一度食べてもらう機会を作るために
――「スーパーカップMAX」の発売に合わせ笑福亭鶴瓶氏や木下隆行氏(TKO)らを起用したテレビCMを放映。その他、デジタル施策として、YouTuberやInstagramer、TikTokのインフルエンサーを起用したWeb動画を100本以上配信されました。今回、メディアプランの一つにTikTokを活用した背景について教えてください。
森本:「スーパーカップ」の発売がちょうど30年前の1988年。それまでになかった「1.5倍」というボリュームのインパクトがあり、半年で1億食突破の大ヒット商品となりました。しかし、大盛り商品は他社の追随もあり、ファーストフードやホットスナックなどの即席麺以外にも顧客を奪われる状況になってきました。
森本:元々若年層をターゲットにしていましたが、現在の実食層は30・40代が中心です。発売当時に中高生だった人がそのまま食べ続けているということです。それはそれでありがたいことですが、さらなるロングセラーを目指すためには改めて若年層にアプローチしていかなければなりません。
――エースコックではデジタル施策には消極的だったのですか?
森本:即席麺がここまで国民食になったのは、テレビCMの影響が大きいですね。エースコックに限らず即席麺メーカーはマス広告中心の文化でした。しかし、スマートフォンが普及し、消費動向自体が変わった現代では、テレビCMだけでは届かない若者もいます。そこで、デジタルもやろうという話になりました。
人間の舌って結構保守的で、一度美味しいと覚えてもらえるとそれがスタンダードになるんですね。ですから一度食べてもらえることが大事。「スーパーカップ」のことをしっかり認知していただき、食べてもらう機会を作る。そのためにWebコミュニケーションに取り組むことにしました。
――Quark tokyoとサイバー・コミュニケーションズはどういった形で参画することに?
オノダ:僕たちは今回のプロモーション企画の立ち上げから携わっており、クリエイティブからいかにターゲットに届けるかというところの戦略についてもやらせていただきました。
加藤:サイバー・コミュニケーションズ(以下、CCI)は、メディアグロースパートナーとしてTikTokと広告パートナー契約を締結しています。今回は、TikTokキャンペーン全般のサポートと、ブランドリフト調査などの成果の可視化を行いました。
TikTokのことはまったく知らなかったが信頼して任せた
――TikToKでのキャンペーンは当初から考えていたのでしょうか?
オノダ:はじめはYouTubeとInstagram、Twitterでの展開を考えていました。CCIにいる知り合いから「TikTokがきている」という話を聞き、その存在は知っていましたが改めて活用法を検討しました。TikTokには他の3つのSNSとは別に、「参加型」で「ライトなブランド体験を実現できる」というメリットがあるとわかり、施策に取り入れることにしました。
――森本さんはTikTokのことを知っていたのですか?
森本:まったく知りませんでした。「なんですかそれ?」って感じで(苦笑)。でも、うちの小学6年生になる娘は知っていたんですよ! そこからいろいろ調べて。それでも100%理解して結論を出したかというとそうでもありません。私自身はもうターゲットの年代から外れているので。そこはプロであるオノダさんと組んだ以上、信頼し、心中する覚悟で挑みました。私の役目は具体的な施策を考えることではなく、社内理解の促進と勇気を持ってオノダさんに任せることだと考えていました。
――TikTokの特徴的なところは?
加藤:ポイントは投稿ハードルの低さです。本来、動画は撮影し、編集して投稿するには手間がかかるものです。しかし、TikTokでは音源やスタンプなどのギミックを使うことで簡単に投稿することができます。スタンプというのは、身振り手振りにあわせて、特定のエフェクトを表示させる機能です。
最長15秒という絶妙な尺により、アクティブユーザーの1日平均視聴時間は40分を超えています。160以上のコンテンツを見ている計算になりますから相当なものですよね。若年層から広まり、今では幅広いユーザーに使われるようになってきています。