1万人以上の女性がプログラミングの楽しさを学んだ「Rails Girls」
――立ち上げに関わられている「Rails Girls」の活動ですが、まさに女性にプログラミングを知ってもらうきっかけを作った活動だと思います。ここまで広く、色々な国に活動が波及した理由はなんだと思いますか。
いくつかの成功要因があったと考えています。「Rails Girls」の活動を始めたのは10年前になるのですが、当時需要がありながらもプログラミングの基礎を教えるようなプログラムはありませんでした。それで自分たちでコミュニティを作ろうとなったんです。
そこで実際に自分たちで構築していく方法を学ぶことができたのがまず大きな要因。他にもプログラミングに興味のある若い女性たちがいることを知り、似たような人たちが一緒に集まるようになったのも良かった点です。
同時にその中にはプログラミングやコーディングに非常に詳しい人たちもいますので、その人たちを切り口にして会議やイベントに出やすくなったこともあるでしょう。あとは、コミュニティ運営の仕方をオープンなモデルで設計し、イベントに関しても女性を対象にして、どういう設計でどんな伝え方でコミュニケーションしていくのかを考え続けています。そうした点に注意したことも、活動を長く続けられている要因ではないかと思っています。
“中にあるもの”が私の原動力
――リンダさんはKickstarterでクラウドファンディングをして、本の出版をされていたり、プラットフォームや枠組みを使って、考えや活動を広げるのがとても上手ですよね。自身の強みをどう捉えていますか。
若い頃から「テクノロジー」「教育」「プログラミングに関係ない人たち」に興味をもっていたのが関係していると思います。この3要素を常に頭に入れながら、「Rails Girls」にしてもニューヨークのプログラミング教育会社Codecademyにいた際も、出版した『ルビィのぼうけん』にしても進めてきました。
私が非常に影響受けたのが、マリメッコ創業者のアルミ・ラティアさんで、1950年代にアパレル企業をスタートさせるのですが、彼女は最初衣類に関わりたかったわけではなかったそうです。自分の内側に潜在的な想いをもっていて、それが出せるのであれば別のやり方でも良かったと。
私自身もそうで、自分の中にあるものを出せればどんな形でも良かった。この“中にあるもの”が私の原動力になっているんです。そしてその要素に関わる問題に10年間フォーカスしてきたわけですが、結果として「Rails Girls」を共同で立ち上げ、クラウドファンディングで絵本を作る行動につながっていきました。
じゃあ次に何をするのかとなりますが、いずれは『ルビィのぼうけん』をベースにして学校を作りたいという目標があります。実際に現在ヘルシンキの学校で、Supercell(スーパーセル)のバックアップをもとにプログラムのカリキュラムを作らせてもらっています。そこでの私はチェアマンの立場で、いかにして資金を集めるのかの役割を担っていまして、これまで経験していない新たな役割を楽しんでいるところです。
私に強みがあるとすれば、継続する力、忍耐力をもっているということでしょうか。たとえばあるテーマを発信するとして、1年、2年は続けることができても多くの人たちは上手くいかなければ諦めてしまいます。でも私は10年間活動を続けてきましたし、これから先も続けていきたいと思っています。絵本を作った理由は短期的な利益だけではなく、長期的に活用できるものという観点もありました。