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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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KDDIのBtoBマーケチーム、2ndパーティデータを駆使したp-DMPを構築 MAの限界克服へ

ディスプレイ広告だけでなく、リスティング広告も

――プライベートDMPを活用した広告配信となると、主力はディスプレイ広告になるのでしょうか。

森本:やはりディスプレイ広告が中心になりますが、リスティング広告が不要というわけではありません。検索ではニーズを持った瞬間に入ってきますから、MQLになる確率は高い。従来のリスティングの買い付けだとターゲット外(競合やパートナー、自社社員)に対しても買い付けをしてしまいます。それらの無駄をなくすためにターゲットセグメントの顧客が検索した瞬間に限って買い付けるようにしています。その結果今までの約10%のCPAで刈り取りができるようになりました。

中東:ターゲット外のユーザーには配信しないことで、検索数の多いビッグワードでも入札できるようになります。通常のリスティング広告ではビッグワードは単価が高く、無駄も多い。でも、セグメントを掛け合わせることで、効果が高まりますし、私たちも入札単価を高くできるのです。

森本:配信ではGoogle広告の「検索広告向けリマーケティング (RLSA)」を使っていますが、DMPと連携し、特定の顧客が来た時だけ入札するように設定しています。その他ではFacebookのフィード広告も試しました。

中東:セグメントを掛け合わせると、従来はBtoB広告には向いていないと思われていたメディアもBtoBメディアに変わります。9割以上の無駄なトラフィックやインプレッションへの課金を排除すれば、効率性が桁違いに上がるのです。

――ディスプレイ広告の中でも、ビジネスメディアの純広告枠への投資割合が大きいのでしょうか。

森本:ラストタッチベースでの評価ではCPAは高くなります。ですが、広告をクリックしてすぐに申し込むとは限らないと思います。顧客の行動はそれぞれ違いますが、広告を見てからすぐにクリックして申し込みをすることはなく、何かのきっかけがあって思い出してから戻ってくることもあります。また、クリックする前に様々な場所で広告接触を行って最終的にクリックしその後申し込みをするというケースもあります。

 本来それらも広告の評価として貢献度を示す必要があるためアトリビューションで評価しています。あらゆるデータをDMPに一元管理することで、アトリビューション評価が可能になります。

中東:BtoBのアトリビューション分析で気をつけなければならないのは、顧客一社あたりの売り上げに差があると、統計的に信頼性の高いモデルを作ることが難しい点です。

 顧客を売り上げの金額順に並べ、10等分してデシル分析すると、ほとんどのBtoB企業は「上位20%が売り上げの80%を占める」という2対8の法則に当てはまると言われています。アトリビューション分析は売上単価が均一な場合の評価にはいいのですが、金額の大きい2割に合わせると母数が少なく、残りの8割に合わせると小規模な顧客に最適化されたモデルができてしまうのです。モデルの導く結論が妥当なものかを吟味する姿勢が重要です。

今後はターゲットの関心に合わせた広告配信も

――今後どのようなデータを増やすことを考えていますか。パートナーシップを充実させることも含めてお聞かせください。

森本:今メディア側と相談しているのは、読者が読んでいる記事のカテゴリーに合わせて広告を出せないかということです。たとえば5Gの記事情報を見ているタイミングで、5Gの広告を出すことや、記事を見た後のホットなタイミングでアドネットワークやDSPから5Gの広告を出すことが考えられます。クリックをしてくれなくても、目に留めてもらうことが狙いです。

中東:企業をターゲティングすることには目処が付いたので、今度は組織の中の特定の役職に対してターゲティングできるようにしていきたいです。メディアが提供しているコンテンツのタグを使うと、個人が何に関心を持っているかがわかります。

森本:どの企業のどの部門の人が来ているかは2ndパーティデータでわかりますが、その人が今何に興味を持っているかはまだわかりません。興味を持っていない人を刺激するのではなく、今興味を持っているタイミングでその興味に即した情報を届けたいのです。

中東:テクノロジーの進化によって、ディスプレイ広告の価値がブランディングだけではなく、自社サイトを通過していないターゲット顧客の購買シグナルを察知できることまで広がってきました。Webで検索する前から購買シグナルは点灯しうるので、その段階からKDDIとのエンゲージメントを深めることに取り組んでいきます。

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

江川 守彦(編集部)(エガワ モリヒコ)

東京大学文学部を卒業後、総合広告代理店でマスメディアの媒体営業業務を経験し、出版社に転じて人文系の書籍編集に従事したのち、MarkeZine編集部に参画。2018年よりオーガナイザーとしてMarkeZine Dayの企画にも携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/06/05 09:00 https://markezine.jp/article/detail/31147

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