広告主が持っておくべき「想い」とは
では、むやみやたらにベンダー・広告代理店を叩いてしまわないようにするべく、広告主はどのようなスタンスを取るべきなのか。まず、広告主は想いがないなら、広告代理店・ベンダー側を否定するのはやめましょう。否定すべきは自分たちです。
想いがあれば、それを広告代理店・ベンダーも具体化しようと奔走してくれるはず。しかし、自分の想いを最初から広告代理店・ベンダーに作ってもらうことはできません。そして想いがないと、いつになっても答えに行き着くことはないです。
『想い』というのは、具体的には以下の2軸で考えるものです。
1.プロジェクトの明確なゴール(KPIをどの程度上げたい、ユーザーにこうなってほしい)があり、達成したい。
2.このプロジェクトで自分の評価をこう上げたい、こういう実績が作りたい。世の中にこうなってほしい。
私が特に大事だと思うのは後者。KPIを上げることは会社のために当然必要ですが、我々は自分のために生きているのですから、『自分のために』がないと結局『やらされ仕事』になってしまうのです。
提案をしてもらうなら、そしてプロジェクトを一緒にやるなら、はじめから上記2つの軸の「想い」を持って取り組みましょう。また広告代理店・ベンダーの方は、想いを広告主から聞き出せるようにしましょう。これだけでも、提案の内容も大きく良くなると思います。
ベンダー、代理店と伴走していくのに必要なこと
前項の取るべきスタンスにて想いに関することはほとんど語ったので、必要なアクションを4つに分け、少し具体的に解説します。
1. プロジェクトを提案依頼する前に、自問自答
そのプロジェクトは、本当に必要かを考えましょう。実際に会社のためになるのか、自分が実現したいゴールを達成できるのかを明確にすることが重要です。そして、これを伝えるようにしましょう。
2. 要望を出すことの弊害を理解する
広告代理店・ベンダー側のプロデューサーやディレクター、デザイナーも「想い」を持って提案を作っています。その中で広告主がやりがちなのが「もっとおしゃれにしてほしい」という感覚だけの要望や、「A案とB案をいいとこどりした折衷案にしてほしい」といった依頼です。
しかし、一部を変更したいと要求するのは、全体のバランスを崩すということを理解しましょう。その上で自分の想いがあり、それにそぐわないのであればしっかり伝えるべきです。
3. 決裁のハードルになりそうな情報は徹底公開
広告主側で決裁を取るのは本当に大変ですよね。だからこそ、決裁に至るまで徹底的に協力してもらえるよう、金額感など決裁のハードルになりそうなのはどこか、代理店やベンダーにも徹底的に教えましょう。情報公開は基本中の基本です。
4. 金額で叩かない
金額で無暗に叩くのはやめましょう。その値付けには、絶対理由があるのだから。
上記4点で共通しているのは自分の想いを尊重しつつも、「広告代理店・ベンダー側の想い・プライドも尊重しましょう」ということ。それぞれの得意な分野でやっているのだから、広告主の論理で否定するのはお門違いです。我々広告主は、大抵そんなに凄くないのに、やたら何か言いたがるということを認識しなければなりません。