ツール・打ち手で想定通りの成果を出すために
BtoB企業のマーケティング支援を行う才流では、年間数百件の相談を受けている。企業の課題や悩みと向き合う中で感じてきたのが、「とりあえず、コンテンツマーケティングをはじめた」「とりあえず、MAツールを入れた」というケースが多いということだ。
しかし、たとえばMAツールに関していうと、以下の条件がそろっていてはじめて、成果が出る。
(1)保有するリードが10,000件以上ある
(2)インサイドセールスの体制が整っている
(3)リードとのコミュニケーションに必要なコンテンツ(ブログ、セミナー、ホワイトペーパーなど)を、定期的に生み出せる体制がある
こうした検討をしないまま、手法やツールを導入してしまうと、せっかくリソースを割いても思ったような成果を出せず、損をしてしまう。
そこで本連載では、「とりあえず、◯◯」と手法やツールを導入する前に、BtoBマーケティング活動を推進していく上で、必ず整理しておきたい情報を取り上げていく。今回は「損する会社」の特徴を4つ、マーケティング戦略立案の流れに沿って説明する。それぞれについて、得する会社になるための解決策も説明しているので、参考にしてほしい。
損する会社は「対象顧客が定まっていない」
マーケティングの基本は、STP(セグメンテーション/ターゲティング/ポジショニング)と言われている。どの施策を選ぶにしろ、自社がアプローチしたい顧客層を定めることが必要だ。
この時、損する会社は、すべて、もしくは複数の顧客層を狙おうとしてしまう。その結果、Webサイトやパンフレット、広告クリエイティブの訴求は、誰にも刺さらないメッセージになってしまい、広告の出稿先やPR露出を狙うメディアも分散する。
コピーライターの仲畑 貴志氏の著作『みんなに好かれようとして、みんなに嫌われる。勝つ広告のぜんぶ』が示しているように、すべての層にアプローチしようとすると、結果として、すべての層に(嫌われないまでも)刺さらないまま終わってしまう。これが、最もマーケティング投資の効率が悪いケースだ。
一方、得する会社は、想定される顧客層の中から、一番自社サービスが刺さる可能性が高い層を選び抜き、そこにリソースを集中させる。するとWebサイトやパンフレット、広告クリエイティブの訴求が研ぎ澄まされ、自社が広告を出稿すべきメディア、PRの露出先も明らかになる。
もし狙った顧客層が外れていたとしても、いち早く仮説検証を行い、次の顧客層に移ることができる。「アタリ」を引くまでの時間が短くなるのだ。
どの顧客層に優先的にアプローチしたいかを決めるとき、BtoBであれば、以下のような分類が想定される。
業種、売り上げ規模、従業員数、部署、役職、性別、抱える課題
手法やツールを導入する前に、自社が狙うべき顧客層を整理しておくことをお勧めする。