メーカーのマーケターであり続けたい
――これまでの職歴を振り返り、ターニングポイントだと感じた出来事を教えてください。
キリンへの転職と、出産後の仕事復帰ですね。転職によって、マーケティング予算や施策の幅の広がりに驚きと喜びがありましたし、デジタルの可能性を感じました。そして子育てをするようになり、仕事中心だった生活軸が、ガラッと変わりました。これまでを振り返ると、仕事第一でどこかギラギラしたところがあったと思います(笑)。育児中は時間的に制限されることが増える一方、働き方を考えていく上でプラスになっていることもあります。仕事に心残りがあっても強制的に子育てモードに切り替える日々は、大変ですが、求められる・必要としてもらえる場所が2つに増えたということが精神的な安定となり、肩の力を抜いて仕事に取り組めるようになりました。
時間の制約があるためできる範囲で100%の力を出し切ろう、できないところは周りの人に頼っていいんだ、という気持ちで、周りと円滑にコミュニケーションできるようになったことは新しい発見でした。
――今後の目標やキャリアプランは、どのように考えていますか。

私の世代には、デジタルマーケティングが登場し、試行錯誤しながら取り組み、「デジタルマーケター」と呼ばれるようになった方が多いように思います。それゆえに、このままマネジメントに進むのか、デジタル以外のマーケティングに関わるのか、……選択肢も多く、正直悩んでいます。
デジタルマーケティングそのものは、いつかマーケティングとして統合されていくでしょうし、それを踏まえたキャリアのロールモデルもまだ少ない。また、私自身がなりたい像ややりたいことが明確にあるタイプではありません。唯一の希望は精神的に健やかに働くこと。それでも、ひとつ私の強みを挙げるならば、ずっとメーカーでデジタルマーケティングに関わってきたということ。前職もキリンも、もの作りに対して一貫した真摯な姿勢で向き合っている企業です。やはり今後も、商品の製造から販売まで関われる大好きなメーカーで働いていきたいと思っています。