匿名ナーチャリングと運用型広告の活用
MAによる非対面セールスの重要性がわかったところで、話し手がオーリーズの鈴木多聞氏に代わる。鈴木氏は「SATORI」の匿名ナーチャリング機能を広告運用の現場にて活用することで、匿名ナーチャリングをより機能させる取り組みについて紹介した。
今回両社が取り組んだプロジェクトにおける検証ポイントは、運用型広告が「SATORI」のパフォーマンス向上にどの程度活用できるか。オーリーズは、SATORIが広告運用連携サポートを内製化することを視野に入れ、広告運用上の匿名顧客のナーチャリングにおけるKPI設計からリードナーチャリングの運用までを支援。
そして、鈴木氏は仕組みの詳細について紹介する前にナーチャリングの評価方法の前提となる、アトリビューション分析について解説した。これは、施策貢献性を可視化し、施策効果を評価するための手法である。
たとえば、ある顧客の接触経路が、「純広告」「検索広告」「アフィリエイト広告」「リターゲティング広告」だった場合、コンバージョンに直接寄与したのはリターゲティング広告であるが、リターゲティング広告だけをコンバージョンに寄与したとみなしては正当な評価ができない。
そこで、それぞれの施策が均等に貢献したとみなす「均等評価」の考えを取り入れ、3回の接触経路でコンバージョンに至ったとしたら、それぞれを3分の1の貢献とみなすのがアトリビューション分析の考え方だ。
そして今回の取り組みでは、広告だけでなく、「SATORI」で行うプッシュ通知などのコミュニケーションもアトリビューション分析の対象に追加。こうすることで、広告施策のROIを改善し、広告投資に活かすことができるようになる。
5つのステップに沿って進めた仕組み作り
ではここからは、実際にSATORIとオーリーズが行った取り組みの詳細について紹介したい。まず、両者は以下5つのステップで施策を設計した。
1.「そのうち客」「もうすぐ客」「今すぐ客」を定義
2.それぞれの見込み顧客の定義に沿った提供コンテンツの決定
3.コンテンツを読んだ時のページビューをコンバージョンとする発火条件の設定
4.プッシュ通知のオプトインをコンバージョンとする発火条件の設定
5.広告およびSATORIのアカウントへの設定
「そのうち客」はMAコンテンツを閲覧していないがMAに興味があるユーザー、「もうすぐ客」はMAコンテンツを閲覧しており、基本的な知識を持つユーザー、「今すぐ客」はキラーコンテンツを閲覧しているユーザーと定義。
商材によって、分類方法やシナリオは変化する可能性があるが、SATORIの場合は同社の営業チームと協議を重ね、提供するコンテンツを決めたという。