ユーザーにあった広告は本来楽しいはず
――「UZOU」について教えてください。どのようなプラットフォームなのでしょうか?
左納:「UZOU」は、レコメンドウィジェット型のネイティブアド配信プラットフォームです。最近では記事の下のほうに、「この記事を読んだ方にはこれもおすすめ」というレコメンドが出てきますよね。ここには我々「UZOU」を始め、複数のベンダーが提供する枠が増えてきています。
左納:「女性自身」さんの場合は、その記事を読んでいる人が興味を持ちそうなものや、その記事との親和性がありそうなものをレコメンドします。自然な形で文脈にあった広告、ユーザーに近い広告を出すことができるプラットフォームです。
藤田:多くのユーザーにとって広告は必要がないものと思われがちです。ですが、メディア側は収益化しないと良いコンテンツを作れません。もっと言えば、日本の広告はまだまだ収益性が低い。収益性を上げることができれば、もっと良いコンテンツが生まれてくるはずです。
私個人としての理想なのですが、子どもの頃におもちゃのチラシを見て「これが欲しいな」とワクワクしたような世界を作りたいと思っております。その背景には、ユーザーが欲しいものを勧める広告は本来楽しいはずという考えがあります。実現することはなかなか難しいですが、そこを目指していきたいですね。
「UZOU」導入後、ネット広告の収益は約4倍に
――「文脈に沿った広告を配信する」という点はビューアビリティにも関係してくるところだと思います。ビューアビリティやブランドセーフティの面で取り組んでいらっしゃることはありますか?
藤田:当然、アダルトコンテンツに該当する広告などは流れません。また、ビフォー・アフターなどの誇張した広告も基本的には流れないよう、広告配信できる基準を保ち審査する体制を整えています。
――光文社さんに伺います。UZOUを導入以降、収益やサイト訪問者数などの数字にどのような影響がありましたか?
佐藤:記事のCTRに関しては、2017年3月時点で3.93%でしたが、現在は4.64%にまで上昇しています。PVも伸びているので一概に比較はできませんが、広告収益で見ると約4倍の成長をしています。記事の回遊率も約2倍になっていますね。導入からすぐに急増したわけではありませんが、1年半でこの増加はとてもありがたいです。
メディアに寄り添い、業界の動向を含めた情報を共有
――藤田さんはサービス導入後もメディアと密に連携を取っているそうですね。具体的にはどういった話をするのでしょうか?
藤田:「UZOU」には 広告を改善するためのアルゴリズムが複数あり、日々成果に応じてチューニングなどの作業を我々で行わせていただいております。そうした全体の状況や直近の広告の在庫などを含めた収益の動向、広告業界全体の潮流などの話をさせていただいております。
佐久間:以前、こちらから「収益が前月より下がっていますが、何かアルゴリズムに変更がありましたか?」と問い合わせたところ、「新しいアルゴリズムにちょうど変更したタイミングで、チューニングをかけながら改善を進めている」というお返事をいただいたことがあります。コミュニケーションの面では密に連携を取れていると思います。
左納:アルゴリズム以外だと、初期の頃にフォーマットに関して何度か調整させてもらいました。我々は内部で様々なデザインを検証する専用のチームを持っています。デザイナー、コーダーなどでチームを編成していて、他のメディア様で効果が出たフォーマットをこちらから提案してテストをする、といったことも行っています。