ショート・ビデオはなぜフォロワーが増えやすいのか?
ショート・ビデオ投稿サイトでは、面白い動画を投稿すれば、一気にフォロワーが増えることもあります。どのような動画を投稿すればフォロワーが増えやすいのか、そのシステムから説明します。
アプリのシステムがフォロワー増につながっている
動画を中心とするショート・ビデオ投稿サイトは、いまでは若者、特に10代の若者たちにとっては、SNSの中心的存在ともいえるものです。
SNSの主役は移り変わりが激しく、動画を中心とするショート・ビデオ投稿サイトを調査したものはまだほとんどありませんが、かつての主役だったFacebookやTwitterといった、巨大SNSのユーザーの中心が中高年に移行しています。代わって若者たちは、比較的まだ中高年が使っていない動画SNSに移行しつつあります。2018年には、テレビや街頭、電車内でもTikTokのCMが流れるなど、急激に人気が出てきています。
若者が好んでショート・ビデオ投稿サービスを利用するのには、もちろん理由があります。その理由は、ショート・ビデオ投稿サービスのシステムと関係しています。
たとえば、TikTok。TikTokのタイムラインは、「フォロー中」「おすすめ」の2つしかありません。動画を視聴するには、ユーザーをフォローするか、「おすすめ」で出てくる動画を見るか、あるいは検索機能でハッシュタグを指定し、現れた動画を見るといった方法しかないのです。
他のSNS、たとえばFacebookやTwitterでは、知り合いや友達をフォローし、フォローしたユーザーの投稿を視聴するのが一般的な使い方ですが、TikTokではまず「おすすめ」としてタイムラインに流れてくる動画を視聴し、面白かったり興味があったりしたらフォローし、他の動画も視聴する、というのが一般的な使い方なのです。
あるいは、興味のあるハッシュタグやキーワードで検索し、これらのハッシュタグが使われている動画を中心に視聴していく、といった利用法も多いようです。
つまり、「おすすめ」としてタイムラインに掲載されたり、面白い動画だったりすることが、フォロワー増加に直結しているのです。このシステム、あるいはアプリの作り方によって、TikTokではフォロワーが増えやすくなっているのです。
検索頻度の低さがフォロワーを増やす
TikTokのもうひとつの特徴に、検索頻度の“低さ”があります。
ネットでは、「検索にヒットしないものは存在しないのと同じ」という考えがあり、そのためSEOといって、サイトの内容をGoogleやYahoo!などの検索エンジンでよくヒットするように最適化するためのテクニックが駆使されています。
SEO
Search Engine Optimizationの略。GoogleやYahoo!などの検索エンジンで、自社や商品に関連するキーワードで検索されたとき、他社より上位に表示されるようページを技術的にカスタマイズすること。
検索エンジンが検索のアルゴリズムを変更することで、SEOを施したページの効果がなくなることも珍しくありません。最近では、いかにユーザーの役に立つページにするかという視点で、そのコンテンツの中身を充実させることが、結果的にSEOに役立つと考えられるようになってきています。
ところが、TwitterやInstagramでは、ハッシュタグが検索のために利用され、これが検索のためのキーワードとなっています。
これがTikTokではもっと進化しており、検索画面には人気の高いハッシュタグが並んでいるほか、各動画の左下にも設定されているハッシュタグが表示され、このハッシュタグをタップすればユーザーの投稿動画一覧の画面に変わってくれます。
もちろんTikTokにも検索機能はありますが、実はこの検索機能はそれほど利用されていません。検索画面にはいくつかの人気の高いハッシュタグの動画が並び、上部に検索バーがありますが、検索バーにキーワードを入力して検索しようとすると、ユーザー、曲、ハッシュタグのいずれを対象とした検索かを指定する必要があるからです。
動画という、キーワードや文字ではその内容を検索できないコンテンツのため、指定したキーワードが何を対象とするものかを別途指定する必要があるわけです。そのためもあってTikTokの検索機能はそれほど利用されていないのです。
つまり、ユーザーは検索によって面白い動画を見つけるよりも、たまたま視聴した動画が面白かったら即座にこのユーザーをフォローし、このユーザーが配信している他の動画をもっと視聴する、といった行動になりやすいのです。
TikTokでフォロワーが増えやすいのは、検索頻度の低さもひとつの要因になっているのです。
他SNSとの連携でフォロワーが増える
これまでのSNSでは、ユーザーが投稿したメッセージなどが、別のユーザーによって共有されて拡散し、ブームになることも少なくありませんでした。
人気の投稿が、たくさんのユーザーに拡散して広がり、話題になったり大きなブームになったりします。また、逆に批判が殺到して炎上する(批判コメントが集中的に投稿される)こともありました。
TikTokでもまったく同じように、投稿された動画は他のユーザーに共有され、拡散されることがあります。その仕組みが、アプリの共有機能です。
TikTokでは各動画の右側に共有ボタンが表示されており、これをタップし、現れた共有先を指定することで、FacebookやLINE、Twitter、Instagramなど多くのSNSで動画を簡単に共有することができます。
TikTokの共有ボタン
動画の画面右下にある共有ボタンをタップすると、シェア先の一覧が表示されます。共有したい機能やSNSのアイコンをタップすれば、指定したSNSで簡単に動画が共有できます。
指定したSNSなどでTikTokの動画を共有すると、スマートフォンのアプリだけでなく、パソコンなどでもTikTokの動画を視聴することができるようになります。たとえば、Twitterに共有されたTikTokの動画は、パソコンのブラウザやTwitterアプリで見ることもできるようになるわけです。
こうして他のSNSで動画を共有すると、この動画を見たユーザーがTikTokで投稿者をフォローしたり、あるいは新たにTikTokに登録して、投稿者をフォローしたりといった行動につながります。
アプリの機能で、TwitterやFacebook、Instagram、LINEなどと簡単に動画を共有して連携できるため、TikTokのフォロワーも増えやすいのです。
ここまでTikTokを例に、ショート・ビデオ投稿サイトがどうしてフォロワーが増えやすいのか説明しましたが、これは他のショート・ビデオ投稿サイトや、Facebook Watchなどでも同様です。ショート・ビデオ投稿サイトでは、動画という、文字では検索しにくいコンテンツという特徴を考え、独自のフォロワーを増やす工夫を行う必要があるのです。
ショート・ビデオにフォロワーが増えやすい3つの理由
- TikTokではアプリそのものが、フォロワーを増加させる作りになっている
- 検索機能が限られているため、ユーザーをフォローしたほうが面白い動画が視聴しやすい
- SNSを連携して共有・拡散されることで、フォロワーが増えやすい
検索と共有
若者が多く利用しているSNSの中でも、検索機能がよく利用されているのがTwitterとYouTubeだといわれています。Twitterは投稿が膨大な数になるため、必要な情報や面白い投稿は、検索機能で調べてみるのが手っ取り早いのでしょう。それ以外のSNSでは、検索機能よりもむしろフォロワーの投稿を見て必要な情報を取得する、といった使い方がされています。
また、取得した情報を共有するとき、アプリやシステムが用意した共有機能よりも、画面のキャプチャを撮り、これを友人にLINEまたはメールするといった共有方法も多いそうです。URLを知らせるよりも、ダイレクトに画像を見せたほうが、面白さが伝わり、手間もかからない、と感じているようです。
TikTokはおすすめとフォロワーがキーポイント
フォロワーを獲得するためには、面白い、あるいは可愛い動画を投稿するのが一番。フォロワーを獲得する方法は、従来のSNSとも共通しています。
フォローすればフォロー返しが期待できる
企業やショップ、店舗などのSNSアカウントでは、メッセージや動画、写真などを投稿するものの、他のユーザーをまったくフォローしていないアカウントがあります。
企業やショップの公式アカウントのため、顧客との無用のトラブルを回避するために、他のユーザーをフォローしないという理由もあるでしょう。あるいは、SNS専用の担当者がいないため、他のユーザーをフォローすることにまで手が回らないという理由もあるでしょう。
テレビCMを流したり、多くの若者に支持されていたりする有名企業なら、そんなアカウント運用でも構いませんが、中小企業や店舗、ショップなどでは、SNSにメッセージや写真などを投稿しても、よほど話題にならない限り、他のユーザーにはその存在そのものさえ認知されません。
SNSはユーザー同士がコミュニケーションをとれるのが大きな特徴で、そのためにはユーザー同士が結びつく必要があります。このことは企業のアカウントでも変わらず、他のユーザーと結びつくことでコミュニケーションを深め、密接なつながりを作ることを重視しています。
ただし、ショート・ビデオ投稿サービスではユーザー同士がコミュニケーションを深めることはあまり重要視されていません。若者たちは、SNS上での濃密な結びつきをそれほど求めておらず、むしろ他人とコミュニケーションをとることを面倒だと感じ、できればゆるいつながりのまま楽しみたい、と思っている面もあるのでしょう。
親しい友人や知人だけでつながり、知らないユーザーと距離を置きたい。しかしSNS内では人気者、有名人になりたくて、高い承認欲求もある、といった矛盾した期待もあります。
SNSですから、ユーザー同士が何らかの形で結びついています。視聴して、動画が面白かったら「いいね」を付け、投稿されている他の動画も面白かったらその人をフォローする。そんなゆるいつながりが、ショート・ビデオ投稿サービスの特徴にもなっています。
逆にいえば、企業やショップ、店舗などのアカウントでは、気になる動画や自社と関係するような内容の動画を見つけたら、「いいね」を付け、積極的にフォローしていくことが重要です。ゆるいつながりですから、「いいね」やフォローによって何らかの問題が発生することは、まずありません。
他のユーザーをフォローすると、フォローされた側はあなたの動画を視聴してくれたり、あるいは同じようにフォローしてくれることが期待できます。フォロー返しとも呼ばれていますが、他のユーザーをフォローすれば、そのうちの何割かはフォロー返しをしてくれます。
もちろん、フォロワーをより多く獲得するためには、面白い動画を投稿するのが前提ですが、コミュニケーション機能は不要などと考えず、積極的にフォローしていきましょう。
フォローされやすい投稿頻度
面白い動画を投稿すれば、フォロワーがどんどん増えて人気アカウントになる、などと考えている企業のSNS担当者はいないでしょうか。
確かに何かのきっかけで、一夜にして動画が拡散され、人気アカウントになり、フォロワーが何万人も増える、といった現象はあります。しかしそんなケースは何万人に一人。どんな有名人でもタレントでも、あるいは有名企業でも、何かがきっかけでバズるようなことがなければ、フォロワーが一気に急増するなどというケースはほとんどありません。
その意味では、インターネットはフラットな世界なのです。有名・無名にかかわらず、誰もが最初は同じスタートラインからスタートします。
前述のように、フォロワーを増やすためには、他のユーザーをフォローし、また「いいね」を付けるといった地道な作業が必要ですが、動画の投稿頻度も注意したい点です。
企業やショップなどが動画を投稿するタイミングは、新製品を発売するときやイベントを開催するとき、あるいはCMやニュースリリースに合わせて投稿する、といったケースが多いようです。
しかし、これではフォロワーから忘れられてしまいます。毎週、新製品が発売される、イベントが開催される、といった動画を投稿するトピックスがあれば良いのですが、普通はそれほど新しい動きはないでしょう。
こんなときは、同じテーマの別動画、別バージョン、あるいは視点を変えたものなどを作成しておき、最低でも週に1~2本は投稿するようにします。
たくさんの動画を投稿したほうが、効果が得やすいという考えもありますが、同じユーザーから毎日2本、3本と動画が投稿されると、これを視聴するのは面倒です。面倒だと感じれば、すぐにフォローを取り消すこと(フォロー切り)ができるのも、TikTokなどショート・ビデオ投稿サービスの特徴です。
TikTokを開くと、画面上部には「フォロー中」と「おすすめ」の2つしかメニューがありません。最初は「おすすめ」の動画を次々と視聴して楽しんでいますが、そのうちフォローするユーザーが増えてくると、「フォロー中」の動画しか視聴しない、といった傾向が強くなります。
フォロー中の動画に、あなたが投稿した動画ばかりが続いたのでは、すぐにフォロー切りされてしまいます。動画をたくさん投稿するのではなく、多くても1日1本、企業やショップならできれば週1~2本程度の頻度で投稿することが、フォロワーが付きやすく、また飽きられないのです。
おすすめに掲載されれば一気にフォロワーが増える
フォロワーを一気に増やしたければ、TikTokなら「おすすめ」動画に掲載されることです。
TikTokユーザーは、友人や知人の動画を視聴して楽しむだけでなく、面白い動画をいつも探しています。といっても、探す方法は「おすすめ」動画を次々と視聴したり、興味のあるハッシュタグで検索し、ヒットしたものを視聴したりする、といった方法しかありません。
この中で最も視聴されやすいのが、「おすすめ」に掲載されることです。
TikTokの「おすすめ」に掲載されるのは、どのような条件なのか公表されていませんが、だいたい投稿されてから1週間以内に5,000~1万ほどの「いいね」が付いている動画のようです。
ユーザーから付けられた「いいね」の数が、もっと多い動画ももちろんあります。ただ、長い期間で付けられた「いいね」の数よりも、直近の短い期間で付けられた「いいね」の数のほうが重要なようです。
この条件を満たすためには、よほど面白くて話題になる必要があるでしょう。フォロワーの数が多い人が投稿し、Twitterなどでも話題にしてもらいやすく、しかも内容的に面白い動画です。
これらのことからもわかるように、日頃からフォロワーを増やす努力をし、他のSNS、特にTwitterと連携して拡散するといった作業が、ショート・ビデオ投稿サービスでは必要になってくるのです。
この地道な操作を続けることで、やがて「おすすめ」に掲載されるようになり、一気に人気の動画となり話題になる、というのがショート・ビデオ・マーケティングの究極の目的といえるでしょう。
バズる動画を作る
SNSでは、投稿したメッセージや動画などが人気になり、流行になることを「バズる」などと呼んでいます。投稿した動画がバズれば、一気にフォロワーも急増します。
バズるためは、もちろんその内容が面白かったり、可愛かったりする必要がありますが、バズっている動画に便乗するのもひとつの方法です。たくさんの動画の中から、バズりそうな面白いものを見つけ、似たようなテーマやハッシュタグを付けたものを投稿すると、動画がバズりやすくなります。