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コニカミノルタジャパンが明かす、MA活用を成功に導く4ステップ

オフラインとオンラインの連携が好印象につながる

 三番目の「コミュニケーション設計」フェーズでは、前フェーズで定義した四つのセグメントごとにナーチャリングシナリオを決めた。シナリオはセミナーとメールの二つのパターンを考えたという。

 プロジェクト開始前は、セミナーに複数回出席している人を把握できていない、同じ内容のメールを全員に送る一斉配信の運用が中心になっているといった問題があった。

 「少しでもお客様側が気持ちのいいコミュニケーションになるよう、シナリオを設計する必要がありました」(井田氏)

 セミナーのシナリオは、セミナーに出席したか否かと、ターゲットか否かで四つにグループを分け、内容を変えて配信するようにした。たとえば、何かのテーマでセミナーを実施したとしよう。その後に送るメールを出席・欠席と、ターゲットかどうかで分けて内容を変えるようにするのだ。メールではキャンペーン単位でターゲットを抽出し、その行動履歴を考慮に入れた上で、配信先と内容を決定する。

 さらに、今まではリードを営業に渡したら終わりにしていた仕組みを、実際に営業が訪問してホットではないことがわかったら、マーケティングに戻せるように変えたという。現在は、ターゲットのステータスをSFA・MA上で管理し、フォローが必要な場合のタイミングを逃さないように運用している。

 このフェーズのポイントは営業との連携に加え、オンラインだけでなくオフラインも組み込んだシナリオを設計することだという。井田氏は「MAを運用すると、どうしてもオンラインの行動だけに目が向きがちですが、セミナーへの参加やアンケートへの回答まで組み込んで、シナリオを設計することが重要です」と語った。

PDCAの徹底が生み出した効果

 四つのフェーズの最後は「PDCAの徹底」である。プロジェクト開始前は明確なKPIの設定がない状態でマーケティングに取り組んでいたコニカミノルタジャパンであったが、現在は週次の営業会議の場で、マーケティングより毎回KPIの進捗状況を共有している。

 たとえば、進捗が想定より低い場合は、マーケティングと営業は「電話や面談時のヒアリング項目を変更しよう」などと、共同で改善策を検討することができるように変わったという。「実際の数字をベースに話をするようになった上に、お互いフィードバックするので、改善ポイントが見つけやすくなりました」と井田氏。

 同時に、施策後の達成状況の確認もできるようになり、小さなトライアルを繰り返しながら少しずつ成果が出ているという。たとえば、メールの内容をパーソナライズしたものに変えたところ、開封率が平均15%から平均18%と3%向上した。また、メールの差出人を事務局からとしていたものを個人名からの発信に変えただけで、今まではゼロだった返信率が平均5%に、問い合わせが平均1.5%になったという。

 このほかにも、セミナー開催あたりの申し込み獲得数が前年度比で130%、セミナー回数あたりのアポ獲得数が同144%、メールキャンペーンあたりの問い合わせ獲得数が同300%と効果を積み重ねている。これらの活動が実を結び、新規獲得のアポ取得95件(対前年度比1.98倍)という成果が得られたのだ。

 このフェーズのポイントも「営業とともに効果を確認し、改善を検討すること」である。加えて、セミナーの集客率や来場率だけを見て一喜一憂するのではなく、コツコツとフォローをして最後のアポ獲得数につなげるべく、トータルで評価するべきだと井田氏は訴えた。

 四段階のプロジェクトで進めてきた営業プロセス改革を進めてきたコニカミノルタジャパン。「マーケティングと営業が双方向に連携できる仕組みを作ること」「数字を確認しながらPDCAサイクルの運用を続けること」の二つが重要だったと井田氏は総括する。手応えを得た同社は、2018年10月からの全社展開を決定した。今後は自社で蓄積したノウハウを外部展開することも考えているのだという。

 井田氏は、「テクノロジーを導入して浮いた時間を今後はプランニングに当て、さらに成果を出したいと思います」と述べ、講演を結んだ。

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/10/29 09:00 https://markezine.jp/article/detail/29513

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