フリマアプリで買う前に比較検討する場所は?
商品を買う際、いろいろな店舗や価格サイト・クチコミサイトなどを回遊し、情報を収集してから購入先を決定するという行動は、ごく普通に行われている。フリマアプリでいえば利用者はまずスマートフォン利用者であり、ほぼ常時ネットに接続できる状態にあるため探索行動が活発なのは尚更であろう。ではフリマアプリで商品を購入する前には、どこと比較しているのだろうか。商品カテゴリー別に見ていく(図表2)。

ベース:フリマアプリでの購入経験者/複数回答
縦軸には、フリマアプリでの購入経験率が高い順に商品カテゴリーを並べた。購入経験率は「服」「書籍・雑誌・コミック」「靴・バッグ」が上位3位であった。横軸ではそのカテゴリーの商品を購入する前に、比較検討していた場所の割合を示している。全カテゴリーで見ると(縦軸の最上部)、「ECサイト」と比較している人の割合が60%と最も高い。比較先がECサイトとなれば、基本的には新品との比較となる。スマートフォン上でフリマアプリに出品されている商品とECサイトで販売されている新品とを相互に比較している様子が想像できる。
また、「他のフリマアプリ」と比較している人も52%と多い。特に、「パソコン・スマホ」「ホビー・楽器」「AV機器・カメラ」といったガジェット系に近いカテゴリーは、他のフリマアプリと比較検討している割合が高い。このような、一点物ではなく型番や状態によって参照価格が明確な商材の場合には、より安い購入先を求めて複数のフリマアプリを渡り歩いているのだろう。
出品を前提に商品購入する割合
次に、出品側の商品について特徴を見ていくことにしよう(図表3)。

ベース:フリマアプリでの出品経験者(n=749)/複数回答
出品経験率の上位を並べているが、購入と同様、出品についても「服」が最も多かった。順位こそは僅差で入れ替わっているものの、上位を占めている商品カテゴリーは購入と出品でほぼ一致し、フリマアプリにおける取り引きは、「服」「書籍・雑誌・コミック」「靴・バッグ」がメインだと言える。
フリマアプリは個人間売買の市場として確立しており、不要となった商品はいつでも出品することができる。では、個人がフリマアプリに出品するタイミングを決めるのはいつなのだろう。不要となってから初めて出品を検討するのではなく、商品の購入段階からフリマアプリに出品することを考えている人も少なからずいるだろう。
“出品経験した人のうち、出品前提で商品購入した人”の割合を算出した図表3(右側)のスコアを見ると、特に多かった商品カテゴリーは、「ベビー・キッズ・マタニティ用品(26.3%)」、「書籍・雑誌・コミック(24.4%)」、「音楽CD・DVD・ブルーレイ(23.4%)」であった。このように、二次流通の定着によって購買に対する価値観や消費の仕方が変わってきている人の存在が確認された。
フリマアプリは生活にどのような影響を与えたのか
出品前提で商品を購入する・しないに関わらず、フリマアプリを利用するようになって生活の変化を実感している人はどの程度いるのだろうか。「大きく変わった」と「変わった」と回答した人は全体の40%で、「まったく変わらない」と回答した人はわずか5%。ほとんどの人が、少なからず生活の変化を感じていることになる(図表4)。

ベース:全員(n=1,000)/単一回答
具体的に生活習慣がどのように変わったのか。「不要品をゴミとして捨てることが減った(42%)」が最多で、従来はゴミとして捨てられるはずだったものが二次流通市場に出ることにより、これだけのフリマアプリ市場を形成することになったということだろう。また、「売るときのことを考えて、モノを大切に使うようになった(30%)」や「買うときにいくらで売れるかを意識するようになった(22%)」のように、フリマアプリで売却できるようにすることを意識したモノの買い方や使い方が浸透してきているなど、生活の変化も見受けられる(図表5)。

ベース:フリマアプリによる生活変化の実感者(n=953)/複数回答
一方、「店頭で買うことが少なくなった(27%)」や「中古ショップで売ることが少なくなった(25%)」のように、既存のリアル店舗への依存が弱くなった人もいる。中古ショップ側にとっての買い取りは在庫を抱えるリスクになることもあるため、あまり高く買い取ることはできない。出品する立場では、手数料や配送料を差し引いたとしても、中古ショップで買い取ってもらうよりも高い金額で売れるわけである。そして、購入者は出品者と直接価格交渉を行いながら、お値打ち価格で購入することができる。このようにフリマアプリは売る側にも買う側にもメリットがある仕組みが成立しており、リユース業界はかなり厳しい立ち位置に追い込まれていることであろう。
世界からも注目される日本人の「もったいない精神」にマッチしたフリマアプリは、モノを次々と人から人へとつないでいくプラットフォームとなりつつある。ただし、フリマアプリの中で商品が流通していたままでは新たな生産活動が停滞してしまう。日本経済が回り続けるためにも二次流通市場が起爆剤となり、一次流通の消費や生産の拡大にもつながっていくことを期待したい。
■調査概要
調査主体:マクロミル・翔泳社(共同調査)
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:全国15~59歳のフリマアプリ利用者(マクロミルモニタ会員)
割付条件:フリマアプリ利用者の性年代別出現率に合わせて回収/1,000サンプル
調査期間:2018年12月14日(金)~2018年12月16日(日)
・本文の数値は四捨五入した整数で表記。
・百分率表示は四捨五入のため丸め計算を行っており、合計が100%とならない場合がある。
▼調査レポート
『フリマアプリが購買行動に与えた影響とは?フリマアプリ利用者1,000人調査』(HoNote)