Twitterのデータが持つ価値とは?
次に岡野氏は、商材カテゴリによって購買フェーズのタイミングに時間差があることを、Twitter上のデータから明らかにした。たとえば、食品であれば52日前に認知したというツイートが、その4日後に当たる購買日の48日前、欲求に関するツイートが投稿されやすい。そして購買日の4日後に感想に関するツイートが集まりやすいという。
このように、Twitterのデータを分析すると、商品が購買され、その感想をツイートするまでの期間もわかる。ここに対して、岡野氏は非常に価値があるとした。

「アスキング調査ではいつ知ったか、買ったかというのを聞いてもなかなか覚えていないんですよね。しかし、その記録が大規模なデータベースの中に残っているというのが、Twitterのデータが持つ価値です」
岡野氏は、この購買フェーズのタイミングを見ることで「カテゴリごとに、どういったメッセージをいつ消費者に届ければ良いのかという戦略を立てることができる」とデータの活用方法を提案した。
さらに、細かく分析すれば、購買フェーズ別のツイートの変化にも気が付くことができるという。たとえば、スマホ・タブレットの場合認知フェーズにいるTwitter利用者は価格や使用感に関するツイートを行う。しかし、検討・購買フェーズにくると音質・画質、バッテリー、使用感に関するツイートが増えてくるのだ。このようにTwitterでは、認知から購買まで、購買ファネルに関わる生活者の情報が集まっている。
ツイートデータで消費の実態を明らかに
ここまで、Twitter上のデータをもとに消費行動パターンを明らかにしてきた岡野氏。最後に同氏は、まとめとしてTwitter上で把握できる消費行動パターンのポイントを3つにまとめた。
1つ目は、生活者の消費行動はTwitter上に有用なデータとして存在しているということ。本人が覚えていない、リサーチしても出てこないような事実データがTwitterに眠っていることは、先述の内容からも明らかだ。2つ目は商材によって購買フェーズ間のタイミングに違いがあるということ。Twitterのデータからは、商材によって異なる発言内容や発言者の属性をウォッチすることができる。3つ目は購買フェーズによって気にするポイントが異なること。このポイントを知っていると、コミュニケーションの設計に役立てることが可能だ。
これらを踏まえて岡野氏は、Twitter上で消費行動を把握する重要性についてまとめ、説明を終えた。
「従来のマーケティングデータに加えて、ツイートデータをうまく活用すると消費の実態が明らかになってきます。ツイートを分析するということは、消費者に対していつ、どのような情報をどの程度届けるかという、企業のマーケティング活動にとって価値がある行為だと私は考えています」