嗜好を機械学習し、パーソナライズしたレコメンドを行う
山田氏は、マーケティングクラウドを活用することで、「データドリブンマーケティング」を行ってほしいと述べる。ここで言うデータドリブンマーケティングとは、顧客情報を分析し、見込み客や既存客へ最適な施策を行うことだ。MAを活用すると、ユーザーに適切な情報を適切なタイミングで届けることができる。
「まず、顧客がどのようなきっかけで商品やサービスを選択したのかというのを、分析して可視化していきます。次に、購入回数によって顧客をセグメントします。何年も前からの古いデータを使うよりは、最近のアクションだけを見て行くほうがより現在の顧客状況を把握しやすいと思います。
たとえば最終アクションから180日以上経っている場合を休眠顧客とし、それ以内にアクションのあった顧客を購入回数に応じて優良から未購入までランク分けします。このとき、最終購入日だけではなく、その後にサイト訪問やメルマガ開封をしていたら、それを最終アクションとするのが良いでしょう」(山田氏)
「その分析結果に基づいて、新規顧客の獲得や、『1回購入の顧客を2回へ』『2回以上購入の顧客を優良顧客へ』といった顧客育成のシナリオを立てていきます。その際にお薦めしたいのが、『ステップメール』です。メールを送る際には、タイミングを最適化するだけでなく、中身の一部をパーソナライズすると効果的です。
たとえば会員登録したばかりの顧客はサイト内を回遊することが多いですが、その情報を基にすぐにパーソナライズしたレコメンドメールを送ってしまいます。もし2・3回メルマガで接触しても反応がなかったら、クーポンを出すのがお薦めです。その後、『LINEに登録してください』というアプローチにつなげていくのも良いでしょう」(山田氏)
「かご落ち」「ブラウザ離脱」から購入につなげる
ECサイトの課題として、カートに商品を入れたまま離脱してしまう「かご落ち」と、サイトを回遊したけれど何も購入しなかった「ブラウザ離脱」がある。そうした顧客に対しても、CVRを30%以上に高める方法があるという。
「かご落ちをした場合、翌日にメールをするというパターンが多いですが、30分〜1時間後くらいにメールを出すというのが、当社の利用企業様では主流になってきています。顧客の購買欲が熱いうちにというのもありますし、その間に競合他社のサイトを見ている可能性も高いためです。
もしそこで購入されなかったら、1〜2日後にさらにレコメンドメールを送り、もうひと押しします。2度のメールの成果を合わせると、かご落ちしていた顧客のCVRは30%以上にもなりました」(山田氏)
さらに、ブラウザ離脱には「店舗誘導」も有効だという。
「ECと実店舗の両方をもっている場合に、意外と効果があるのが、ブラウザ離脱した顧客への店舗誘導です。かご落ちよりは人数としては少なくなりますが、購入金額が高くなるという傾向がありますので、やらない手はありません」(山田氏)