「静止画広告」に違和感をもつ時代へ!?
NTTドコモとKDDI、ソフトバンクは、年内に5Gのプレサービスを開始し、2020年には楽天でも対応をスタートする予定になっている。通信速度は4Gの約100倍、通信容量は約1,000倍、同時接続端末数は約100倍、遅延時間は約10分の1と、これまでとは劇的にネット環境が変化することになる。
そうした中、動画は人々にとってどのような存在になっていくのだろうか。杉浦氏は「過去からの未来予想図」として、1997年1月のYahoo! JAPANトップページを示した。
「当時のYahoo! JAPANトップページは、テキスト情報だけでした。電話回線でネットに繋ぐ状況だったので、画像を掲載すると重くて表示に時間がかかってしまったためです。通信環境が整ってきた今では、多くの画像や動画が表示されるようになっています。今後はどのサイトでも、さらに動画が多く使われるようになるでしょう」(杉浦氏)
また、ソフトバンクが動画とSNS見放題のサービスを月額3,480円から提供するなど、携帯キャリア各社が、通信費を心配することなく動画視聴できる環境を整備しつつある。
「もちろんテキストや画像がなくなることはありませんが、動画は演出や表現が多様なので、データ量の心配がなくなれば、より使われるようになるでしょう」(杉浦氏)
特に10代の若い世代は、TikTokやInstagramなどで動画に接触する頻度が高く、テキストと画像でコミュニケーションしようとしてもスルーされてしまう可能性がある。杉浦氏は「今もしテレビCMで静止画が流れていたら、少し違和感があるように、2020年以降は、スマートフォンで静止画の広告が流れていたら、違和感をもつ時代になるかもしれません」と語った。
動画はフルファネルで活用される時代へ
動画配信量が増え、視聴される場面も多くなることが予想される中、企業は動画をどのように活用していけばよいのだろうか。杉浦氏は動画の今後について、次のように述べた。
「現在、動画は認知のために活用されることが多いですが、これからは興味関心層に効かせたり、比較検討層に効かせたり、購入の後押しとして効かせたり、購入後のユーザーのシェアといった段階に効かせたりと、フルファネルで使われるようになっていくと思います」(杉浦氏)
NewsTVの事例では、法人向けクラウド名刺管理サービスのSansanが、既に態度変容を目的として動画を活用している。
Sansanのサービス自体は、テレビCMやYouTube広告を通じて認知されている。NewsTVへのオーダーは「態度変容を起こし、利用までつなげたい」というものだった。そこで、交換した名刺を社内に共有することなく、眠ったままとなっている「冬眠人脈」が持つ価値を伝える動画を制作し、「全国の20~40代の男女、ビジネスや営業に興味関心のある層」へ向けて配信。
事後調査では、Sansanのサービスを認知している人がNewsTVの動画に接触すると、利用意向が高まることが明らかに。また、Sansanが訴求したかった点である「名刺管理・共有が重要だ」と考える人の割合も、動画視聴により大きく向上したという結果が出た。