Instagramでのキャンペーン目的
Instagramでのキャンペーン設計は目的によってさまざまなパターンがあります。企業の投稿をリグラム(ユーザーに再投稿してもらう機能。後述)して参加する場合や、企業が用意した商品やサービスに対して、ユーザーが指定のハッシュタグを付けた投稿をしたり(ハッシュタグキャンペーン)、企業のアカウントフォローを条件に、商品やサービス利用のためのクーポンを配布したり(フォローアップキャンペーン)など、さまざまな使い方が考えられます。
フォロワーにとって魅力的で、簡単に参加できるキャンペーンであれば拡散や認知拡大において高い効果が期待できます。また、キャンペーンをうまく活用してUGC(User Generated Contentの略語で「ユーザーが作ったコンテンツ」の意味)を集められることも大きなメリットとして挙げられます。
企業の戦略を広告と見せずに身近で楽しいものに感じさせるのもUGCの特徴です。下記で紹介するInstagramキャンペーンの実例に関しても同様のことがいえますが、企業独自の専用ハッシュタグを設けることで、自社でコンテンツやクリエイティブを制作しなくてもユーザーの自然な投稿で、PRができ、広告費の削減にもつながります。
リグラムキャンペーン
Instagramのリグラムとは、Twitterのリツイート、Facebookのシェアと同じようにユーザーが気に入った投稿を自分で再投稿(リポスト)することを指します。ただし、InstagramにはTwitterやFacebookのように再投稿する機能がありません。そのため、「専用のアプリを使う」「元の(投稿)写真のスクリーンショットを撮って使用する」のいずれかの方法で行う必要があります。
リグラムキャンペーンには、ユーザーが投稿したものの中から良い投稿のみ、公式アカウントでリグラムをして紹介するパターンと、公式アカウントの投稿を(何かしらのユーザーメリットを付けて)リグラムしてもらうパターンがあります。
前者では、公式アカウントに掲載されることがユーザーのメリットとなるくらいしっかりとブランド力のあるアカウントの場合に有効です。後者では、あまりにバナーっぽい投稿画像だとユーザーの参加のハードルが高くなるので、おしゃれでユーザーに受け入れられやすい投稿を心がけましょう。さまざまなユーザーのタイムラインに合うよう、3種類程度のクリエイティブを用意するのも良いかもしれません。
コンテンツ内容に関してはこちらの操作が思うように利かないこともあるので、良質なUGCを集められるかが問題です。
UGCをリグラムするときはリグラム元の明記とユーザーへの感謝の言葉を忘れずに
UGCをリグラムするときは、次のことに気を付けてください。
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投稿者に許可を取る
※特に顔が写っているものや個人情報に関わるものは注意が必要 -
元の投稿者が確認できるようにリグラムする
※リグラム専用アプリを使用すると、画像の中に元投稿者のアカウント名が入る
※世界観の統一のために、画像に入れられない場合は@メンションにて記載する - 同様にハッシュタグに「#repost」や「#regram」など、リポストしたことを証明するものをキャプショ ンに記載し、最後に投稿者へのお礼の一言などを添えると良い
ハッシュタグキャンペーン
ハッシュタグキャンペーンは、指定のハッシュタグを決めてユーザーにテーマを決めて写真を投稿してもらい、抽選などを経てプレゼントやサービスなどメリットをプレゼントするようなキャンペーンを指します。
このとき、ユーザーの投稿時にハッシュタグを付けてもらうことは最低条件として設けますが、自社アカウントをフォローしてもらうことも条件にすると良いでしょう。企業からの一方的な発信だけでなく、個人の口コミが情報を拡散するので、より信憑性のある認知拡大が見込めます。
フォローアップキャンペーン
公式アカウントのフォロワーアップ施策としてユーザー参加型キャンペーンが挙げられます。フォローだけでなく、「いいね!」や「コメント」をしてもらえるような仕組みを導入すると人気投稿に掲載されやすくなります。また、キャンペーンのインセンティブとしてユーザーにとってメリットのある情報を提供できると、参加率が高まり、より多くのフォロワーの流入に期待ができます。
また、自社アカウントのフォローを条件としても、キャンペーンが終わった途端にフォローをはずされてしまうこともあるので、キャンペーン後も継続してアカウントに興味・関心を持ってもらうような写真のクリエイティブやユーザーメリットのある投稿を考える必要があります。
フォローアップキャンペーンを行う際は専用のハッシュタグを決めて、自社アカウントにて事前告知をしたり、広告運用やインフルエンサー起用をしてターゲットにキャンペーンを実施していることをリーチさせたり、自社のホームページや他SNSツールを利用したりして拡散します。
各キャンペーンではユーザーに楽しんで参加してもらうために施策を考えましょう。
フォローアップキャンペーンの例
桃屋(@momoya.official)
メインの訴求商品3種類を3カ月にわたって1種類ずつ、プレゼントするフォローアップキャンペーンを実施。ユーザーインセンティブとしては、桃屋のアカウントをフォローしてくれたユーザーに抽選で「キムチの素」2本セットを30名にプレゼント。
キャンペーンの認知を図るため、毎月3名ずつインフルエンサーによる投稿施策と、Instagram広告を運用。広告の運用はInstagramのキャンペーン投稿をそのまま広告クリエイティブとして使用しました。多いときは1投稿に1,000以上のコメントが付き、キャンペーン実施の3カ月間でフォロワー数は120倍という大きな効果が見られました。
出典:https://www.instagram.com/p/Bq5SQVUAeLP/
公式アカウント活用事例 ファッション
アイテム自体やコーディネートとしての見せ方など、クリエイティブを通して魅力を伝えやすいのがアパレルブランドの公式アカウントです。トレンド感を押さえたクリエイティブで、ユーザーの購買意欲をかき立てる&購買に向けて後押しをすることが重要です!
平行なクリエイティブで統一感を出す
20代女性に人気の高いアパレルブランド「room306contemporary」のアカウントでは、低めのカメラ位置からモデルを撮影しています。斜めに曲がっていない平行なクリエイティブにそろえることで、他の写真と並んだときに統一感を出すことができます。海の水平線が写るシチュエーションでも同様のことがいえます。
出典:https://www.instagram.com/p/Bp6q6Dolp6S/
小物を入れてコーディネートをより素敵に見せる
大人向けの水着ブランド「Riberce」のアカウントは水着を普段使いに落とし込んだクリエイティブが特徴です。コーディネートとして見せるとイメージがわきやすくなります。
たとえば水着のセットアップとショートパンツ、スニーカーを1カットに収めるなど、応用を利かせるとメリハリの利いたクリエイティブになります。
出典:https://www.instagram.com/p/Bp3CInvHnE3/
余白をきちんと作ることで、商品に集中させる
子供服専門店の「AJUGA.」のアカウントは、大人用アパレルのようなイメージで子供服を取り扱っています。子供服でもおしゃれにコーディネートを完成させているクリエイティブは「いいね!」数もたくさん集まっています。アイテムの置き撮りも斜めのラインを意識して、抜け感を出すことですっきりと見やすいクリエイティブが完成します。
出典:https://www.instagram.com/p/BqH2SewjW3B/
公式アカウント活用事例 グルメ
ただメニューをアップするだけではフォロワー数が伸びず、ファンが付きにくい飲食関係の公式アカウント。統一感あるクリエイティブから始まり、位置情報の掲載、ハッシュタグの利用など、インスタ映えするメニューを考案しなくても集客につなげられる活用方法を紹介します。
自宅の食卓を彩るイメージで商品購入に導く
「内側からカラダをキレイに。」を掲げるナチュラルフードブランドの「ドクターズナチュラルレシピ」の公式アカウントでは、商品を使用して作った料理の隣にボトルやパッケージなどをさりげなく入れたり、またパッケージから出して立体感を出したりするなど、日常の一コマをおしゃれに見せるクリエイティブが特徴です。Shop Now機能で商品の購入も可能。画像をスワイプするとLINEの友達追加用QRコードが現れます。
出典:https://www.instagram.com/p/BnsjRCKHTLr/
写真では伝わらない情報をキャプションに盛り込む
東京にあるベジタブルカフェの「Mr.FARMER」の公式アカウント。「美と健康は食事から」をコンセプトに、健康を考慮したメニューや、ナチュラルなインテリアが特徴のお店の外観、内観のクリエイティブが並びます。高さのある被写体(たとえばハンバーガーやヨーグルトデザート)は低い位置から撮影することで、立体感があり、中に入っている具材がわかりやすい写真が出来上がります。お店のコンセプトでもある健康的な要素を盛り込んだ内容のキャプションを投稿するのもブランディングにとって重要な要素です。投稿に位置情報を掲載するのも、ユーザーが実際にお店を訪問するときに場所がわかりやすく、来客に期待が持てます。
出典:https://www.instagram.com/p/BqePDbSj5tS/
動きのある写真でただのメニューに見せない
シドニー発のオールデイカジュアルダイニング「bills」の日本の公式アカウント。ドリンクやフードをただ置いて撮るのではなく、Chapter 4の02にあるようにカメラのアングルに対して、アルファベットのC字を描くように被写体が置かれ撮られており、抑揚のある写真となっています。料理を実際いただいているように人の気配や手元を入れることで、ユーザーが実際に来店したときのイメージを想像しやすい状況を作り込むことができます。飲食関係サービスのアカウントが投稿する画像も、動きを加えるだけで、変化を付けることができます。また国内外のユーザーがキャプションを読んで理解できるよう、日本語だけでなく、英語の表記もされています。
出典:https://www.instagram.com/p/BobgE_cBzcE/
ユーザーの投稿をリグラムしてバリエーションを増やす
NY発のハンバーガーショップ「Shake Shack」の日本の公式アカウントではハンバーガーはもちろんのこと、サイドメニューやドリンクにもクローズアップしたクリエイティブを展開しています。スマホの画面に映る料理を撮ったり、ハンバーガーを手で持ち上げていつもと違う角度で撮ったりするなど工夫が見られます。ハンバーガー専門店のようにメニューのバリエーションが限られてしまう業態は、たとえばユーザーが自社アカウントをタグ付けしてくれたクリエイティブをリポストして、バリエーションの幅を広げるのも施策のひとつとして有効です。
出典:https://www.instagram.com/p/BoqE1xAnfYm/
他にもノウハウと事例を紹介
本書ではこの他にも初めてInstagramを利用する担当者の方に向けて、役立つノウハウや事例を紹介しています。どうすればいいのかと悩んでいるなら、まずは使ってみるのが一番です。