イマドキ女子は「家に帰ったらまずテレビ」ではない
若者は、変化に敏感で受け入れやすいという特性からニーズ変化の予兆となりやすい。また、企業にとって「お客様」エントリー層である彼らは将来の顧客候補であり、競合他社より先に彼らの心をつかみ、囲い込みたい存在だ。そのため、商品・サービス開発やコミュニケーション・販促活動において重要な層となる。
しかしながら、メーカー・広告代理店・メディア、様々な企業の広告・宣伝部門の方からよく耳にするお悩みがある。「ウチも若年層に向けてWebでのコミュニケーションに力をいれたいが、知見もなくイマイチ…」「イマドキの若者の気持ちがわからない」というものだ。移り気な若者の実態を捉え、彼・彼女らにメッセージを届けるのはなかなか難しいのが実情なのだ。
では、どうしたら若者にメッセージを届けられるのか、データからヒントを得てみよう。今回は、若者の中でも、より流行や時代の空気への感度が高いという理由から、冒頭のインタビューで紹介した15~24歳の若年女性「イマドキ女子」に着目したい。彼女たちはマーケティング活動の重要ターゲットであると同時に、デジタル化が進む今後に向けての示唆も与えてくれるはずだ。図表1は、i-SSPでイマドキ女子のテレビとスマートフォンの利用時間を時間帯ごとに示したものである。比較対象として、性年代計(TOTAL)の利用状況も合わせてみている。

どちらも、ほぼすべての時間でスマートフォンの利用時間がテレビを大きく上回っている。ただし、在宅率の高い朝帯と19時以降はテレビの視聴時間も大きく増える。特にTOTALでは、19~22時台のプライムタイムには、テレビの視聴がスマートフォンの利用時間を上回り逆転する。一方、イマドキ女子は、同じくプライムタイムにテレビ視聴のピークを迎えるもののTOTALほどの大きな山にはならず、この時間帯においてもテレビ視聴時間の1.5~2倍もスマートフォンを利用している。
よく言われることだが、この結果からもイマドキ女子には、プライムタイムですらテレビCMを中心としたコミュニケーションだけでは届きにくくなっているということがわかる。
家に帰ってからもやっぱりSNS
プライムタイムは、言葉の通り1日のうちテレビ視聴が最も高くなりやすい大事な時間帯と言われてきた。スマートフォンの利用状況を見てもそれは同様であり、テレビに限らずメディアを通じて企業がメッセージを届ける絶好の時間帯と言える。では、イマドキ女子にプライムタイムにメッセージを届けるにはテレビの他に何が有効なのだろうか。スマートフォンで彼女たちが何をしているのかを、イマドキ女子のスマホ利用がピークである22時台についてi-SSPで確認してみよう。
まず、イマドキ女子が22時台に利用しているアプリのジャンルを利用時間の構成比で確認すると、SNS20.4%(TOTAL9.2%)、写真・ビデオ16.5%(TOTAL10.9%)、ゲーム14.4%(TOTAL19.7%)がTOP3で、SNS、写真・ビデオの割合がTOTALと比較して高い。具体的なアプリとしては、TOPはLINE、2位Choromeブラウザ、3位Twitterとお馴染みのアプリが並ぶ。TOTALとの差が大きいアプリとなると、pixiv、niconico(ニコニコ動画/ニコニコ生放送)、Twitter、Yahoo!乗換案内、Instagram、メルカリといったところだ(図表2)。

イマドキ女子は、プライムタイムにもやはりSNS、特に特徴的にはTwitter・Instagramを利用しており、これらがイマドキ女子にメッセージを届けやすい媒体となっているようだ。