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TikTok活用で視聴数が160%UP!AbemaTVの若年層向けマーケティングに迫る

 若年層を中心に話題となっている、ショートムービーアプリ「TikTok」。ユーザーの7割が10代から30代というインターネットテレビ局「AbemaTV」では、注力する若年層向けコンテンツのプロモーションにTikTokを採用し、大きく視聴数を伸ばしたという。「情報感度が高く、興味が移ろいやすい若年層には、押しつけないコミュニケーションが重要」と語るのは、サイバーエージェント宣伝本部 宣伝部長の野村智寿氏。同氏にTikTokを活用したAbemaTVの若年層マーケティングについて話を聞いた。

恋愛リアリティショー×TikTokで熱狂を

MarkeZine編集部(以下、MZ):今回、AbemaTVのマーケティングにTikTokを採用した背景をうかがえますか。

株式会社サイバーエージェント 宣伝本部長 野村 智寿氏

 サイバーエージェントの展開する事業の広告・宣伝を担う組織である宣伝本部の部長として、各事業のマーケティングを統括。現在は特にAbemaTVに対して注力している。

野村:若年層の方に、より習慣的にAbemaTVのコンテンツを見てもらうためです。AbemaTVは開局してまもなく2年半となりますが、視聴コア層の約7割が10代から30代です。特に10代からは熱い支持を頂いており、今までにないコンテンツを提供してきた結果だと考えています。

 しかし、その支持の熱い若年層の視聴を習慣化できているか、という意味ではあと一歩だったので、より若年層の間で熱狂を起こしたいと考え、今回の施策に踏み切りました。

MZ:どのようなコンテンツが若年層から支持されているのでしょうか。

野村:特に人気なのは、男女の等身大な恋愛模様を届ける恋愛リアリティショーというジャンルです。「オオカミくんには騙されない」シリーズは、累計で5,200万視聴を突破しており、AbemaTVでは、その他にもオリジナル番組として同ジャンルのコンテンツを制作し続けています。

 同番組を筆頭に、「今日、好きになりました。」「恋する♥週末ホームステイ」はAbemaTVの3大人気恋愛リアリティーショーで、この3番組の女子中高生(15歳~19歳の女性)の視聴者数は100万人を超え、日本全国の女子中高生のおよそ3人に1人にあたる規模になっています。

 今回TikTokを活用したのは、初対面の高校生が数泊の旅行に出かける「今日、好きになりました。」(以下、「今日好き」)という番組です。

まずTikTok以外から盛り上げる

MZ:では、今回の施策について教えてください。

野村:TwitterなどのSNSやPR施策などでTikTokの外で興味・関心を高め、TikTok内で盛り上がりを作り、そこから「今日好き」の視聴へつなげるという流れを設計しました。

MZ:TikTokには、「今日好き」の公式アカウントがあります。これを起点とせず、なぜ他のメディアでの話題作りから始めたのでしょうか。

野村:その要因は、TikTokの構造にあります。現時点でTikTokは、他のWebサイト・サービスへ遷移させづらく、外部にトラフィックを流すことが難しいんです。また、ダンス動画や音楽を使った動画の人気が高く、単に番組ダイジェストのような動画を投稿しただけでは、TikTok内で関心を引くことはできません。

MZ:なるほど。では、どのような話題作りを行ったのでしょうか。

 まずは「今日好きダンス」というダンス動画を作るところから始めました。振り付けを考えるところから「今日好き」のスピンオフ番組で配信し、ダンスに関するPRをSNSやWebで行うことで、TikTok外での認知を取りに行きます。

 そしてTikTokの公式アカウントでダンス動画を投稿し、ダンスそのものの認知をTikTokの中で得る。このままだとTikTok内で認知が完結してしまいますので、最後に種明かしとして「このダンスは、『今日好き』という番組がきっかけに生まれたんです」という認知の取り直しを行います。

 つまり、TikTokの中と外をつなぐ橋を作り、トラフィックを番組視聴へ流すことを設計したんです。これがイメージ通りに動き、TikTokをきっかけに番組を知った視聴者が増えていきました。

出演者とのつながりが良い体験を生む

MZ:盛り上がりをリードし、橋渡しの役割を担うインフルエンサーのような存在がいたのでしょうか。

野村:これは偶然ですが、そのタイミングで放送中の話題のドラマに出演中だった人気女優のお二人が、「今日好き」の主題歌を担当するアーティストと別の番組で共演していました。そのつながりもあり、お二人がInstagramに「今日好きダンス」動画を投稿したのです。

 これがブーストとなり、TikTok内で急上昇のハッシュタグやおすすめとして目立ち始め、大きな認知になりました。また、元々の番組ファンに対するアプローチはもちろん、番組出演者からの発信も行ってもらっていました。

 さらに夏休みには、期間限定で番組とコラボレーションしたカフェを原宿で行いました。ここの運営にも、同じくかつての番組出演者たちが参加しています。

 番組出演者と会い、ファン同士で語り合うことで、オンラインをリアルな体験に変える。番組の熱狂度を可視化し、濃くすることで拡散につなげ、その熱量がもう一度番組へ戻れば良いなと考えました。違う時期ですが、プリクラ機と「今日好き」のコラボも行っています。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/09/27 09:00 https://markezine.jp/article/detail/29286

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