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ネットで話題になるとどうなる?担当者が語るビフォーアフター

【Tシャツの販売数が約10倍に激増】「岩下の新生姜」の事例から学ぶ"ブランドへの愛着"と拡散の方程式

あくまで「お客様に楽しんでもらうこと」を優先

――実際に『岩下の新生姜Tシャツ』を購入した方々からはどういった声がありましたか?

岩下:「普通にオシャレ」「明日の学校のボランティア活動で着て行こうかな」「かわいすぎる」などの声をいただいています。着用画像とともにツイートされたり、「今日は岩下の新生姜Tシャツデビュー」という投稿がされたりするなど、意外にもおしゃれTシャツとして認めていただいているようです。また、デザインだけでなく着心地や素材の良さも好評です。

――御社は、『岩下の新生姜Tシャツ』に限らず、入浴剤やまんじゅう、iPhoneケース、ビールなども販売されています。こうした商品企画が継続的に生まれてくるのはなぜでしょうか?

岩下:ミュージアムやグッズなどは、基本的にそれ自体での利益を目的としていません。あくまで、先ほど申し上げた「大切なお客様への恩返し」の意図も含めて、お客様に楽しんでもらうことを優先に企画をしています。まずは「岩下の新生姜」を好きになっていただき、愛着を深めていただくまでが、ミュージアムやコラボ、グッズの役割だと考えています。

 こうして「岩下の新生姜」を好きになってくださったお客様が、スーパーやコンビニで「岩下の新生姜」を日常的にご購入いただくことで弊社のビジネスは成り立ちます。上記のミュージアムやグッズ活動においては、どうしたらお客様に喜んでいただけるだろうということに特化して知恵を絞っています。そのとき、最も参考になるのが「お客様の声」そのものです。

「岩下の新生姜」

 たとえば、「ローズの入浴剤でお風呂に入ると『岩下の新生姜』になったみたいだ」とどなたかがつぶやくとします。それを私がRTすると、「岩下さん、新生姜でピンクの入浴剤作って」と別の方が要望を出すんです。こうして、商品企画の検討を始めていきます。Twitterのエゴサーチを通じて、ものすごい数のお客様の声に日々触れています。私が「いいね」したツイート数は、約90万ツイートにものぼります。リアルなお客様の声こそが商品企画に間違いなく活きていますし、これからもきっと様々な企画の示唆を与えてくれると思います。

他社とコラボをする基準も「熱量」

――他社とのコラボはどのように行っていますか?

岩下:企業とのコラボにあたっては、様々な提案を受け入れています。「岩下の新生姜」は良い商品だ、好きだと感じてくださっている企業を優先してコラボしていますね。どの程度の熱意なのかは、Twitterのエゴサーチなどで把握しています。「岩下の新生姜・愛」の深いコラボ企画は、「岩下の新生姜」ファンの方にも喜んでいただけますし、結果としてSNS上での「拡散」という副産物につながります。

――『岩下の新生姜Tシャツ』は、販売するだけでなく、着用している人が街中を歩くだけで広告効果をもたらすという一挙両得の面があると思います。これもやはり狙いの一つなのでしょうか?

岩下:確かに、『岩下の新生姜Tシャツ』を着ていただくことは、「岩下の新生姜」の宣伝をしていただいているのと同じことになります。しかし宣伝広告という意味では、SNSなどで日々「岩下の新生姜」について情報発信してくださっている方々も同じ。まずは、お客様の希望に応え、楽しんでいただくというのが目的です。

 そもそもこんなに多くの方に着ていただけるとも思っていませんでした。むしろ、このTシャツを着ている人が「岩下の新生姜、いいよね!趣味いいね」と思っていただけるような存在になれるよう、「岩下の新生姜」自体をさらに育てていかなくてはと、気が引き締まる思いです。

――どうもありがとうございました。

 顧客の声を自社の商品やサービスに反映するのは企業としては当たり前の行動ですが、実際は「言うは易く行うは難し」になっている企業も多いのではないでしょうか。『岩下の新生姜Tシャツ』は、ともすればその奇抜なデザインと見た目のインパクトのみ語られているようですが、岩下社長のお話を伺うと、その裏には顧客と真摯に向き合う姿勢が隠されていることがわかりました。

 SNSが普及した現在では、企業が炎上する案件をしきりに目にします。その多くは、企業にとって最も重要なはずである顧客の存在や声をないがしろにしてしまったことに起因しているケースが多いことに気づかされます。上司や社長ファーストではなく、常に顧客ファーストの姿勢は忘れてはいけない。そんなメッセージが感じ取れる事例だったと思います。

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MarkeZine(マーケジン)
2019/02/15 08:00 https://markezine.jp/article/detail/30273

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