※本記事は、2019年5月25日刊行の定期誌『MarkeZine』41号に掲載したものです。
毎月5ドルで毎日のコーヒーが無料に バーガーキングのサブスク・ビジネス
スターバックスやマクドナルドでも未着手だったサブスクリプション(以下、サブスク)を、ハンバーガー・チェーンのバーガーキングが先発で開始した(図表1)。
「毎月5ドルの定額で、毎日のプレミアム・コーヒーが無料で飲める」というサービスである(スモールサイズ1日1回のみ)。この試みは米国の大手メディアが一斉に取り上げた。
このバーガーキングの施策は、ファストフード業界が目指したい「顧客のLTV(Life Time Value=顧客の生涯価値)拡大」に風穴を開けたのと同時に、「位置情報(ロケーション・データ)」の使い道にも一石を投じている。これまでにもたとえば「ポイント制」を提供し、近隣顧客とのつながりの輪を形成する方法は広く行われていた。ポイント制は顧客が自分の「未来の利益」を貯めるために、せっせと店に通ってくれることを期待する施策だ。
これに対して今回のバーガーキングの試みは、お得の「先出し法」とも言える。「月5ドルの契約で、プレミアムコーヒーを毎朝提供(毎日飲めば1杯あたり、たった17セント=約20円)」のお得を「先出し」している。明らかにバーガーキング側の目的はコーヒー飲み放題の販売ではなく、「その先」に期待される何か、を狙ってのことだ。
ユーザー側の利用プロセスは極めて簡単だ(図表2)。
アプリをダウンロード後に、クレジットカードなどの利用者情報を登録して「Subscribe Now(サブスクリプションを始める)」ボタンをタップすれば「即日」利用可能になる。月額の5ドルは自動課金なので、毎回のコーヒーのオーダーは「無料」の感覚になる。この手法そのものはどの事業でも簡単に真似ができるので、今後リアル店舗での真似た採用は増えるだろう。