※本記事は、2019年2月25日刊行の定期誌『MarkeZine』38号に掲載したものです。
サブスクは定額課金型から新しい派生型が登場
日本では、D2Cサブスクリプション・ビジネス(以下、サブスク)が「〇〇放題」といったような消費者側にとってお得な文脈で語られがちだが、ビジネス側(店舗側)の狙いは「優良顧客の長期関係作りとLTV(生涯価値)の引き上げ」である。サブスクはデジタル上でのつながりを起点に、ビジネス側が顧客とのエンゲージメントを「深く&長く」保とうとする意図の表れだ。米国では既にこのビジネス側の意図から、「月額定額」課金から派生した新しい手法が登場している。
たとえば会員には「最低利用額」だけを設定する例が登場している。好例が搾りたて野菜ジュース屋の「pressed juicery」だ。2010年創業で40店舗まで事業を拡張しており、ジュース1本(470ml)で6.5ドル〜7ドル(約710円)という「CPG商品」を持ち、店頭販売とオンライン宅配で商品を提供している。「搾りたてジュース」のカテゴリーでは後発だが、既に参入していた企業が「搾りたてジュースは1本7ドル」という相場を作り上げたところへ、「会員には5ドルで提供」と打ち出した。店頭とWebでは「サブスク会員を募ること」を、オペレーション上に優先事項(KPI)として押し出している。