2015年、Googleのモバイルからの検索数がデスクトップを上回る
杓谷:2015年に、Googleのモバイルの検索数がデスクトップを上回りました。この流れを受けて、Googleはこれから開発する新サービスのすべてを、モバイルデバイスを前提として作っていくことになります。いわゆるモバイルファーストの時代の始まりです。
杓谷:Googleがモバイルファーストを宣言する1年前の2014年に、オーミッド・コーデスタニが一時的にセールス部門の統括に復帰しました。当時Googleのセールスを統括していたニケシュ・アローラがソフトバンクに移った影響で、暫定的にセールス部門のトップに返り咲きました。

杓谷:その時に彼が対外的に発していたメッセージは「Simplicity」でした。マルチデバイスやアプリなどに対応するためにAdWordsの機能はどんどん複雑化していました。AIによりもっとシンプルにしていこう、というメッセージを発したわけです。2014年にGoogleはDeepMind社を買収しています。個人的にはその時の方向性が今のスマートディスプレイキャンペーンなどにつながっているのではないかと思っています。
広告プラットフォームがAIを活用することで運用はシンプルに
杓谷:オーミッドの指示をきっかけに、AIを使って複雑なマルチデバイス環境をシンプルにして、デスクトップ時代と同じような広告配信の体験を作ろうとしているのではないかと思っています。
岡田:裏側でやっていることはとても複雑怪奇きわまりないのですが、広告の管理画面を操作する側としてはシンプルになってきていると思います。
テキストと画像素材を入れておくと、広告プラットフォーム側で様々なサイズのクリエイティブを生成してくれるレスポンシブ広告(レスポンシブ検索広告とレスポンシブディスプレイ広告)は、一見してデータフィードには見えないのですが、テキストや画像をフィードしていると解釈すると、これもクリエイティブ用のデータフィードと言うことができますね。
機械学習をもとにデータが最適化されていくようになると、キャンペーン設計がシンプルになり、働き方までシンプルになっていくわけです。これまではシステムに広告運用者が合わせていっていたのに対し、広告運用者にシステムが合わせにいくような形に少しずつなっているのではないでしょうか。
杓谷:ここ数年の広告プラットフォームの急激な変化は、スマートフォンの影響によるものでした。見方によっては、スティーブ・ジョブズがそこでも世界を大きく変えてしまった、と言えるかもしれませんね。