AIマーケターになるために必要な3要素とは?
▼POINT
・AIの活用推進は文系と理系のコラボレーションで成立する
・AIマーケターとしてまず学ぶべきこととは?
AIの活用推進プロジェクトにおいて、文系のAIマーケターと理系のデータサイエンティスト・AIプログラマの両プレーヤーの存在が欠かせない。
主に数理系を出自とするAIに関わるデータサイエンティストや、AI関連のエンジニアリングを引っ張るAIプログラマは、それぞれの専門分野を深く習得する。ピュアな統計家やシステムエンジニアは、「AIの基礎学」の習得や「AIモデル作り経験」を経て、理系AIプレーヤーとして育っていく。この周辺の書籍やセミナー、教育プログラムが増えているのは周知のことだと思う。
一方で、「文系」ビジネスパーソンがAIプレーヤーになる道や具体手段は、そんなに多く語られていないのではないかと思う。ここでは広義の意味合いとして、文系のAIプレーヤーのことを「AIマーケター」と呼んでいる。このAIマーケターに必要な知識・経験が3要素に集約できる。
・AIの基礎学

先に述べたように、理系AIプレーヤーも必要とされる「AIの基礎学」「AIモデル作り経験」は、文系のAIマーケターにとっても必須科目だ。「AIの基礎学」には、(1)AI種類とできることの理解、(2)AIの基本的な仕組みの理解、(3)AIの基礎用語などが含まれる。これらの基礎学は、知識のインプットで習得可能で、ある意味丸暗記でもカバーできる領域である。選ぶ本や記事を間違えていきなりAIプログラミング解説やAI関連の数理書にあたらず、適切な基礎学に巡り会うことができればAIアレルギーになることもないだろう。
また、「AIモデル作り体験」はデジタルマーケターの皆さんに、すぐにでも行ってほしいプログラムだ。「AIモデル作り体験」では、AIモデルを作るための学習データを用意し、機械学習させて予測精度の結果を見たり、作成したAIモデルにあたらしいデータを渡して、予測作業を実際に行わせてみたりすることができる。先日、ある有名経営者の方に「企業経営者や重役の方に、AIの重要性をより理解してもらうためにはどうしたらいいですか?」と聴いたところ、「小さい規模でいいのでAI作りを自ら体験してもらうことだよ」という返答をいただいた。やはり経営者・重役も含め、すべてのビジネスマンにとって、AIモデル作りを体験して絶対に損することはない。概念論としてのAI書籍を読み漁るよりも、たった一つのAIモデルを作る経験によって実地的な知識・感覚がすぐに身につくし、AIを応用活用する知恵やビジョンもセンスがいい人はすぐに手にするのではないだろうか。
「AIの基礎学」「AIモデル作り経験」といったベーシックな知識・経験を積んだ上で、個性やビジネス経験値によって差がでてくるのが「AI活用プロデュース力」だ。社会ニーズや消費者課題を把握した上でのAI活用プランの立案、また企業内の資産とAI技術のマッチング、AIプロジェクトチームの設置とその運用などなど、「AI活用プロデュース力」は広範囲にわたる応用編的な能力の集合体と言える。