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MarkeZine Day 2019 Spring

「ZOZO」を支える、最強のデータ活用組織/ZOZOテクノロジーズ「分析部」の正体とは?

WEAR経由の売上が20%向上した導線改善

 ここからは、実際に分析部主導で実施され、成果を上げた2つの施策事例を紹介する。

 1つ目は、WEARの導線追加による売上向上施策だ。始まりは、WEAR担当者からの「最近、ZOZOTOWNでのWEAR経由売上が上がっている気がする。要因を知りたい」という相談だった。

 実際に分析部でデータを検証したところ、確かにWEAR経由の売上は上がっているのだが、波形がWEARのDAU以上にZOZOTOWNの売上と類似していた

「WEAR経由の売上の多くは、コーディネート画像の下に配置されているコーディネートに含まれる商品のボタンからということはわかっていました。でも、そうであればZOZOTOWNの売上よりWEARのDAUと連動したほうが自然じゃないか。この矛盾を解き明かすために、商品のボタン経由の売上のうち、その商品自体が購入された割合を確認したところ、別の商品が購入されることの方が多い。おそらくZOZOTOWNに遷移した際に、他に良い商品を見つけたり、クーポンやセールに気づいてご利用いただいたりしたのではないかと考えました」(中野氏)

 その時点では、ZOZOTOWNでまだ在庫のある商品のリンクしかWEAR上にはなかったという。しかし先のデータ分析の結果から、「たとえその商品がなくとも、ZOZOTOWNに来て、他の商品を見ていただいたり、クーポンやセールの存在を知っていただいたりすればより多くのお客様にご購入いただけるのではないか」と仮説を立て、在庫がなくなった商品や取り扱いが終了した商品にも導線の追加を提案した。WEARを担当する部門では「ZOZOTOWNで探す」のボタンを設置し、運用を開始した。その結果、WEAR経由の売上が20%向上したという。データと向き合い、地道に仮説を検証したからこそ得られた結果だろう。

数十億円規模の効果を生んだ売上予測ツール

 2つ目は、クーポンの効果を自動で予測するツールを導入した事例だ。

 ZOZOTOWNでは毎日ブランドクーポン(特定のブランドで使えるクーポン)を発行している。ツールの導入前は、担当者が各ブランドの通常時の売上などを加味しながら人手でブランドクーポンの発行スケジュールを組んでいたのだが、日ごとのバランスをとるのが難しく、結果としては効果が薄い日が出ていた。

 そこで分析部では、クーポンの効果を自動で予測するツールを開発。担当者がクーポンの発行条件(期間・クーポン額・対象ショップなど)をエクセルに入力すると、データが機械学習で作ったモデルに取り込まれ、瞬時にエクセル上に予測効果が表示される。その結果にもとづいて配信スケジュールを組めば、効果の薄い日を減らすことが可能になる。

「予測ツール構築後、クーポンの結果のばらつきが減少し、結果的には年間で数十億円規模の効果が生まれました」(中野氏)

 事例からもわかるように、ZOZOテクノロジーズの分析部の仕事はマーケティングにかなり踏み込んでいる。一般的なデータ分析チームの業務範囲は、SQLやExcelでのデータ分析や分析基盤の構築までというイメージがあるが、同社の場合は分析のその先にある事業成長にまで及ぶ。データに基づいた施策の提案から検証まで行う「攻め」のチームが構築できていると言えるだろう。

「70億人のファッションを技術の力で変えていく」をミッションに掲げるZOZOテクノロジーズは、今後さらにデータを駆使し、より良い顧客体験を提供してくれるに違いない。

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この記事の著者

水落 絵理香(ミズオチ エリカ)

フリーライター。CMSの新規営業、マーケティング系メディアのライター・編集を経て独立。関心領域はWebマーケティング、サイバーセキュリティ、AI・VR・ARなどの最新テクノロジー。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/04/04 08:00 https://markezine.jp/article/detail/30688

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