エコシステムを構築し、社内外で一元化する
MZ:生産性の向上や働き方改革の実現という観点においては、Contentservのソリューションはどう寄与するのでしょうか?
渡辺:私はよく、Contentservは“リサーチ、プロダクトマーケティング、フィールドマーケティング、チャネルセールスが標準言語でコラボレーションできる器”であると表現しています。企業内の組織の壁を超えて最新の共通情報にアクセスできることで、異なる視点からのフィードバックも提供できるようになります。さらに、Contentservが提供する「ポータル」という機能を利用することにより、サプライヤーやディストリビューター、コンテンツ制作を外注している場合は協力企業も含めて、すべての関係会社がContentservのプラットフォームに直接アクセスし、コラボレーションしていくことができます。たとえば、サプライヤーがパーツの情報を入力し、ディストリビューターが流通に関する情報を付加するというように、“商品情報のバリューチェーン”をシングルプラットフォームで管理することができます。省力化に加えて、商品の市場への投入速度も圧倒的に早めることができるでしょう。
渡辺:また、商品データの連携や変換に係る処理も自動化することが可能です。たとえば、基幹システムからベースとなる商品情報を抽出し、マーケティングに最適化されたフォーマットに変換することも自動化できます。さらに、ECやモール、カタログでそれぞれ異なるフォーマットに変換して出力することができます。商品画像についても、媒体ごとに適切な解像度やサイズが違ってきます。商品画像も同様にチャネルが求める要件に最適化して自動で配信できるので、かなりのプロセス効率化が図れます。翻訳管理も同様で、Contentservでは取り扱う言語数に制限がありません。翻訳エンジンと自動連携することにより、複数言語の商品情報を一元管理することが可能です。これらの自動化処理は、RPAの概念に近いかと思います。
新しいベストプラクティスに合わせていく勇気を持つ
MZ:Contentservはドイツ発のプラットフォームですがヨーロッパなど海外での導入状況や手応えはいかがでしょうか。
渡辺:ポルシェやラコステなど多くのブランド企業が導入しています。欧米企業ではPIMの導入によるROIが徐々に数値化されています。たとえば、コンバージョン率や定着率、返品率などが明らかに向上・改善しているのです。コスト削減はもちろんですが、PIMの導入効果は売上に寄与すると自信をもっています。
また、ヨーロッパはPIM先進国という話をしましたが、日本発のグローバル企業では海外の子会社・販売会社からの要求に応える形でPIMを導入していく事例も増えてきました。商品情報管理という側面から、日本企業のグローバル展開を支援できることに大きな喜びを感じています。
MZ:日本の企業は、どうすればPIMのようなデジタル変革に踏み出すことができるでしょうか。
渡辺:たとえば、ミズノ様はオムニチャネル商品情報基盤としContentservを採用し、セールスフォースと連携した先進的な取り組みをはじめています。ミズノ様では、グローバルデジタル統括室と呼ばれる組織が新設され、複数の商材、地域、チャネル横断的にデジタルトランスフォーメーションを推進されています。
様々な部署や役割の方が取り扱います。PIMを活用したデジタル変革を推進するためには、ミズノ様のようにトップダウンの意思決定に加えて、組織横断的な運用体系も必要になってくるでしょう。一方で、全チャネル、全商材に対してPIMを一括して導入するのではなく、フェーズを分けて商材やチャネルを拡張していくというスモールスタートも有効に機能すると信じています。
また、Contentservには、ヨーロッパで培われた最先端のベストプラクティスが内包されています。ニューリテールやオムニチャネルを実現するためには、過去の成功体験に固執せず、新しいフレームワークに適合させていく勇気を持つことも重要と感じています。
そして何よりも、今日私たちに課せられた使命は、PIMという概念を日本で広く普及させることであると考えています。PIMのような便利なプラットフォームが存在すること自体を知らずに、煩雑で非効率的なオペレーションを継続している企業が多く存在することは想像に難くありません。私たちは、これからも積極的にPIMの概念や活用方法を啓蒙することによって、日本企業の生産性や商品力、ブランディング力の向上に寄与していきたいと考えています。
MZ:確かにMAもここ10年で浸透してきましたが、それまでは人力でやるのが当たり前で自動化しようという発想やツールもなかったでしょう。
渡辺:現状、日本でのマーケティング投資はプロセス至上主義で、分析やプロセス管理に偏っています。そして、商品やサービス自体の魅力化(エンリッチメント)はおざなりになっています。Contentservは、MAやCRM、ECやデジタルサイネージなどと親和性が高く、これまでの投資を活かして効果を最大化することができます。消費者に「一歩先を行く体験」を提供していくためにも、企業の皆さまには商品情報管理について理解を深めて頂ければと思います。
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