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EC成長率150%超!BRUNOを運営するイデアインターナショナルがリニューアルを機に急成長したワケ

 ライフスタイルブランド「BRUNO」、トラベルブランド「MILESTO」などの企画・開発・販売を行っているイデアインターナショナルの成長が止まらない。EC事業の成長率は150%を超える。その成長の裏側にあるものとは。同社のEC事業を統括するEC事業部 部長の小林寛幸さんに話を聞いた。

前期比の売上高は1.5倍超え!
BRUNOやMILESTOなどを中心にECの売上が好調

株式会社イデアインターナショナル EC事業部 部長 小林寛幸さん
株式会社イデアインターナショナル EC事業部 部長 小林寛幸さん

 結婚祝いのプレゼントとして、20代から30代の女性を中心に人気を集めている商品がある。鋳物ホーローをイメージしたデザインが特徴的な、BRUNOのホットプレートだ。累計の販売台数は100万台を超えるこの商品を目にしたことがあるという人もいるのではないだろうか。実際に友人のギフトとして購入した経験がある人もいるかもしれない。

 1995年に時計を中心とした商品の開発・販売から事業がスタートしたイデアインターナショナル。ライフスタイルブランド「BRUNO(ブルーノ)」やトラベルブランド「MILESTO(ミレスト)」、オーガニックコスメブランド「Terracuore(テラクオーレ)」など、インテリアや生活雑貨に関する全7ブランドを展開。フランチャイズも含め、その店舗数は全国に50を超える。

 そんなイデアインターナショナルでは、4年ほど前より強化しているECの売上が急激に伸びている。2018年6月期の売上高は、前年同期比で58超の伸びを記録。小売事業のセグメントの売上に占めるECの割合も、26.9%にまで成長している。

BRUNO(ブルーノ)コンパクトホットプレート。結婚祝いなどギフトとしての人気が高い。

BRUNO(ブルーノ)のコンパクトホットプレート。結婚祝いなど、ギフトとしての人気が高い。

 2019年6月期における同社の連結売上高予想は140億円で、前期比の伸び率は55.3%となる見込み。文字通りの急成長と言えるだろう。ここまで大きく事業が成長している理由は何なのか。同社でEC事業を統括する小林さんは、「売上が伸びている商品に注力をしていること」だと分析している。ではなぜそういった商品にフォーカスした戦略を展開することができるようになったのだろうか。その裏側にあったのが、ECサイトのリニューアルである。

「ebisumart」がものづくり好きな社風にフィット
決め手のひとつは「コストとのバランス」

 2007年よりオンラインでの販売を開始していたイデアインターナショナルは、リニューアルの際、インターファクトリーが提供するクラウド型ECプラットフォーム「ebisumart」を新たなシステムとして選んだ。もともと社内では自由度が高いフルスクラッチでシステムを構築しており、「ものづくりが好き」と小林さんが表す社風には合っているようにも思う。だが、だからこその課題も感じていたようだ。

「すべて手作りだったからこそ、安全面の心配もありました。ECはお客様の顧客情報も預かりますし、日進月歩で進化していくテクノロジーに、システムもその都度対応していかなければならない。それらを解決するためにシステムを導入することに決めました。お店であってもECであっても、お客様にしっかりファンになってもらうことが大前提。そのための仕組みづくりをしたいという狙いも、リニューアルにはありました」

 ECシステムと一口に言っても、多くの種類があっただろう。そのなかでもebisumartを選んだ決め手は何だったのだろうか。

「コストとのバランスがいちばんよかったから、でしょうか。ものづくりが好きな社員が多いので、社内で開発できる範囲を明確にしたうえで、比較的簡単にカスタマイズができ、システム自体に拡張性があるというのは、我々に合っていたように思います。実際に使ってみると、テンプレートの数も多く、エンジニアがいなければ難しいような作業でも、HTMLやCSSなどの知識があれば十分対応できるのはありがたいですね」

 リニューアルを実施する以前、イデアインターナショナルでは、ブランドごとにECサイトを用意していた。ブランドごとに担当者がつき、それぞれ運用をし、売上計画を立てる。もちろん広告費もバラバラだ。だがリニューアルを機に、いままで3つあったECサイトをひとつに統合。組織体制もブランドごとの縦割りではなく、販促やMD、制作など、役割ごとにチームをわける横割りの仕組みへと変更した。

 これにより、「責任の範囲がより明確になった」と小林さん。ECチームのスタッフからも「仕事がしやすくなった」という声が多かったそうだ。

 リニューアル後、早速数字に変化が表れた。新規のサイト流入数が飛躍的に伸びたのだ。縦割りの組織体制のときには、各ブランドに均等に人を配置していたが、「サイトを統合したことで、ブランド関係なく、売上が伸びている“商品”に、より人と時間をかけることができるようになった」と小林さんは言う。

 売れている商品を伸ばす。その方針は、CRMにおいても変わらない。

「もっとも売上が伸びている商品というのは、当然購入してくれているお客様の数も多い。そういったお客様へのアプローチや施策を強化するほうが、売上に与えるインパクトも大きいのではないかと考えています」

人気ブランド「BRUNO」のギフト商品へのこだわり

 現在のイデアインターナショナルにおいて、人気のブランドとなっているのがライフスタイルブランド「BRUNO」だが、そのいちばんの特徴は、ギフトとして贈るために購入されることが圧倒的に多い、という点だろう。ホットプレートは結婚祝いの定番として定着しつつあり、その累計販売台数は2018年12月末時点で130万台を突破している。

 そういったニーズをふまえ、ギフト商品においては、その包装紙やリボン、メッセージカードなどを自由に選ぶことができる。オリジナルのラッピングを施し、プレゼントを贈ることができるのだ。だが、一方で気になるのは物流面。これだけの手数がかかっていれば、当然コストもあがるだろう。

「ギフト商品では、ラッピングや包装紙、リボン、メッセージカードも選ぶことができます。これらは倉庫の方たちが、1つひとつ手作りで包装しているので、出荷スピードを早くするというのはなかなか難しいんです。ですからギフト商品では、効率やいかに早く配送するかといったスピートより、手作り感を大事にしています。ラッピングも基本は無料で行っているんですよ」

ラッピングやリボン、シールなどの種類も豊富なバリエーションを取り揃えている。自由にカスタマイズすることが可能。。

ラッピングやリボン、シールなどの種類も豊富なバリエーションを取り揃えており、自由にカスタマイズすることが可能。

 また、ラッピングなどの種類を選べるだけでなく、ホットプレートのノブの部分に、日付やイニシャル、メッセージを刻印し、世界にひとつだけのオリジナルホットプレートを贈ることができるサービスも展開。ホットプレートの認知拡大により、トースターグリル、ホットサンドメーカーなど、キッチン家電を中心とした商品の販売も順調に伸びている。「ギフト商品は、もちろん今後も注力していきます」と小林さんは意欲をのぞかせている。

ECと実店舗の連携は「一歩一歩」
買い回りするユーザー拡大にも注力

 実店舗とECをもつ企業やブランドにとって、避けて通れない話題といえば、「オムニチャネル」だろう。そのために不可欠な実店舗とECの「ID統合」を、イデアインターナショナルでもリニューアルを機に行った。ID統合により明らかになったデータによると、店舗とECを買い回りしている顧客も数%はいるとのこと。今後、「両方を行き来するお客様を増やしていくことはとても大事」だと小林さんは話す一方、その難しさも感じているという。

「IDが統合されても、ECと実店舗で事業部が違う場合などは、予算も事業への考えかたも違うケースが多いように思います。さらにそれぞれ業務も多岐にわたるので、いかに連携をしていくか、の優先順位を上げていくこともなかなか難しい。ですが、オンラインとオフラインの顧客情報の連携が、お客様にとって便利になるのは間違いありません。ですからまずは、店舗とECで連携してポイントアップキャンペーンを行ったり、ECと店舗を両方使っているユーザーのほうが顧客単価が高い、といったデータを見せたり、実際の数字を見せながら一歩一歩進めていくしかないと思います。我々もそういった取り組みからスタートし、およそ1年が経ちました。これから少しずつ効果が出てくると思うので、その結果を見ながら、より連携を進めていきたいですね」

 リニューアル後、ECと実店舗のポイント連携も開始したことで、オンラインとオフラインの双方を利用しているユーザーの実態も少しずつ見えてきた。前述のとおり小林さんによれば、店舗とECを買い回りしている顧客も数%はいるという。今後、「両方を行き来するお客様をいかに増やしていくか」もさらなる成長のカギになりそうだ。

 お祝いに贈るキッチン用品の新定番になりつつあるBRUNOだけでなく、トラベルブランド「MILESTO」の卸先も含めたブランドとしての年間売上高が昨年10億円を突破するなど、その道のりは順調そのものに見える。だが、今後について小林さんに尋ねると、「お客様が選べるサイトになっていない」と、ECの課題を指摘する。

「たとえば今だったら、『ホットプレートを買いたい』という明確な目的を持って、お客様がサイトを訪れることが圧倒的に多いと思いますがこれからは、ふらっとサイトを見て、思わず衝動買いしてしまうような仕組みを作っていかなければいけないと感じています。ホットプレートもただ売って終わり、ではなく、それを使ってもらわなければ意味がありません。どんな場面でその商品を活用できるのか。どういった時に利用するのがいちばんその商品の良さを引き出せるかなど、実際に商品を使うシーンまで含めた提案をECや店舗で行っていくことが、お客様と長い付き合いをしていくきっかけにつながるのではないかと考えています」

 ライフスタイルブランドとしての地位を確立しつつあるイデアインターナショナル。ECにおける売上高の拡大が、今後も成長を続けるためのポイントになることは間違いないだろう。ただ、そのためにはECだけでなく、実店舗といかに連携を進めていくか、といった点も欠かせないピースになるはずだ。急成長を続けるイデアインターナショナルの取り組みは、実店舗をもつ多くの事業者にヒントを与えるのではないだろうか。

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この記事の著者

中村 直香(ナカムラ ナオカ)

編集部。

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MarkeZine(マーケジン)
2019/05/08 11:00 https://markezine.jp/article/detail/30895