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インターネット広告の歴史と未来

ガラケーがインターネットにつながり、モバイルという新大陸が登場したことで業界勢力図も塗り替わった


スマートフォンがもたらしたデータの分断

佐藤:これまでのインターネット広告の流れを簡単に振り返ると、Google、Yahoo!、Facebookなど広告プラットフォームが増えていきつつ、「枠」から「人」へ、を合い言葉に2010~2012年頃にDSP・SSP・DMPやアトリビューション分析が注目されていくことになります。そして、スマートフォンやタブレットの普及が進んでマルチデバイス化が進んだことで、2013年頃からアトリビューションの流れをずたずたに引き裂いていくことになりました。「人」ベースの分析がどんどん難しくなってきたからです。

佐藤康夫さん(左)と岡田吉弘さん(右)
佐藤康夫さん(左)と岡田吉弘さん(右)

岡田:アトリビューション分析の啓蒙などを進めていくなかで、スマートフォンが普及していくにつれて「あれ?  Cookieで判断していると同じ人なのに違う人として認識してしまうぞ?」という課題が多く見られるようになりました

 特に、SNSはモバイルでの利用が顕著だったこともあり、ユーザーのモバイルシフトがどんどん進んでいったのですが、アトリビューション分析を正確に行おうとすると、デスクトップ、モバイルWeb、モバイルアプリ(IDFA、AAID)、SNSそれぞれでデータが分断されて正確に分析ができない、という状況になってしまいました。

データフィード化する運用型広告

岡田:モバイルデバイスによるデータの分断が進むのと並行して、データフィード広告が登場しました。2011年にGoogleはショッピング広告の前身であるPLA(Product Listing Ads)の提供を開始し、2012年に日本でもスタートします。Criteoの日本法人も2011年に設立されています。エクセルのレコードのような商品情報をターゲティングやクリエイティブに使う、いわばキーワードレス広告といった新しい広告形態が産声をあげたのがこの2012年前後のことです。

 これまでは、各広告媒体にデータを人の手でアップロードしてそこから各メディアに出稿していたわけです。それが各企業は商品マスターデータやホテルの在庫データなどのデータベースをひとつ持って、そのデータベースをもとに各メディアに広告を出稿していく形式になるでしょう。そういった思想からショップや商品のデータを Google にアップロードしてショッピング広告やその他の Google サービスで利用できるようにするGoogle Merchant Centerなども開発されています。

 アトリビューションの流れからこのデータフィードを見ていると、なんとなく次はこれが来るのかな、というのが見えてくるわけです。「そうでないとこの課題が解決しないはずだ」と。マルチデバイスで、人もメディアも分断しているなかで広告の運用を考えた時に、人の手ではもうどうやっても間に合わない。「あぁ、これはキーワードをちまちまと入れている場合じゃない」と感じたのが2012年の下期でした

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2015年、Googleのモバイルからの検索数がデスクトップを上回る

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この記事の著者

杓谷 匠(シャクヤ タクミ)

Jellyfish Japan株式会社 Data Strategy Director
2008年に新卒一期生としてグーグル株式会社に入社。2010年にスタートアップの立ち上げに参画したのち、しばらく川原でひざを抱える日々を経験。2013年からトリップアドバイザー株式会社にてSEMアナリスト、BIアナリストを経験したのち、20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/01/29 10:03 https://markezine.jp/article/detail/29571

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