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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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マーケティング手法としてのエバンジェリスト その役割と価値

【コネクト帳で成果を可視化】個人起点の情報発信で大切なゴール設定と組織での在り方

各部門の目標/課題の把握が大切

 コネクト帳を日々の評価ポイントとして捉える上で、もう一つ行っているのは、四半期くらいのスパンで各部門の主要メンバーとミーティングを重ねて目標を把握する作業です。「新たにこの領域を強化したい」「この分野の知見を得たい」といった課題のヒアリング以外にも、いま部署が困っていることや来期以降の見通しなどを聞いて、これから新たに生じそうな課題をイメージし、解決に必要なアクションをすり合わせることもあります。少し先の課題に対して“ 遊軍的”に解決を図れるので、日々の目標達成に追われる現場にとって「タレント社員」は重宝される存在と言えます。 

 繰り返しになりますが、「タレント社員」の活動というのは、必ずしもユーザー数や契約数に直結するわけではないので、組織内では実態が見えにくいものです。しかし、数値的な指標をもとに自分の活動における成果を可視化することが重要であり、数に拘る行為は本末転倒となるので注意が必要です。

他部門との付き合い方

 組織のあり方として、他部門から依頼を受け、コネクトするまでの過程も重要です。どういった経緯で依頼があり、どんなやりとりを経て現在に至るのか、公明にしておく必要があります。Sansanでは、全社員が見る事のできるオープンな社内SNSでやりとり(依頼の受け方)することで、評価の判断材料にしていました。

 質問や何かを依頼する側にしてみると、「こんな内容を頼んで良いのか」「どう頼んだら良いのか?」など、まわり(上司)の目が気になってしまうケースや、依頼内容(問い)を明文化した時点で解決するケースという場合もあります。コネクタ側のメリットは、「見える化」することで、依頼の解釈を間違っていたらどうしようという不安が解消されます。

 全社員にやりとりを公開する事で、依頼の仕方やコネクタとの付き合い方など、コネクタという役割を自部門でどう活用したら良いのかがわかり、組織内のコミュニケーションが活性化され、組織でノウハウを共有することもできます。

タレント社員の2つのメリット

 次に「タレント社員」を組織内におくことのメリットとデメリットについて、説明したいと思います。メリットは「柔軟かつスピーディーな対応が可能」と「ロングテールな活動」の2つあると考えています。

柔軟かつスピーディな対応

 私が10年以上コネクタを続けてきて、強く感じるメリットの一つは、<柔軟かつスピーディーに対応が可能>な点です。「タレント社員」を組織内におくことで、必要となりそうな知識や経験を持った人に、積極的にコンタクトを取りに行くことが可能であり、スピーディーに都度小さな軌道修正を重ねて社内外へコミュニケーションを取り続けることができます。こうした変化をいかに経営戦略に反映させていくかが、今後の生き残りと企業成長の鍵になると考えています。

 以前、Sansanの経営計画の一つに米国へ進出するという話が上がった際、私は海外へ進出支援をしているシリコンバレーのコンサルタントに連絡を取り、現地に進出している日本人経営者を探し、Sansanの事業の一部を担ってもらえるよう媒介しました。ここで相談したコンサルタントとは、プライベートでシリコンバレーに遊びに行った際に友人を介して知り合いになっていた人物です。この時点では、Sansanの米国進出は具体的な計画にはありませんでしたが、経営陣との対話の中で「近いうちにアメリカも検討したい」という話が上がっていたので、意識してコミュニケーションを密にとっていたのです。 結果として、一部の業務を自前で構築する期間を短縮することができました。この一連の流れは、目的をリアルタイムで共有しているからこそ可能です。

 このように、計画が曖昧な状況でも調整がしやすく、微妙なニュアンス(社内でしか伝わらないような言い回し)でも、外部の有識者やステークホルダーに対しても、1対1に近い形でカスタマイズしたコミュニケーションをとることで、オフィシャルにはリーチしにくい層へのアプローチも強化できます。また、社内の人間が行うことで、外部との大きな誤解がなく、互いのインサイトを探りながら、時にはリアクションを見て内容をカスタマイズできる点が大きな利点であると考えています。

ロングテールな活動

 もう一つ、社内にコネクタをおく大きなメリットは<長く案件に関わることができる点>です。人と人とのコミュニケーションが重要となる仕事なので、成果として結果が出てくるのに時間がかかります。半年先になるか、1年先になるか、タイミングによっては1年以上かかることもあります。人と人をつないだとしても、その時点で評価されたり、「その種」に気がついてくれる人は案外少ないものです。外部のコンサルタントに依頼しているケースだと、コンサル期間が終わった後に、紹介したい案件が出てきたとしてもできませんが、社内に担当している人間が存在することで、状況に応じてフォローアップやその後の確認も容易になります。

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社員をタレント化するデメリットと対策

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この記事の著者

日比谷 尚武(ヒビヤ ナオタケ)

学生時代より、フリーランスとしてWebサイト構築・ストリーミングイベント等の企画運営に携わる。その後、NTTグループにてICカード・電子マネー・システム開発等のプロジェクトに従事。2003年、株式会社KBMJに入社。取締役として、開発マネジメント・営業・企画等を担う。
2009年より、Sansan株式会社に参画し、マ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/02/19 09:00 https://markezine.jp/article/detail/30233

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