を描いているのか。デジタル推進の鬼門である“組織の壁”をどう乗り越えているのか。JR九州におけるデジタル活用推進のキーパーソンである森上席執行役員とグループマーケティング室のメンバーに聞いた。

事業横断に再度チャレンジすべき時期

―― ネットやアプリでの列車予約、JRキューポの取り組みなど積極的にデジタル活用を進めている印象を受けます。中長期を見据えてそれらの取り組みを加速していると聞きますが、推進するにいたったきっかけ、どのような課題感をお持ちだったかなどについて教えてください。

JR九州 総合企画本部副本部長 経営企画部長 上席執行役員 森亨弘氏
JR九州 総合企画本部副本部長 経営企画部長 上席執行役員 森亨弘氏

森:当社は鉄道事業を中心として駅ビル、ホテル、飲食、小売り、不動産など九州全域にわたる総合的なまちづくりを推進する事業を展開しています。デジタルの活用を進めるきっかけとなった出来事はいくつかありますが、ネットを介した列車予約サービスの売上が増えたことが大きかったですね。

 そこから、デジタルを強化していこうという空気ができてきました。それと並行して上層部へネット列車予約の強化やポイントの共通化など、デジタル活用を推進する目的のプレゼンを数年前から行い「そう言うならやってみよう」となり、現在のJR九州キューポの取り組みにつながっています。

 当社の事業環境を考えるとデジタル推進は必然です。そもそも、九州エリア中心で事業を運営する企業のため、今後の少子高齢化や地方からの人口流出を想定すると、新しいビジネススキームへの挑戦をしなければいけないという危機感をもっていました。

 鉄道会社(JR)の場合、事業ごとに独立した運営をしながら、駅という立地で相乗効果を生み出すモデルが多いため、立地以外での事業横断の取り組みが進みにくい環境にあります。しかしながら、昨今のテクノロジーの発展により、膨大なデータを統合でき、かつ高速に処理できるようになっているため、事業横断での思考に再度挑戦する時期になっていると捉えております。

能力あり・やる気ありの人材を招集

―― 大企業がデジタル推進を進める場合、どのような体制を取られているのかでスピードやコミット感が変わってくると思います。皆さんが所属するグループマーケティング室の担当領域や人数について教えてください。

総合企画本部 経営企画部 グループマーケティング室 室長 相良周平氏
総合企画本部 経営企画部 グループマーケティング室 室長 相良周平氏

相良:鉄道のネット列車予約でたまる「eレールポイント」、ハウスカードのJQCARDでたまる「JQポイント」、ICカードSUGOCAでたまる「SUGOCAポイント」を統合した「JRキューポ」を活用したJR九州グループのCRM戦略の基盤構築を担当しています。それら3つのポイントの顧客情報・購買データを活用したデータマーケティングを推進し、顧客とJR九州グループをつないでいきたいと考えています。

 事業横断のミッションを担うグループマーケティング室としては、経営企画部長および各事業が集められた精鋭スタッフ5名が在籍。さらに、主要な関係者である、鉄道事業本部営業部長と事業開発本部カード事業部長が兼務する体制となっています。

森:会社全体としてデジタル活用推進が遅れているという認識は持っており、各事業でも勉強している状況というのが正直なところです。そもそもポイントが1つであれば楽だったのに、なぜ3つもあるんだという状況でして(笑)。

 その複雑な状況を打開していくメンバーなのでこれまでの経験や能力を考慮した結果、今の5人に来ていただきました。人材は、能力ある・ない、やる気ある・ないの四象限でわけられると考えているのですが、やる気があって能力もあるメンバーが集まっています。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/09/14 08:00 https://markezine.jp/article/detail/29093

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