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「上の世代を見ちゃだめ、下の世代に注目すべし」スマニュー西口×電通デジタル有園の平成振り返り対談

2019/03/08 08:00

 本連載では、スマートニュースの西口一希氏が経営者やCMOなどマーケティングそしてビジネスの最前線で活躍する人物を訪ね、「マーケティング視点の経営」についてディスカッションする。今回は、同じくMarkeZineにて連載を持つ、電通デジタルの有園雄一氏との対談が実現。前編のマスマーケティングの議論に続いて、後編ではデジタルが広げた可能性と功罪、マーケターの仕事論を深堀する。

モーメントを捉えた需要の拡大

 株式会社電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタント 有園雄一氏(写真左)スマートニュース株式会社 執行役員 マーケティング担当 西口一希氏(写真右)
株式会社電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタント 有園雄一氏(写真左)
スマートニュース株式会社 執行役員マーケティング担当 西口一希氏(写真右)

西口:前編では、平成どころか1908年T型フォード発売から2007年iPhone発売、その間のマスマーケティングの発展と終焉、テレビCMの現代的な活用まで広すぎる議論をしました(笑)。

有園:西口さんはずっと事業者サイドにいらっしゃるから、マス広告も相当数を手がけられていますよね。テレビCMでスマニュー以外に手応えがあったものって何がありますか?

西口:前編で話題に挙がったモーメントを捉えるという観点だと、2015年のロクシタンのギフト戦略のCMですね。ロクシタンは自分用のスキンケア商品以外に、ハンドクリームなどがギフトにちょうど良くて、細々と「ギフトならロクシタン」と訴求していたんです。

 ここに勝機があると考えて、ホワイトデーの直前、雑誌など他の宣伝費を全部切って福岡エリアでテレビCMに投じたら、店長からクレームが入るくらい店頭に男性が殺到しました。

有園:ギフトを探している男性をがっちりつかんだわけですね。

西口:そう、それでおもしろいのが、CMの放映期間が終わっても福岡ではその効果がずっと高かったんですね。その後、クリスマス前にも一気に投じたら、それも効果が高かった。

 世の中のターゲティング顧客が今そのときに気にしていることに合致すると、やはりCMは効くし、残るのだと実感しました。ただ、あれから数年しか経っていませんが、情報量が倍々に増えている分、その価値は相対的にどんどん下がっていますよね。情報の賞味期限がすごく短くなっている。

マーケターの仕事は手法で売ることじゃない

有園:同感です、なんでもすぐに忘れられてしまう。事業者サイドの視点だと、そこで何が重要だとお考えですか?

西口:今だからこそ、相当際立った良さがないと、ダメだと思っています。“より”おいしい、などの比較級では語れない独自性がないと、「ハッ」としてもらえない。加えて、自分にとっての明確な便益がないと買われない。その結びつきって本来重要でしたが、バブル手前の景気が良かったころは、そこそこ新しく、そこそこ良かったら売れたんですよね。

 さらに、デジタルの発展で細かい手法が増えて、いつの間にかマーケターが「手法を駆使して売る職務」と思われるようになってしまった。そうじゃなくて、根本は、ものづくりで市場を創造していくことなのに。

有園:実務家ならではの指摘ですね。30年かけてデジタルが発展して、一周回って原点回帰している感があります。おっしゃる通り、手法論に陥りがちになっているのは、デジタルの功罪かもしれません。行動データもつぶさに取れるから、顧客の姿も見えているような気がしてくる。

西口:ABテストでコンバージョンは伸ばせるけど、なぜAが良かったのかを追求しませんよね。昔は顧客を知る手段がそんなになかったから、想像するしかなくて、それで失敗するケースも多かったと思いますが……。

 有園さんは一貫して事業者支援の立場にいらっしゃいますが、顧客のインサイトやプロダクトの独自性をどこまで考えられているんですか?

有園:そうですね、最終的にゼロから1を作るのは事業者サイドになるわけですが、私自身はかなり理詰めの分析と提案をしてきたほうだと思います。

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