米国では既に大手メディアによる先行事例も
――収益性向上という目的の裏には、そういった状況があったんですね。
柳田:先述したような課題を抱えている時、記事を読み終わったユーザーに新しい記事をレコメンドするという新しい広告フォーマットをアウトブレインが提案してくれたのです。サイト内の回遊が増えると、広告在庫が増える仕組みであることも魅力的でした。
また、米国でアウトブレインのようなレコメンドウィジェットが先行的に利用されていることは知っていました。以前所属していた朝日インタラクティブが運営している媒体に「CNN.co.jp」というCNNの日本語版があるのですが、ライセンス元の担当者の方からアウトブレインを紹介されたこともありました。本国の米国版CNNでは、アウトブレインのレコメンドウィジェットを早くから導入していて、その収益性の高さについても聞いていたのです。その後実際「CNN.co.jp」でもアウトブレインを導入しました。
――コンテンツの質は媒体内での顧客体験大きく左右します。アウトブレインが扱っているコンテンツの質をどう見ていますか。
柳田:コンテンツの質を担保するための前提として、媒体ネットワークの質があると思います。その点アウトブレインは、媒体のリクルーティングでしっかり選別されています。広告主からプレミアムな媒体と評価されている配信先に、我々も加わることには大きな意義があると考えています。
また実際に弊社が請け負ったタイアップ広告について、よりリーチを稼ぐためのオプションプランとして、アウトブレインのネットワークを通して配信することもあります。ここでも配信の質が高く担保されていると感じますね。
運用型広告の売上を飛躍させたレコメンドウィジェット
――では、アウトブレインのレコメンドウィジェットをどのように活用されているのか、もう少し教えていただけますか?
柳田:当初は、広告主が提供するコンテンツのうち、オウンドメディアやネイティブアドに限定して活用を始めました。活用が定着した今も、単純に広告主のサイトに直接飛ばしてコンバージョンさせるのではなく、読んでもらうコンテンツへの誘導を中心にしています。
入社して間もないころ広告の審査部門にいたことがあるのですが、その時の体験から、広告も記事も同じコンテンツと捉えている読者が少なくないことを実感しました。広告だからといって、読者を質の低いコンテンツへ誘導したくないですよね。コンテンツの内容がメディアにそぐわない広告については、パブリッシャー側でブロックするなどの運用が必要です。
――収益性向上のために導入されたということでしたが、その効果はいかがですか?
柳田:収益向上へのインパクトは大きなものでした。2015年から2018年にかけて、運用型広告全体の規模は約3倍に拡大しています。その中でレコメンドウィジェットは、ユーザーが新しいコンテンツに触れる機会を増やしただけでなく、バナー広告の収益減を埋めることに大きく貢献しました。ヘッダービディングなどを駆使することで、レコメンドウィジェットは、媒体のページ単価を上げるためにも欠かせないフォーマットになっていますね。