あえてお客様に「選ばせる」
―― すごくわかりやすいです! 会社のエントランスに「1杯のお茶を通じてお客様の日常を潤す」というメッセージがありました。お茶に対するこだわりをすごく感じました。お茶を専門にすることで他のカフェとの差別化を図っているのでしょうか。
そうですね。お茶を中心に据えることで、より自分たちが何者かっていうのをわかりやすくしています。タピオカは6種類あるトッピングの中の1種類でしかなく、そもそも選ばなければドリンクに入っていません。さらに甘さも選べれば氷の量も選べる。実は2,000種類くらいの楽しみ方があるんです。
―― あえてお客様に考えさせるということですか。
そうです。お客様は選べるからこそ楽しい。今の若い世代は押し付けではなく、カスタマイズして自分がいいなって思うものを選ぶ世代です。お客様からすると戸惑うしお店からすると時間もかかるけれど、それが他のお店との違いでもあります。どこまで受け入れらるのかはやってみないとわかりませんでしたが、結果として伝わりました。
―― メニューにはどのようなコンセプトが込められているのでしょうか。
「上質な台湾ティーを楽しんでもらいたい」ということで、楽しむという意味でいうとカスタマイズもそのためのサービスの一つ。一方で日本上陸当初は、台湾ティーを使っていないメニューは扱いませんでした。まずコーヒーをやめたんです。
ゴンチャは今世界16ヵ国で展開していますが、コーヒーを扱っていないのは日本だけです。台湾ティーカフェであることを脅かす要素はすべてやめましょうと決めました。ただ次第にお客様の声が集まってきたので、抹茶ミルクティーやスムージーは扱うようになりました。それでも、今現在コーヒーは扱っていませんし、これからも扱う予定はありません。
ゴンチャの大ヒットは想定外の産物
―― 計算どおりに物事が進んでいる印象がありますが、何か想定外だったことはありますか。
想定外だったのは、大ヒットしたことですね(笑)。
―― なぜ大ヒットしてしまったのでしょうか!?
んー、なぜしてしまったんでしょう。理由を知るのに最適な方法は、お客様に聞くことなんですよね。もう一つはお客様の行動や会話をお店で観察すること。そうすると理屈ではなくて、どういう風に思っていただいているのかが肌感覚でわかります。
実際に話を聞いてみると、お茶が美味しいから来店いただいているんだなとか、思った以上にお店の雰囲気をオシャレに思っていらっしゃるんだなとか、わかりました。芸能人が弊社のお茶を飲んでいると聞いて、来店いただくお客様が増えたなどのわかりやすい理由もありますね。
私自身、知っているようで知らなかったことがたくさんあり、それが結果的に大ヒットの要因になったのかなと捉えています。正直、緻密な戦略を立てていたわけではないんです。
そもそも美味しい台湾ティーを、日常的に楽しむスタイルを作りたいというのが、我々のビジョンです。しかし今の状況は、到底日常的に楽しめているとは言えません。30分、1時間並ぶことは日常ではないですよね。
この状況を解決するためには、よりお店を増やさなければならないし、店内でたくさん商品を作れる設計にしなければならない。その意味で、まだまだなりたい存在、作りたい世界には届いていないのです。